メキシカン総ざらい ドニー・ニエテス(比)② ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/01/11

メキシカン総ざらい ドニー・ニエテス(比)② ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/01/11
 
 

さてさて、本日はドニー・ニエテス(比)の二日目。

ジムで飼っているペットの世話係…という雑用から世界王者まで一気に駆け上がったニエテス。
いざ、WBO世界ミニマム級の統一を目指して、暫定王者のマヌエル・バルガス(メキシコ)と戦う…

あれ?ニエテス怪我してないのに何で暫定王者がいるの?
…そんなところまでですね。
 
 

実はこの頃のWBO世界ミニマム級王座はちょいと複雑な動きをしていまして…。

①2007年4月28日

第9代WBO世界ミニマム級王者のイバン・カルデロン(プエルトリコ)が11度目の防衛に成功。
 

②2007年8月25日 

カルデロンがWBO世界ライトフライ級王座を獲得。
「同時に複数回級の王座を保持することはできない」というWBOの規定に従い、
ライトフライ級王座獲得の瞬間に王座返上となる。

この時点でWBO世界ライトフライ級王座は空位。
 

③2007年9月30日

ニエテスがポンサワン・ポープラムック(タイ)を相手に王座決定戦を制し、正規王座を獲得。
 

④2008年8月30日

ニエテスがエディ・カストロ(ニカラグア)を相手に初防衛に成功。
 

⑤2008年9月26日

ダニエル・レイジェス(コロンビア)とルイス・アルベルト・ラサルテ(プエルトリコ)が
WBO世界ミニマム級暫定王者決定戦を戦いダニエル・レイジェスが暫定王者となる。
(その後、暫定タイトルマッチが行われ、ベルトはバルガスに移動)
 
 

この暫定王者決定戦…。
一般的にイバン・カルデロンの王座返上に伴って…とされていますが…。
既に1年も前に王座は返上されていて、それに伴う正規王座の王座決定戦は既に実施済み。
その試合に勝ったニエテスが正規王座を獲得して1年以上も経過しています。
 
 

まず、カルデロンが階級を上げることは認識されていた為、
WBO世界ミニマム級王座の防衛戦がしばらく行われないことになります。
 

ここで想定しないといけないのが、カルデロンが勝った場合と負けた場合。
勝った場合は、イバン・カルデロンがライトフライ級王座を獲得した時点でミニマム級王座を返上。
負けた場合は、カルデロンはミニマム級王座に居座ることになるんですね。

カルデロンが負けた場合、2007年4月28日の11度目の防衛から、
ライトフライ級タイトルマッチを挟んで12度目の防衛戦を行うまでしばらく期間が空くことになります。

そこでWBOはミニマム級の暫定王座を用意した。
 

その暫定王座決定戦がレイジェスVSラサルテ。
しかしこの試合が何らかの原因で延期されるうちに、カルデロンがライトフライ級を獲得。
ミニマム級の王座を返上し正規王座が空位になった。

レイジェスVSラサルテが正規王座決定戦に繰り上がればいいものの
試合がいつ行われるのか目途が立たない状態…。

そこで別に正規王座決定戦が開催され、ニエテスが王座を獲得。
それから1年以上経過して、レイジェスVSラサルテが実現し、当初の予定通り、暫定王座が賭けられた…。

昨今、ややこしい話になると、すぐに不正だなんだと騒ぐネットの論調もありますが
とっても複雑なマッチメイクの世界、色々なご事情が存在しているのです。
 

さて、とにもかくにも存在する二人のWBOミニマム級世界王者。
ベルトをまとめるべく、正規王座と暫定王座の統一戦が行われた。
相手はレイジェスから暫定のベルトを奪ったマヌエル・バルガス(メキシコ)。
 

ニエテスさん、現在のライトフライ級最強と目されるだけあって、
世界戦で連勝街道を走っており、世界戦の数が多い多い。
ここはちょっとサクサクっと進めます。
 
 
 

ボディの連打で挑むバルガスに対し、強打をふるって応戦するニエテス。
王者同士の戦いにふさわしい拮抗した試合はフルラウンドまで続き、
どちらに転んでもおかしくなかった判定をニエテスが拾います。
 
 

WBO世界ミニマム級のベルトを一つにまとめ、気分新たに4度目の防衛戦には
15勝1敗のホープ、ヘスス・シルベストレ(メキシコ)を迎えます。

しかしシルベストレ…のちにWBA暫定王座を獲得する強豪であることには間違いないんですが、
この時はまだ実績不足…

なんとWBOランキングに入っておらず…それでもニエテスはノンタイトル戦としてシルベストレ戦を強行。
10RTKOで、ホープに初のKO負けを味あわせます。
 
 

このシルベストレ戦を強行した理由。
それはこれまでの防衛戦がメキシコを中心とした南米選手であることが関係しています。

ニエテスはかなり強く米国進出を希望していまして…。
そういう場合、米国人選手をなぎ倒して行けば、米国での知名度も上がって米国進出がしやすくなる…。
ただ、米国では軽量級は人気が無く、ランカーもほとんどいないわけです。
 

そこで、米国南部にはメキシコ系のヒスパニックが多くいる。
カリフォルニアなんて白人よりヒスパニックの方が多い。
メキシコ人を倒しまくれば、南部での知名度が上がるわけですね。
南部で知名度が上がっていけば…辿り着くのはラスベガス。
 
 

この戦略はフィリピンの英雄、マニー・パッキアオ(比)が辿ったルート。
メキシカンキラーとして徐々に米国での知名度を上げて行ったんですね。

彼が足跡を残したことで、いまやメキシカンはフィリピン人選手の標的。
また、ラスベガスを目指す日本人選手なんかもメキシカンを標的にしています。

メキシカンにとっても、アジア系の選手が王者のときはランクに入るだけで世界戦のチャンスが豊富にある。
今はいわばパッキアオバブルの真っ只中なんです。
 
 

まぁ、そういう訳で、ニエテスも世界タイトルマッチとしての認定はもらえずとも
メキシコ国内でホープとして知名度のあるシルベストレと戦ったわけです。
 
 
 

さぁ、防衛戦にならなかった前戦から気を取り直して、本当の4度目の防衛戦。
迎えるのはマリオ・ロドリゲス(メキシコ)

このピックアップでも取り上げた選手ですね。
軽量級では珍しく、倒したモン勝ちの試合をする1発逆転が代名詞のような選手。
そんなロドリゲスも、ニエテスの前に逆転KOを演出することはできず、大差の12R判定で敗れます。
 

ニエテス、これで4度の防衛を重ねました。
ここで持ち上がったのが1階級上げて、ライトフライ級王者の
ラモン・ガルシア・イラレス(メキシコ)へ挑むタイトルマッチ。
減量が徐々に苦しくなってきていたニエテスはミニマム級の王座を返上し、
ライトフライ級へ照準を定めます。
 
 

ここからライトフライ級でのライバルとの出会い。
ニエテスのレコード本番と言ったところ。

このあたりでまた明後日ということにしましょう。
では!!
 
 

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