ミニマム級世界王座連続防衛回数ランキング(記録関連) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2017/01/03
さぁ、今日からは階級別の世界王座連続防衛回数ランキング。
複数階級制覇とか、返り咲きの通算防衛数などは考慮に含まれない単純なランキングですので、
当然の話ですが、このランキングがボクサーの価値を決めるわけではないので悪しからず。
※WBA以前のNBA時代は除く。
そもそも、記録ではボクサーの価値なんて測れないんですけどね。
ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)より魅力的なノーランカーだっていっぱいいるんですよ!
…ってそれは僕がロマゴンの価値を測り損ねてる可能性も無きにしも非ず。
少なくとも僕にとっては…ってことで。
ミニマム級世界王座連続防衛回数トップ10
1986年に創設された最も新しい階級。
当初、階級の細分化に対し、ライトフライでさえ批判があった中、さらに軽い階級の創設となり
世界王座の価値低下を懸念する声がアメリカを中心に噴出。
そんな中、日本の井岡 弘樹(グリーンツダ)がWBCの初代ミニマム級王者に…
さらに、ライトフライで伝説の名王者 チャン・ジョング(韓)をあと一歩まで追いつめながら
世界に届かなかった”最後の切り札”大橋 秀行(ヨネクラ)が王座を獲得。
世界戦21連敗を止める勝ち星となり、日本中が沸いた伝説の後楽園テンカウントコール…。
ミニマム級の歴史は日本のボクシング史と大きく関わりを持つ。
大橋が転級するときに出したコメント。
「まだミニマム級には歴史がない。僕がミニマム級の世界王者になることで
ミニマム級の歴史を作っていければ…と思う。」
そのコメントはやがて現実のものとなる。
強気な大橋が、当時無名ながら南米での評価が高かったこの男を挑戦者に選んだことによって…
第1位 22度防衛 第5代WBC世界ミニマム級王者
全階級通じての連続防衛回数での2位に入る大記録。
新興階級ミニマム級に価値をもたらしたのは間違いなくこの男。
美し過ぎるほどのボクシングは永遠に歴史に刻まれる。
詳細については11/23に書いた世界王座連続防衛回数ランキングで取り上げているのでそちらを…。
第2位 12度防衛 第7代IBF世界ミニマム級王者
ラタナポン・ソーウォラピン(タイ)
同国の英雄、カオサイ・ギャラクシー(タイ)になぞらえて、「小型カオサイ」とも呼ばれた男。
タイ国内タイトル戦でアスウィン・シスラックムアン(タイ)に敗北。
その後のアスウィンとの再戦にも敗北するも、その2敗のみで
第6代IBF世界ミニマム級王者だったマニー・メルチョル(比)の初防衛戦の相手としてチャンスを得る。
当時はIBFも新興団体でまだまだレベルが低いと言われた時期ですが…
メルチョルはそのIBF王座の防衛こそ叶わなかったものの
6連続防衛中だった安定王者、ファーラン・サックリンから驚きの王座奪取を叶えたピノイ。
そんなメルチョルに2-1のスプリットで勝利し、ベルトを強奪したのがラタナポン。
この時なんと18歳。
その後、防衛を重ねること12回。
第2代IBF世界王者 ニコ・トーマス(インドネシア)などを次々とリングに沈めて行く…。
最軽量級のミニマム級において、なんと11度のKO防衛。
判定決着はロニー・マグラモ(比)を相手にした1戦のみ。
まさに圧倒的な強さを発揮していきます。
そして迎えた13度目の防衛戦。
リー・サンドバル(ニカラグア)を迎えた試合で…なんと計量失格での王座剥奪。
最軽量級の47.6Kgという体重制限で連続防衛が途切れる…
ミニマム級のもっともシビアな部分でベルトを取り上げられてしまいます。
その試合に勝利したラタナポン、王座は空位となり、再度王座に就くため、
ジュン・アルロス(比)との王座決定戦を戦います。
結果は2者がフルマークをつける圧勝。
そのまま2期目の王座も6度防衛し、通算防衛数は18度。
世界戦では20連勝(計量失格した試合を除く)という圧倒的数字を残す。
最後はゾラニ・ペテロ(南ア)を相手に優位に進めながら…
衝撃的な左フック一発…伝説はリングに沈むこととなります。
防衛期間がリカルド・ロペスと重なっていることや、当時世界王座としては
WBAやWBCより格下と見られていたこともあり、なかなかその名が出ることが少ない王者ですが…。
世界戦20連勝は称賛されるべき数字に思えます。
第3位 11度防衛 第9代WBO世界ミニマム級王者
イバン・カルデロン(プエルトリコ)
シドニー五輪にはライトフライ級で出場。
五輪では1回戦で敗退するものの、アマチュア世界王者にもなったことがあり、
のちにライトフライ級世界王座を3団体で制するブライアン・ビロリア(米)には通算で3勝1敗と勝ち越している。
そんなアマエリートとして、プロ転向してきた技巧派の男はラスベガスでデビューすると
連戦連勝の末、16戦目で世界王座を獲得。
そのまま一気に11度の防衛を飾る。
防衛戦の相手のうち、約半数にあたる5名が元世界王者。
2003年の王座獲得なので、既にマイケル・カルバハル(米)やナジーム・ハメド(英)、
ジョニー・タピア(米)ら、WBOの名王者たちの時代も終わっており、
既に欧米ではWBOは一定の価値を手に入れていた頃。
そんな中でシビアな相手たちをことごとく破っていったカルデロン。
しかし、減量の過酷なミニマム級…ギリギリ勝ち残った試合も複数。
そんな中で12度目の防衛戦は行われることなく、王座は返上。
そのままライトフライ級を制して2階級制覇。
世界王座通算18度防衛、世界戦は20連勝…。
ちなみに、ミニマム級時代のエドガル・カルデナス(メキシコ)との防衛戦はカルデナスの
体重超過によってノンタイトル戦に変更されてしまっています。
心情的にはこの試合も防衛に数えてあげたい…
最後はWBA世界ライトフライ級王者だったジョバニ・セグラ(メキシコ)との統一戦でTKO負け。
半年強の時間を置いて行われた再戦でもKOで返り咲きを阻まれる。
その後、再度ミニマム級に体重を下げてチャンスを得たカルデロン、
…立ちはだかったのはモイセス・フエンテス(メキシコ)。
…大晦日に、田中 恒成(畑中)とWBO世界ミニマム級王座を争うため、来日した選手ですね。
ドニー・ニエテス(比)やフアン・エストラーダ(メキシコ)を
あと一歩のところまで追い込み、現在の層が厚い軽量級で存在感を放つ超強豪。
かつての伝説はこの新鋭に、完膚なきまでに叩きのめされ、
引導を渡される形でリングを去る…ここ…すっごいドラマ。
カルデロンの栄光と晩年って超絶面白いんですよ…。
さて…4位以降はこんな感じ。
第4位 8度防衛 第5代WBA世界ミニマム級王者 チャナ・ポーパオイン(タイ)
第5位 7度防衛 第15代WBA世界ミニマム級王者 新井田 豊(横浜光)(2期目)
第5位 7度防衛 第7代WBC世界ミニマム級王者 ホセ・アントニオ・アギーレ(メキシコ)
第5位 7度防衛 第5代IBF世界ミニマム級王者 ファーラン・サックリン(タイ)
第8位 6度防衛 第23代WBA世界ミニマム級王者 エッキー・バドラー(南ア)
第8位 6度防衛 第12代WBC世界ミニマム級王者 オーレードン・シッサマーチャイ(タイ)
第8位 6度防衛 第8代IBF世界ミニマム級王者 ラタナポン・ソーウォラピン(タイ)(2期目)
第8位 6度防衛 第3代WBO世界ミニマム級王者 アレックス・サンチェス(プエルトリコ)
4位には大橋 秀行からWBCの王座を奪取したチャナ・ポーパオイン。
一度陥落後、星野 敬太郎(花形)を破って返り咲いた後、
その王座は5位の新井田 豊に明け渡す。
新井田って本当に強かった…ロマゴンに王座を明け渡すこととなるんですが、
それまでにはこの階級でのちに4団体のベルトを手にする高山 勝成(仲里)をも破っています。
同じく5位のホセ・アントニオ・アギーレは星野 敬太郎に引導を渡した強打者。
さらに同じく5位のファーラン・サックリンは、息子のファーラン・サックリンJr(タイ)が
現在、虎視眈々と親子二代にわたる世界王座を狙って世界ランクに名を連ねています。
8位にも層々たる面々が…
今年、驚きのアップセットで陥落してしまったエッキー・バドラー。
ミニマム級最強と目されていたヌコシナティ・ジョイ(南ア)を破って浮上し、世界王座獲得後はしばらくの間、
ワンヒン・ミナヨーティン(タイ)と並んで、ミニマム級最強と目されてきました。
まだまだ、世界王座に絡んできそうな位置につけています。
オーレードン・シッサマーチャイは井岡 一翔(井岡) に王座を追われた後、
なんと26連勝を記録し、こちらもまだまだ世界王座を狙える位置。
2位にも入っているラタナポン・ソーウォラピンの2期目もこの位置。
通算にしたら…と考えると惜しまれる計量剥奪。
アレックス・サンチェスは1位のリカルド・ロペスとWBC/WBAの王座統一戦で死闘を演じつつ陥落。
2階級制覇を狙ってホセ・ビクトル・ブルゴス(メキシコ)やネルソン・ディーバ(プエルトリコ)とも大激戦。
返り咲きを狙ったイバン・カルデロンとの新旧対決でも激戦…。
名勝負製造機…負けもありつつ6度も防衛しているのは実力の証明か。
現役世界王者ではワンヒン・ミナヨーティンがトップ10にあと1度となる5度防衛を記録中。
バドラーが陥落した今、既に階級最強と考えてもよさそうなワンヒン。
来年にはここに食い込んでくることは間違いなさそうです。
層が最も薄いとされるミニマムでもドラマのボリュームは半端ない…。
書ききれないことばかり。
とりあえず、1位から3位に目を戻してみると、うち二人が王座を返上して2階級制覇へ…
そして一人が計量失格による剥奪。
年齢を重ねるごとに過酷になる減量、長くとどまることが最もシビアな階級でもあります。
王座返上も多く、複数階級制覇の腰掛けにされることもあり、長期防衛王者は少なく思えそうですが…
そんな中、燦然と輝くリカルド・ロペスの功績。
ミニマムの歴史はロペスとともにある…。
おおげさじゃなくそんな風に思えたりもします。
注目されづらい階級なのかもしれませんが…ストイックなアスリートたちがひしめく階級。
そして若いホープがチャンスをつかみやすく、シンデレラボーイが突如出現するのもこの階級。
僕…実はミニマムが一番好きかも知れない。
※記録は2017/1/3時点
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