チャベス再び ロジャー・メイウェザー(米)㉒ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/10/23

チャベス再び ロジャー・メイウェザー(米)㉒ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/10/23
 
 
 

ロジャー・メイウェザー(米)のピックアップの22日目。
 

WBC世界スーパーライト級王者となったメイウェザーが4度目の防衛を成功させたところまで。
 
 

 

さて、5度目の防衛戦…
またも立ちはだかったのはフリオ・セサール・チャベス(メキシコ)

まだまだ連勝記録は継続中。
ロッキー・マルシアノ(米)を軽く越える62連勝…

(BoxRecでは62勝ですが…古い映像では60勝…。
 どっちが正解なんでしょう…チャベスの戦績さえ間違ってる?
 まさかとは思いつつ…どちらかが誤ってるんでしょう。
 知ってる方…もしいたら教えてほしい)
 

かつてロジャーのスーパーフェザー級での返り咲きを阻んだメキシコの英雄が
階級を上昇させ、ロジャーのスーパーライトのベルトを奪いに来ます。

1戦目とは王者と挑戦者の立場を入れ替えた戦い。
積み上げた星の中にメキシカンを多く含んでいたロジャー。
メキシカンキラーと呼ばれた男を、メキシコからの刺客として英雄チャベスが成敗にかかる。
そんな試合前の構図。

前戦では2Rにジャンプしながらの野性的なフックでロジャーを沈めたチャベス。
あのころとは、名声も実績も人気も…より大きくなっている。
勝ち続けてきたチャベスか…負けながらもベルトを勝ち取って、チャベスを迎え撃つロジャーか…。
前回から4年弱の月日を経て、二人の差は開いたのか、縮まったのか…。
 
 

試合開始のゴングが鳴り響きます。
 

足を使うロジャーに大きく振るうフックでまずはチャベスが捉える。
ロジャーも狙い澄ました右ストレートでチャベスのテンプルを捉える。
チャベスはずいずいとプレッシャーをかけていき、リングの広さを削り取っていく。
ロジャーの進行方向から飛ばすチャベスのフックは幾度もヒットするが
ロジャーもしっかりいなして、致命傷にはしない。
 

2R、積極的にジャブをヒットさせていくロジャー。
しかし、逃げ道をふさぐチャベスのフックがロジャーを襲う。
ロープ際に追いつめられてラッシュにさらされるロジャー。

ここで開き直ったか、ロジャーが撃ち合いに出る。
前回の敗北からウィテカー戦での敗北をきっかけに、より攻撃的な部分で開花したロジャー。
シャープなフックやアッパーがチャベスを捉え…チャベスも強烈なフックで捉え返す。
上体柔らかにチャベスをかわしながら、切れ味鋭いブローをカウンターで撃ち込むロジャー。
しかし、下がらずに強烈なフックを叩き込むチャベス。

前回ロジャーが沈んだKOラウンド…試合はここから熱を帯びていく。
 

3R、チャベスが入ってくるところに合わせるだけでなく、
長い腕をしならせて撃つアッパーやフックで、チャベスの顎をエグっていくロジャー。
途中、ロジャーの強烈なボディがローブローとなってしまうものの、ここは注意のみで試合が再開。

チャベスの圧力は相当なもので、飛び込まれてフックを叩き込まれるシーンも多数。
チャベスの上下の撃ち分けも、ロジャーのディフェンスを翻弄…。
お互いにダメージブローを叩き込みあい、二人の撃ち合いは拮抗する。
 

4R、前半、強烈な右クロスやアッパーでチャベスをエグるロジャー。
しかし…チャベスはロープ際を回るロジャーに強烈な右ストレート一撃。
ロジャーのカウンターを浴びつつも、押し込んでいく。

コーナーに押し込んだチャベスのチャンス…しかしここは上手く体を入れ替えたロジャーが
逆にチャンスをつかみ、一気のラッシュ。
しかしチャベスの圧力は凄まじくリング中央までロジャーを押し返す。

二人はヒートアップし、ゴング後もホールドしたチャベスの腕を離さないロジャー。
激しい口論にセコンドが割って入る。
 

5R、インターバル中、頭に血が上りセコンドともやりあったロジャー。
コーナーを出るのが遅れたことで、先に出ていたチャベスと距離が詰まった状態でラウンドが始まる。
ここでボディを効かされてしまったロジャーは手が出なくなる。
ガードは下がり、足は死に、このラウンド、チャベスが一方的に支配。

このラウンドの強烈なボディが試合を大きく動かす。
 

6R、ロングレンジのパンチでチャベスを遠ざけようとするロジャー。
客席はチャベスのパンチにのみ湧きたつがロングレンジでは腕の長いロジャーが優位に展開。
中盤には右ストレートでチャベスのテンプルを撃ち抜く。
さらに右の撃ちおろしから右アッパーをヒットさせるロジャー。

しかし距離を詰めたチャベスが近距離での撃ち合いに持ち込むと…
強烈な右のショートから左フックでロジャーをフラフラと後退させる。
撃ち合いに突入した二人…チャベスが優位ではあるものの…
ロジャーの鋭利なアッパーも幾度もヒットしており、並みのボクサーなら倒れておかしくないほど。
 

7R、頭を付けての撃ち合いになり、やはり優位なのはチャベス。
ゴリゴリと体で押しながら、ホールディングしようとするロジャーの腕を振りほどき
ガチャガチャの撃ち合い…そんな中でも強烈なブローをしっかり叩き込む。

しかし、ロジャーもわずかに隙間を作っては、その距離に拳を走らせカウンターを叩き込む。
試合自体はチャベスがリードしているように見えるものの…チャベスにダメージがないハズがない。
そんな風に感じる大激戦。

このラウンド終了後、ゴング後も二人は撃ち合いを辞めず…。
レフリーも止めに入るのが遅れ、ロジャー側のセコンドが二人を引きはがす。
ブチ切れてロジャー側のセコンドに怒鳴り散らすレフリーですが…止めるのはあなたの役目です。
 

8R、チャベスがゴリゴリと体で押しながら攻めてくるところを
見栄えのいいカウンターで強烈なヒットを奪うロジャー。
その後、コーナー付近でアリシャッフルを見せて挑発すると、抜群のハンドスピードで抵抗しはじめます。

ロジャーの左目上の傷に対してのドクターチェックを挟み、一旦試合がストップ。
再開後、ロジャーはハンドスピードでチャベスを飲み込むようなラッシュを見せる。
ここにきて、圧倒的にチャベスを上回るラウンドを作ります。

このラウンド終了後も、ゴング後の加撃を辞めないロジャー。
レフリーが強く注意を与える。
 

9R、自らコーナーに下がってチャベスを迎え撃つロジャー。
しかしこのラウンド、チャベスは休みにかかったか、足を使って下がる。
そうすると腕の長いロジャーが一方的に試合を作る。
ラウンド中盤にはこれまで通り体で押し込み始めたチャベス。
 

10R、足を使ってのアウトボクシングに切り替えたロジャー。
攻め込むチャベスに、捌くロジャー、強烈なカウンターを軸に
チャベスを翻弄します。
 

お互いに疲弊した試合…ここから後半どう試合が展開していくか…
しかし、試合はここで突然の終了。
 
 
 

…ロジャー陣営がギブアップ。

ボディの名手、チャベスが派手な攻防の中で、地味に織り交ぜていたボディ。
これが効いてしまい、ロジャーが胃痙攣を発症…これ以上の戦いは不能となり
…チャベスを苦しめはしたものの、4度守った王座を手放してしまいます。

しかし…若かりし頃に完敗した相手にしっかりと抵抗を見せたロジャー。
かつてのKO決着が元で、チャベス勝利が確実視されていたこの試合。
…意地を見せた形。
 

ジョー小泉氏に「チャベスはこれまでにないほど苦戦した」とも言わしめた試合。

しかし…いくら善戦しても敗者に残される物はほとんどない…
それもボクシングの一つの形。
 

チャベスはこれでメキシコ史上初の三階級制覇。
スーパースターとして、またひとつ歴史を刻んだのもこの試合。
 
 

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