フエンテスとの決戦 ドニー・ニエテス(比)③ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/01/13

フエンテスとの決戦 ドニー・ニエテス(比)③ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/01/13
 
 
 

本日はドニー・ニエテス(比)の三日目。
 

ジムで飼っているペットの世話係…という雑用から世界王者まで一気に駆け上がったニエテス。
暫定王者を破って、WBO世界ミニマム級王座の統一後、2階級制覇を狙う…
そんなところまでがここまでのお話ですね。
 
 
 

WBO世界ミニマム級王座を返上したニエテス。

挑むはライトフライ級へ階級を上げてのテストマッチ。
世界前哨戦となったこの試合ではアルマンド・バスケス(メキシコ)を1RKOで沈め準備は万端。
 

WBO世界ライトフライ級王者のラモン・ガルシア・イラレス(メキシコ)と対峙します。

ガルシアとの対決は序盤からニエテスのペース。
しかし10R、目の上をカットしたニエテスはペースダウン。
視界を奪われつつも、なんとか逃げ切り3-0の判定勝利。

終わってみれば大差判定とも言える点差で2階級制覇を達成します。
 
 

初防衛戦では1発強打のあるフェリペ・サルゲロ(メキシコ)を無難に判定で退け、
調整試合を1試合挟んだ後、モイセス・フエンテス(メキシコ)を迎えて2度目の防衛戦を迎えます。
 

フエンテスはニエテスが返上したWBO世界ミニマム級王座を獲得し、
その王座を保持したままWBO世界ライトフライ級へ挑戦してきた選手。
ニエテスの一つ前のWBO世界ミニマム級王者 イバン・カルデロン(プエルトリコ)と
全く同じ形式でライトフライ級のベルトに挑んでくるわけです。
 
 

フィリピンで行われたこの試合、驚異的な手数が飛び交う試合となります。
一進一退の展開の中、距離を取りたいニエテスと距離を詰めたいフエンテスの
高度な駆け引きが繰り返された12Rが終了し、採点は1-0のドロー。

惜しくも王座を獲得できなかったフエンテス、7連勝を刻んできたニエテスの世界戦レコードに
唯一の引分としてその名を刻み込みます。
 
 

この試合後、ニエテスとの再戦を目指すフエンテスは、即座にミニマム級の王座を返上。
ライトフライ級でのテストマッチに順調に勝利すると、
次の防衛戦までに9ヶ月と期間を空けたニエテスを尻目に
ルイス・デラローサ(コロンビア)との暫定王座決定戦に勝利。
 

ニエテスとの引分から8ヶ月でWBOからの対戦指令を発令させます。
迅速に、そして確実にニエテスとの再戦に漕ぎ着けたフエンテス。
この陣営の戦略は身震いするほど。
 
 

慌てたのはニエテス、対戦指令が発令されたときには、元WBA世界ミニマム級暫定王者の
サミー・グティエレス(メキシコ)との対戦が決まっていました。
WBOにフエンテスとの再戦を確約したうえで、グティエレスとの3度目の防衛戦に挑んだニエテス。
実力が違うとばかりにグティエレスを3Rで破ります。
 

さて、4度目の防衛戦はWBOとの約束通り、フエンテスとの再戦。

引分からの再戦はその選手の評価を決定的にします。
ニエテスが負ければ、この階級においてフエンテス>ニエテスの図式がくっきり刻み込まれてします。
米国デビューを目指して築き上げたキャリアも台無しです。

「ニエテス?あぁ、フエンテスに負けた選手ね。」…と。

ただしそれはフエンテスも同じこと。
更なる高みに登る為には、お互いにはっきりとした勝利が必要な試合です。
 
 

正規王者と暫定王者のWBO世界ライトフライ級王座統一戦。
ゴングが鳴ると共に、お互い猛烈な手数が飛び交います。
それはまるで二人の世界王者が4回戦を戦うかのよう。

この試合もやはり拮抗しますが、クリーンヒットがややニエテスに多い。
このわずかな差がラウンドを追ってお互いのスタミナが消費されるごとに、徐々に徐々に広がっていきます。

そしてフエンテスにダメージが見て取れるようになった9R。
強烈な右ストレートからのアッパーでフエンテスがダウン。
完全に効いてしまったフエンテス。
立ち上がるもニエテスの右ストレートで2度目のダウン。

ミニマム級の王座を返上してまで目指したニエテスとの再戦。
簡単にあきらめるわけにいかないフエンテスはまたも立ち上がります。
試合再開した時点でこのラウンドは残り10秒。
次のラウンドへの持ち越しが濃厚な中…実力者は弱った相手を逃さないもの。

再度右ストレートを撃ち込みフエンテス3度目のダウン。
レフリーが両手を交差させ、9RTKOで因縁対決に決着が着きます。
 
 

 

分かれたベルトを一つにまとめたニエテス。
ここからは米国進出に向けて、ランクの中のメキシカンを総ざらい。
 
 
 

5度目の防衛戦はカルロス・ベラルデ(メキシコ)
かつて宮崎 亮(井岡)への世界挑戦で5RTKOで敗れていますが、その後3連勝。
ホセ・アルグメド(メキシコ)との生き残りマッチを際どい判定で切り抜け、
ニエテス戦に駒を進めて来ました。

しかしこの試合、ベラルデにとっては消化不良の内容。
バッティングで傷を負ったベラルデ。
負傷判定になってもよさそうな出血ですが、試合は止まらず…。
圧倒的にポイントを獲られているであろう展開だったこともあり、7R終了時に棄権。
 
 

続いての6度目の防衛戦。
相手はヒルベルト・パーラ(メキシコ)
ランク下位ではありますが、連戦連勝で勝ち上がって世界初挑戦を射止めた強打者。

まぁ、そもそもこれだけメキシコ人倒したら、それほどランク内にメキシコ人残っていないでしょうし…。
ランク下位でも目新しいメキシコ人は優先して倒したいニエテス。
 

パーラとの戦いは、ニエテスの鋭い踏み込みが圧倒。
後手に回ったパーラは自慢の強打を生かすことができず…
9Rにはついにダウン。立ち上がったもののヒッティングにより瞼をカット。
カットの深さ、ダメージから9R終了後に棄権を申し入れます。
 

7度目の防衛戦は指名試合。
これが幸運なことに、ニエテスの思惑通りメキシカン。
…メキシコ人の選手層…どれだけ厚いんだ。

相手はフランシスコ・ロドリゲスJr(メキシコ)
ミニマム級でWBOのベルトを獲得し、IBF王者だった高山 勝成(仲里)との
王座統一戦に勝利し、2団体統一王者に。

しかしその後、減量苦で王座を返上。
ライトフライ級に階級を上げると、しぶとくニエテスとの3度目の決戦を
目指していたモイセス・フエンテスとの挑戦者決定戦を制してきた実力者。
名実ともに最強挑戦者です。
 

久々にスリリングな相手との戦い…のはずなんですが…。
この挑戦者を圧倒し、3-0の判定勝利。
最強王者にふさわしい試合内容で完勝します。
 
 

そして9度目の防衛戦。
ついに念願だった米国デビューが決まります。

メキシカンキラーとして、階級最強王者として
カリフォルニア州カーソンのスタブハブ・センターのリングに立つわけです。

カリフォルニアは白人よりもヒスパニック系が多い州。
いわばメキシカン達の準地元となる地域。
ここでメキシカン、フアン・アレホ(メキシコ)と対峙する、いわば完全アウェイの試合。
 

現地入りしてからのスパーリングでは、同日に軽量級の大スターローマン・ゴンザレス(ベネズエラ)との試合を
控える“ハワイアンパンチ”ブライアン・ビロリア(米)とスパーリングを重ねる気合いの入れよう。
 

ビロリアと言えば、米国では不人気の軽量級でマニアックな米国ファンを味方に付けて、
幾多の激選を戦ってきた軽量級の重鎮。
軽量級の中ではビッグネームに数えられる1人です。
 

気合いも充分、準備も万端。
結局試合はアレホに付け入る隙を全く与えず、フルマークに近い完勝。
さてここから米国で更にメキシカン相手に猛威を…

って、まだ倒してないメキシカンのランカーいるの?って話なんですが…そこはボクシング大国。
まだラウル・ガルシア(メキシコ)フアン・エルナンデス(メキシコ)の2名が…
ほんと…どれだけ人材豊富なんだ。
 

ガルシアは2年前にペドロ・ゲバラ(メキシコ)に敗れましたが、その後3連勝。
フアン・エルナンデスは4年半前にミニマム級で井岡 一翔(井岡)に敗北しているものの
その後4年半に渡って11連勝を記録。
虎視眈々と王座を狙っています。

ニエテスはフライ級への転級も常々噂されていますが…
何年も前からのことでずっとライトフライに居座り続けてるところから見ても、
現実味は定かではありません。

ただ、転級するとしたら、そこには倒していないメキシカンがゴロゴロいるわけで。
 

木村 悠(帝拳)田口 良一(ワタナベ)八重樫 東(大橋)
そしてミニマム級からライトフライ級を視野に入れる高山 勝成(仲里)田中 恒成(畑中)
日本に豊富なタレントが揃う今のライトフライ級において、日本人が全く眼中にないニエテス。
彼を倒すメキシカンが出てくるかどうか…。

もし、日本人と戦うことにメリットを感じるメキシカンがニエテスを倒すようなことがあれば…
現在吹き荒れているライトフライ級の日本人旋風が、より一層凄みを増す可能性が出て来ます。
 

今、日本人にとって最も目を離せない階級、ライトフライ。
鍵を握っているのは、大蛇の世話役と言う雑用から世界王者に成りあがった、この男に他なりません。
 
 

そんなところでニエテスのピックアップはおしまい。

この階級の面白さ…どうか伝われ!!
 
 

【カテゴリ別】
2016年選手紹介一覧に戻る

選手紹介一覧に戻る

カテゴリ別記事一覧に戻る
 
 

【日付別】
【記事一覧】2016年1月に戻る

【記事一覧】2015年~2016年に戻る

【記事一覧】に戻る
 
 

各選手の戦績はこちら。
ボクシング選手名鑑
 
 

コメント

タイトルとURLをコピーしました