サンフアンの名王者 ロジャー・メイウェザー(米)⑥ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/09/21

サンフアンの名王者 ロジャー・メイウェザー(米)⑥ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/09/21
 
 
 

ロジャー・メイウェザー(米)のピックアップ6日目。

前回はロジャーが世界前哨戦に圧倒的な勝利を飾り、世界挑戦に辿り着いたところまで。
 

階段飛ばしでキャリアを進め、デビューからわずか1年半。
負けることを知らずに世界へアタックした15戦目。

挑む王座はWBA世界スーパーフェザー級。

場所はプエルトリコのサンフアン。
美しい海岸線があり、プエルトリコの文化と観光の中心地。
スペイン語で「聖ヨハネ」を意味する美しい都市。

ボクシングとともに野球が盛んな土地に建設されたエスタディオ・ヒラム・ビソーン。
収容能力18000人の大会場…後楽園ホールの9倍にもなります。
プエルトリコ初のメジャーリーガーの名を冠する野球場で
後にはワールドベースボールクラシックの予選が開催されることになる場所。

世界タイトルマッチにふさわしいこの場所に、我らが世界王者でありスーパースター
WBA世界スーパーフェザー級王者 サムエル・セラノ(プエルトリコ)を応援しに大観衆が詰めかけます。

対するはここまでの世界戦の戦績17戦15勝1敗1分。
6年以上この階級の主役として居座り、時代を作った名王者。
 

国民の1/3が暮らすとされるサンフアン。
詰めかけた観衆が終始セラノのパンチに大声援を送る、アウェイ感たっぷりの空気で試合は進行していく。
 
 
 

様子見に徹する1Rのセラノ。足を使いながら手数すくなくロジャーを見つめる。
対してロジャーは追いかけながら、数多くのボディをたたき込む。
セラノはジャブをヒットさせるだけで、歓声が湧きあがる。
 

2Rのゴングとともにセラノは撃って出る。
しかし、距離を詰めたがっていたのはロジャーの方。
迎え撃つ形でコーナーに詰められる。
しかし、ここはカウンターを合わせてスルリと抜け出したセラノ。

足を使って仕切り直そうとするセラノですが…
ロジャーの追い足につかまり、またもコーナー付近でロジャーのコンビネーションが遅いかかる。

上体柔らかく被弾を回避するセラノですが、ボディまで回避するのは不可能。
下へのパンチを織り交ぜるロジャーの連打に、幾度もボディを強打にさらす…。
ここでも、歴戦の王者セラノが巧さを魅せる…
一瞬の隙に、これが当たるのか…!?と驚かされるほど強振した右フックをヒットさせる。

しかしそれでもロジャーは怯まず、コンビネーションが止まらない…
世界初挑戦に並々ならぬ覚悟を感じさせます。
次第にロジャーのパンチはセラノの顔面も捉え始める。

セラノもコンビネーションの隙間に強烈なカウンターを突き刺すも、
ロジャーは全く効いた素振りさえ見せない。
 

3R、接近戦ではクリンチが増え、勝負はミドルレンジ。
圧倒的なスピードでロジャーが主導権を握ろうとするも、
そのスピードを帳消しにしてしまう抜群の当て感を見せるセラノ。
 

4Rに入ると、ロジャーが勝負をかける…
一気に距離を詰め、コーナーまで追い込むと抜群のハンドスピードで上下に叩きまくる。
飲み込まれそうになるセラノは、もらいながら一瞬の隙を突いて強打を突き刺す。

ロジャーがダッキングした場面、観衆は効いたと勘違いして大声援。
それほどまでに一撃を期待させるボクサーがセラノ。

ロジャーが撃ち疲れを見せ、クリンチに逃げるようになると、
鈍ったロジャーの離れ際に次々とカウンターを放り込むセラノ。
それも全力で振るったようなパンチで…
観客は総立ちに…試合は激戦の様相を呈します。
 

5R、回復したロジャーは、右強打から入ってビッグパンチを2つヒットさせる。
しかし、ロジャーが三つ目を放った瞬間、セラノはクロスカウンターを突き刺す。
簡単には入れなくなるロジャー。

二人の間には圧倒的なスピード差があり、ヒットの数ではロジャーが上回るにも関わらず、
その隙間に、的確で、そして全力で振るうセラノのパンチが刺さる。
ダメージで言えばどちらに分があるのか分からなくなる戦い。
 

6R、接近戦ではロジャーの回転が勝る。
しかし距離ができると、一撃で試合が終わってもおかしくないセラノのビッグヒットが刺さる。
スリル満点の試合…このラウンド、自ら接近戦の撃ち合いに出たセラノ。
ド突き合いに雪崩れ込んだ二人の戦い…しかし、その時間はわずか。
セラノの大きな右フックに、ロジャーのショートが突き刺さり、セラノの膝が折れる。
セラノは警戒感を強めたか、一旦距離を置いて、このラウンドは終了。
 

7R…序盤から幾度もボディを襲われてきたセラノ。
足を使って距離を保とうとするも、そのキレは鈍り始める。
しかし、鈍り始めるのは序盤から手を出し続けてきたロジャーも同じ。

お互いビッグパンチの被弾も重ね、試合はペースダウン。
しかしラウンド後半、虚をついて詰めたセラノが強烈な撃ち下ろしを突き刺す。
接近した二人の距離…ここでロジャーもお返しとばかりにセラノに同じような撃ち下ろしをヒットさせる。

これが、効いたセラノは上半身と下半身がチグハグに…
一気に攻め立てるロジャー…コーナーに追いつめて滅多撃ちの中、ラウンド終了のゴング。
 

8R、セラノの強打に前に出続けてきたロジャー。
効いていないハズがない。
前のラウンドのダメージを残すセラノに対して攻め立てるロジャーですが…
クリンチで捕まえてロープ際までロジャーを押し込んだセラノ。
ロジャーの首から上が吹っ飛んでいきそうな右フックをたたき込む。

お互いがいつ倒れてもおかしくないダメージを抱え、
支え合うようなクリンチの中、フォームも何もあったもんじゃないパンチの交換。
ドロドロの展開の中で、ロジャーが突き刺したのは右フック
セラノはロジャーに組みつき、ロープにつかまり、ふらつく足でダウンを拒否。

必死に二人をひきはがすレフリー…。
仕切り直した二人の間にできた距離、先に手を出したのはセラノ。
右のオーバーハンドをロジャーのテンプルに叩きつけるとそのままロジャーに体を預ける。
しかし、スッと距離をあけたロジャーはスリークウォーターの右アッパーを繰り出し、
さらに左フックをセラノのテンプルに叩きつける。
倒れかけたセラノは踏みとどまり、最後の力を振り絞って体を起こす。
しかし…そこに待ち受けたのはロジャーの右ストレート。

冷静にセラノが体を起こすのを待って、綺麗に顎を撃ち抜いた一撃。
最後のトドメを刺され、大の字にリングに倒れ込んだセラノにカウントを数えるレフリー…。
そのカウントはセラノを助けに入ったセコンドによって止められる。

この階級ではハードパンチャーとは言えないロジャー…。
しかし、そのパンチのスピードはすさまじく、刃物のような鋭利さで相手の肉体をえぐっていく。
…残酷なKOシーン。

静まり返る会場にこだまする女性の悲鳴。
完全アウェイの中で、ロジャーが生ける伝説とさえなっていたセラノからベルトを強奪します。

第22代WBA世界スーパーフェザー級王者 ロジャー・メイウェザー。

時代を築いた王者を完璧に討ち破る8RTKO勝利。
衝撃の新旧交代劇を見せつける。

また、のちに名門となるメイウェザー家に初の世界のベルトがもたらされたシーン。
 
 

…しかし、劇的な勝利とは裏腹に、セラノの強打を幾度も浴びたロジャー。
この試合をきっかけに、ロジャーのボクシングが変化していきます。

「腹は撃たれるほど強くなるが、顎は撃たれるほど弱くなる」

実際に、この試合がきっかけかは分からないですが…
ロジャーはこの試合まで、撃たれてもそれを億尾にも出さない撃たれ強さを兼ね備えていました。
それがこの試合以降、急激に撃たれ脆さを見せるようになった…
僕にはそんなふうに見えてしまいます。
 

黒い毒蛇…ブラックマンバは以降、手負いの獣のような不気味さを携えるようになっていく…。
 
 

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