2025/05/11 -愛知・刈谷あいおいホール- 第5試合~セミファイナル(中日本ボクシング観戦記) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
■2025年度中日本スーパーバンタム級新人王準決勝
【スーパーバンタム級4回戦】
藤川 晃成(名古屋大橋) vs 鈴木 蒼平(とよはし)
お互いフェイントを掛け合う立ち上がり。
静かな展開の中、ダッキングした藤川を鈴木の左ストレートが捉える。
ほとんどパンチの交錯がない中、ラウンド終盤に突入すると
藤川の右ストレートが鈴木を捉える。
ここから攻め込んだ鈴木、荒々しく左右フックを振るい、直撃した藤川が揺れる。
しかし、返す刀の右ストレートで、今度は鈴木がフリーズ。
2R、静かながらひとたび撃ち合いに発展するとお互い痛烈に捉え合う二人。
ラウンド中盤に藤川が右ストレートを浴びせて鈴木を後退させる。
撃ち合いの中、鈴木の左に藤川がバランスを崩す場面が多く、印象に影響するか。
3R、スリリングな右ストレートを撃ち込む藤川。
鈴木は一発当たると次々に後続の左右フックを叩きこむ。
綺麗に捉えるのは藤川の方だが、形が崩れても痛烈にナックルをヒットさせる鈴木。
4R、右ストレートで藤川が鈴木の顔面を跳ね上げるスタート。
しかし、もらった後、必ずガチャガチャと返す鈴木がヒット数をさらっていく。
撃ち合いの中、しつこく次が出てくる鈴木に対し、
試合終了直前、藤川の右ストレートがカウンターで突き刺さり、鈴木の腰が落ちる。
藤川大チャンス、鈴木絶体絶命…。
藤川、最後の猛ラッシュに、手を返して抵抗する鈴木。
しかし、ダウンシーンにつなげることはできず、
試合はそのまま終了のゴングを迎えた。
マイジャッジ 39-37 鈴木
公式ジャッジ
39-37×3
3-0
勝者:鈴木
両者とも効かせ合う場面を作った試合。
スリリングな接戦は、連打が続いた鈴木が判定を制した。
藤川が弱かったわけではない。
捉えても捉えても、そのまま撃ち返してきてチャラにされてしまう。
形が綺麗なのは藤川だったが、
崩れながらも手が出てくる鈴木の厄介さが際立った試合だった。
決勝へ勝ち上がった鈴木の前には、
サウスポーのファイター、高橋 梨久(トコナメ)が立ちはだかる。
どちらも、スマートではないがプロとして面白い試合を提供できる二人。
旨味の濃すぎるカードが成立したと感じている。
藤川 晃成 2戦1勝1敗
鈴木 蒼平 4戦2勝(1KO)2敗
【バンタム級8回戦】
近藤 冬真(蟹江) vs 鶴海 高士(石田)
左を刺し合う立ち上がり。
リングを大きく使う鶴海に、近藤がジリジリ出る展開。
踏み込んでボディを叩いていく近藤に、迎え撃つように右ストレートを刺す鶴海。
2R、ワンツーで攻め込み始める鶴海。
ロープに詰まった近藤に襲い掛かる中、近藤はいなしながら左フックをカウンターで返す。
お互い痛烈にボディをえぐる場面を作りながら、また鶴海が近藤をロープに詰める場面を作る。
近藤の上の動きは柔らかく、鶴海の命中率は高くないが、時折捉える拳は痛烈に刺さる。
3R、ボディをえぐる近藤、鋭く勢いのあるコンビネーションで捉える鶴海。
このラウンド中盤から近藤のコンビネーションもヒットし始め連続で捉える場面が出始める。
しつこくしつこくボディを叩きつつ、上への強烈なヒットも増えていく。
4R、ロープに詰まるとラッシュを仕掛けてくる鶴海。
近藤はボディから上へ撃ち返し、一方的にはさせず。
しつこくしつこく追いかけて、
鶴海の顔面が跳ね上がる強打も織り交ぜながら、上下に多彩にヒットを重ねていく近藤。
時折返される鶴海の強打も痛烈ながら、近藤は止まらず前へ。
5R、撃ち合いの中、鶴海が連続で捉えるが、近藤は引かずに拳を返して巻き返す。
撃ち合いが落ち着くと、しつこくしつこく前に出ながらも、
鶴海が前に出てきた場面では距離で外す近藤。
6R、ロープに詰めて連打で襲う近藤。
鶴海はここを乗り切ると、近藤が手を出す前に小さくとらえる場面を作り
近藤が攻め込もうとしたところはクリンチで抑え込む。
入りこむ前に戦いの距離を移し、近藤の手数を抑制する。
7R、ジャブを突きながら距離をとり、近藤が手を出す少し手前の距離で連打を叩きつけた鶴海。
立て続けに近藤の顔面が捉えられていくが、近藤は耐えながら左フックのビッグヒットで反撃。
捉えられながらも、ボディから顔面へ…試合を通じて行ってきたトライを繰り返す。
8R、これまで以上に圧を増し、体ごと押し込んでボディを叩いていく近藤。
強打を浴びてもグイグイ押し込んで腹から削っていく近藤。
鶴海も詰めてくる近藤に、全力の拳を振るって迎え撃つ。
テーピングがほどけた近藤に、レフリーは試合を中断して、そのテープを直し、
最後の撃ち合いを促すファイト。
ここでは近藤が入り込む前を鶴海が強烈に連打で捉える中で試合終了のゴング。
マイジャッジ 77-75 近藤
公式ジャッジ
78-74
77-75
76-76
2-0 鶴海
フレームでは鶴海が上回り、鶴海の距離は近藤より遠い場所にあった。
その距離を潰してボディを叩き、近藤の距離での戦いが主になった時間が長かった。
しかし、ひとたび鶴海が捉えれば、
大きくありながらも鋭くスピードのあるコンビネーションで近藤を捉えた鶴海。
近藤は下がらず耐えながら、左フックをカウンターで痛烈に差し込んでラッシュに対抗した。
試合中に幾度もあったこの光景、見栄えははっきりと鶴海がよかったと言える。
マイジャッジは近藤だったが、おかしい判定ではなかったように感じる。
かつて刈谷のリングでカウンター一撃で沈んだ鶴海。
見違えるほど強くなり、A級ボクサーとして刈谷のリングに再来した。
あの鶴海がここまで強くなる…信じられない思いだった。
やはり、A級まで登る選手は人の領域を越える。
そして、これまで有名アマエリートに善戦を繰り返しながら勝ちの遠かった近藤。
この日は勝ち負けを繰り返してここまで来た選手への敗戦。
「名」で言えば、これまで戦った選手の方が大きかったかもしれない。
しかしその実、内容を見れば近藤が簡単な相手に敗れたわけではないことはわかる。
また、近藤が強者との戦いをその戦歴に刻んだ。
何年も何年も味わっていない勝利。
それはネームバリューのある相手、力のある相手に挑み続けているからこそ。
そして幾度も勝利に迫ったからこそ…。
連敗を続ける近藤の名は全国区になっている。
負けて名を上げ続けてきた選手である。
近藤が勝った時、これまで近藤を見てきた全国のファンがどんな感情になるか…。
その時を、これまで以上に強く望みながら待っていたい。
近藤 冬真 22戦8勝(1KO)11敗3分
鶴海 高士 17戦8勝(4KO)7敗2分
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