ライトフライ級世界王座連続防衛回数ランキング(記録関連) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2017/01/05
今日も階級の世界王座連続防衛回数ランキング。
計17階級延々と続いていきます。
2日目はライトフライ級。
複数階級制覇とか、返り咲きの通算防衛数などは考慮に含まれない単純なランキングですので、
当然の話ですが、このランキングがボクサーの価値を決めるわけではないので悪しからず。
※WBA以前、NBA時代は除く。
ライトフライ級世界王座連続防衛回数トップ10
105P~108P(47.627 – 48.988kg)
ミニマム級よりわずかに重いものの、過酷な減量が付きまとうことには変わりない。
特に複数階級を狙ってミニマム級を先に獲得する選手も多く、
階級を上げてくる強豪も多い。
ミニマム級から複数階級を狙って階級を上げてくるもの。
フライ級からチャンスを求めてやってくるもの。
そしてこの階級をベストとするもの。
入り混じりながら情勢がコロコロ変わる。
そんなライトフライ級。
第1位 17度防衛 第10代WBA世界ライトフライ級王者
ライトフライ級の歴史を築いたのは古き強き韓国。
全勝レコードのまま、アメリカ初のライトフライ級世界王者ジョーイ・オリボ(米)からベルトを奪うと、
挑戦者たちをことごとく退け、6年にわたって17度の防衛を記録。
当時、この階級の連続防衛記録を保持していた、同国の英雄、チャン・ジョングの記録を塗り替えた。
実は世界王座獲得前、日本のジムへの移籍話があったそうな。
しかし、デビューから13戦目まで全て判定で勝利していたミョンウ。
会長さんの「KOのない選手は好かん」という一言で移籍話は破断に…。
それが世界王座が近づくにつれ、倒せるボクサーへと変化する。
17度の防衛のうち、二桁の10度がKO防衛。
夕立(ソナギ)と呼ばれる連打を武器に、この階級の不倒レコードを築き上げる。
18度目の防衛戦、相手は井岡 弘樹(グリーンツダ)。
1階級下のミニマム級で王座を獲得していた井岡だが、防衛戦ではナパ・キャットワンチャイ(タイ)を相手に
最終ラウンド、30秒早いゴングで命からがらダウンを回避し、明らかな地元判定で防衛。
国際問題にまで発展…その後組まれたリターンマッチ、ラバーマッチとナパに敗れて階級を上げて来ていた。
その映像を見ていたミョンウは井岡を完全に舐めてしまい、
試合の為に来日したものの、観光三昧で調整不足に陥ったという。
結果、誰もが予想していなかったアップセットで井岡に王座を奪われる。
レジェンドを破り、ナパ戦での汚名を晴らした井岡は国内での評価も回復。
ミョンウは引退を表明するも撤回し、リターンマッチできっちり井岡に借りを返して、王座返り咲き。
1度だけ防衛すると王座を返上し、そのままリングを去った…。
第2位 15度防衛 第11代WBC世界ライトフライ級王者
ピックアップでも過去に取り上げたので詳しくはそちらを参照願います。
「錆びたノコギリ」と形容される強打で、残酷なまでに相手にパンチを叩きつける凄惨なショー。
ライトフライという軽い階級では破格とも言えるKOシーンを演出しまくった。
若いころのジョングはフットワークも使いこなし、アウトボクシングで相手を翻弄することも。
世界初挑戦となったイラリオ・サパタ戦で敗れ去るも、リマッチでは完璧な2RKO勝利で王座を獲得。
当時ライトフライ級最多防衛記録を持っていた具志堅の記録を塗り替え、
さらには全階級通じての東洋圏最多防衛記録だった14度までも塗り替えた。
15度目の防衛は大橋 秀行(ヨネクラ)との名勝負。
後楽園ホールで当時の大記録を打ち立てている。
第3位 13度防衛 第3代WBA世界ライトフライ級王者
3位には日本から「カンムリワシ」こと具志堅がランクイン。
沖縄からボクシングの推薦で大学に入ろうと上京したところ…半分拉致のような状況で
協栄ジム関係者に連れて行かれ…着いた場所は会見場。
全く思ってもいなかったプロ転向を表明する形になってしまい…大学は辞退。
協栄ジムが強引に獲得した100年に一人の天才。
その後は連勝街道を突っ走り、フアン・ホセ・グスマン(ドミニカ共和国)から痛烈な7RKOで王座を奪取。
ペドロ・フローレス(メキシコ)に敗れて引退するまで、
当時のライトフライ級最多防衛記録となる13度の防衛を達成した。
ちなみに現在に至るまでの全階級通じての日本人世界王座最多防衛記録でもある。
昨年、国際ボクシング名誉の殿堂オールドタイマー部門に選出。
現在は白井・具志堅ジムの会長として選手を育成する傍ら、タレント活動も成功し、お茶の間の人気者となっている。
さて…4位以降はこんな感じ。
第4位 11度防衛 第2代WBC世界ライトフライ級王者 ルイス・エスタバ(ベネズエラ)
第5位 10度防衛 第20代WBC世界ライトフライ級王者 サマン・ソーチャトロン(タイ)
第5位 10度防衛 第26代WBC世界ライトフライ級王者 エドガル・ソーサ(メキシコ)
第7位 9度防衛 第5代IBF世界ライトフライ級王者 マイケル・カルバハル(米)
第7位 9度防衛 第18代WBO世界ライトフライ級王者 ドニー・ニエテス(比)
第9位 8度防衛 第7代WBC世界ライトフライ級王者 イラリオ・サパタ(パナマ)
第9位 8度防衛 第14代IBF世界ライトフライ級王者 ウリセス・ソリス(メキシコ)
4位にはベネズエラのルイス・エスタバ。
具志堅が記録を塗り替えるまで、ライトフライ級最多防衛記録を保持。
初防衛戦では島袋 武信(東洋)と対戦する為に来日。
この当時のベネズエラは母国でも世界タイトルマッチができていた…
近年は経済状況もあって、ベネズエラの世界戦ってなかなか聞きません。
5位にはサマン・ソーチャトロン。
軽量級初のミリオンダラーファイターの一人となったウンベルト・ゴンサレス(メキシコ)と
WBCとIBFの二つのベルトを賭けて対戦。
劣勢の中、捨て身の大逆転KO劇を演じて7RKO勝利。
タイ初の世界統一王者となりました。
その後、IBFのベルトを1度防衛後に返上し、WBCのベルトを10度防衛。
チェ・ヨサム(韓)に敗れるまで4年以上の長期政権を築きました。
同じく5位にエドガル・ソーサ。
アマチュア世界王者の肩書を持つ強豪、ブライアン・ビロリア(米)との王座決定戦で王座獲得。
かつて日本の三迫ジムに在籍したロデル・マヨール(比)に王座を奪われるまで10度防衛。
陥落したのが7年前、そこからもしぶとく世界戦線に残り続け、
二階級制覇を狙って八重樫 東(大橋)やローマン・ゴンサレス(ニカラグア)に
挑戦するも王座獲得できず。
しかし、まだまだ現役。
今年9月には3階級制覇を狙うニエテスと拳を合わせています。
7位にはマイケル・カルバハルの9度。
ソウル五輪で銀メダル。
のちの世界王者相手に華々しくプロデビューを飾ると、全勝で王座獲得。
大逆転KO劇でウンベルト・ゴンサレスの持っていたWBCのベルトを吸収。
10度目の防衛戦ではウンベルト・ゴンサレスとのリマッチが組まれ、軽量級初のミリオンダラーファイターに。
しかし、試合には敗北し王座陥落。
その後も何度も王座を獲得し、返り咲きを含めて手に入れたベルトは通算5本。
ウンベルト・ゴンサレスとのラバーマッチなど、ビッグマッチを重ね、
最後はホルヘ・アルセ(メキシコ)に代名詞の大逆転KOでWBOを獲得して引退。
軽量級スター選手という意味ではロマゴン以上の存在だった選手です。
同じく7位にはドニー・ニエテス。
現在バリバリのトップ選手。
ミニマムでWBO王座を4度防衛後に王座返上してライトフライの王座を獲得。
そのまま9度防衛後、今度は三階級制覇を目指してこの王座も返上。
世界戦負け知らず。
米デビューを夢見て、敵地での試合も辞さず、メキシカンを破りまくり。
昨年ようやく念願の米デビューを飾りました。
ビッグマッチを消化して、米での人気を獲得していけるか…。
ライトフライ級を去ってしまいましたが、一つ上のフライ級で
これからもまだまだ注目されていくであろう選手に感じます。
9位には「軟体動物」と呼ばれた日本人キラー、イラリオ・サパタ。
中島 成雄(ヨネクラ)から王座を奪い、アマド・ウルスア(メキシコ)にまさかの敗北を喫するまで
8度の防衛…この試合で敗れたサパタはリング上で泣き出してしまったと言います。
その後、友利 正(三迫)から2度目の王座を奪い2度防衛後、
次の時代のライトフライ級の主役、チャン・ジョングに王座を明け渡す。
その後も再度世界に挑み、フライ級で王座獲得に失敗するも、
アロンソ・ゴンサレス(メキシコ)との王座決定戦を制して二階級制覇を達成。
3度防衛後に陥落するも、その後も2度世界挑戦を叶える。
通算の防衛数では2階級にまたがり15度。
殿堂入りに懐疑的な声も上がりましたが、充分に資格を有する選手に感じます。
同じく9位にウリセス・ソリス。
ウィル・グリッグスピー(米)から王座を奪い、ブライアン・ビロリアに敗れるまで9度防衛。
その後、王座返り咲きを果たして1度防衛するも、サウル・アルバレス(メキシコ)と諍いを起こし
顎を骨折した為に防衛戦の目途が立たずに王座はく奪の憂き目にあう。
その後はフライ級に転級するものの、事実上の挑戦者決定戦と目された
WBCシルバー王座タイトルマッチで、世界獲得前に2度破っているエドガル・ソーサと対戦し、2Rに痛烈なKO負け。
以降、リングには上がっていない。
防衛数ランキングを見てみると、4位のエスタバが作った記録を具志堅が塗り替え、
さらにジョングが塗り替えた記録を、ミョンウが塗り替える…。
順々に記録がつくられたような形になっています。
これって、その時代の主役が明確にいた形だったのかな…と。
つい最近まで、階級の主役と言えるのはニエテスだったかと思います。
そのニエテスが王座を返上…果たして次は?
混迷期に入りそうな予感もするライトフライ級戦線。
日本国内にもホープたちがひしめいています。
カルバハルを除いて、南米とアジアの王者たちで構成されたトップ10。
アフリカではジェイコブ・マトラーラ(南ア)の2度が最高。
そのマトラーラに王座を奪われたポール・ウィアー(英)の1度が欧州最高。
欧州からのライトフライ級王者はなんと3人しか産まれていません。
階級ごとのの地域的な偏りを感じます。
現役のライトフライ級世界王者でもっとも防衛数を重ねているのは田口 良一(ワタナベ)の5度。
歴代19位タイまで来ていますが、トップ10まではまだまだ遠い。
勝ち続けたとしても、年間2~3度の防衛戦の為、トップ10入りは早くても今年の年末か…。
とにもかくにも強豪のカルロス・カニサレス(ベネズエラ)との対戦を生き残ったのは大きい。
これからシビアな対戦も増えてくるでしょう。
ランカーにも強い選手がゴロゴロ控えています。
強い日本人が多い階級でもあり、今後の展望を想像すると面白くて仕方ない。
…ジョナサン・タコニン(比)、また世界戦の舞台に上がってくれないかな。
※記録は2017/1/5時点
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