チャンス到来 ラリー・ホームズ(米)② ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/05/21

チャンス到来 ラリー・ホームズ(米)② ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/05/21
 
 

 
 

前回はラリー・ホームズ(米)が22連勝を飾ったところまで。
 

それでも、プロモーターのドン・キングに気に入られていなかったホームズは、
自分に世界挑戦のチャンスが巡ってくるなんて思いもしていなかった頃。
 
 

次の相手は引分を挟んで7連勝中と勢いに乗っていたトム・プラーター(米)。

この選手、バネの効いたスピーディーなジャブは逸品で、左フックの鋭さも素晴らしい。
ハンドスピードだけで言えば、ホームズをしのいでしまう程…。
 
 

しかし、ホームズは試合開始直後にジャブをいくつかもらうと…
「こんなもんか?」…とばかりに攻撃開始。
フットワークでひらひらかわして相手のジャブに交差させるように自分のジャブを次々に突き刺していく。
しかし、プラーターもスリリングなタイミングで右フックを合わせるなど、意地を見せる。
 

2R、強烈なジャブを突き刺すホームズ。
分が悪くなったプラーターが距離をつぶそうと組みつくと、
強烈な右ボディから右アッパーを突き刺す。

離れてもダメ…くっついてもダメ…
 

3Rには下がって旋回しようとするプラーター…。
しかし足でホームズに敵うはずもなく…
右のボディ、顔面への右アッパーをしこたまもらってしまい、ラウンドが終了するころにはグロッギー寸前。
腹が効いてしまい、膝が立ったことで、序盤に見せていたバネの効いたジャブは消え失せ…
 

4Rにはジャブを当てるのがやっとになってしまったプラーター。
ホームズの右アッパーと右ボディは初動が同じで、どちらが来るか見極められない。

ホームズがいつ倒すか…といった展開だが、やはりこの試合もホームズは無理には攻めない。
ジャブを中心に組み立てて2分30秒を戦い、残り30秒だけ責め立てる…。
そのたった30秒でプラーターはグロッギー寸前に…。
 

5R、状況を打開しようと一気に攻めて出るプラーター。
しかし攻撃はホームズのブロックの上、ホームズはちょっと頭にきたか、
一気にたたみかけ、ボディを連打…復活しかけたプラーターを一気に消耗させると…
またも手数を抑え、左を突きながらぐるぐる廻る。
 

6,7Rとしっかりアウトボックしたホームズ。
最終ラウンドは逆転を狙って前に出てきたプラーターがホームズをロープに追い詰めて連打…。
すると…ロープを背負いながら「大人しくしてろ!」という言葉が聞こえそうなラッシュ。
すぐさま攻勢は逆転し、プラーターはフラフラの状態に…。
 

加点法で採点されたこの試合、(6-0、7-0、7-0)の3-0でホームズが大差の判定勝利。
 
 

続いてはプエルトリコでのホレス・ロビンソン(米)戦。
ジョージ・フォアマン(米)とジミー・ヤング(米)の前座として出場。
 

前進するロビンソンを捌きながら強打を突き刺すホームズ。
ロビンソンはずるずるに疲弊してしまい…
 

4Rには右のショートを効かせると最後は左アッパーで最初のダウン。
立ち上がってきたロビンソンに対し、足を止めて責め立てる。
足を止めたホームズは本当に強い。
 

4R終了後、コーナーの位置さえ把握できず、リングをさまよいながら自分のコーナーに戻ったロビンソン。
次のラウンド開始に応じることができず…。
 
 

これ、BoxRecの記録上5RTKOになっていますが、映像見た限り4RRTD(棄権)が正しいんじゃないかな…。
それはともかく、ちょっと残虐にも見えるホームズのボクシング…。

この後2勝を追加し、26戦全勝。
ここまで連勝を重ねたところで、千載一遇のチャンスが…。
 

ボブ・アラムがヘビー級を独占することを恐れたドン・キング。
そこで、アリとの試合を出汁にWBC世界ヘビー級王者だったレオン・スピンクス(米)に王座を放棄させ、
指名挑戦者だったケン・ノートン(米)に認定で王座を獲らせる。
(この当時、王者が指名試合を避ければ、王座を剥奪し、指名挑戦者を王者に認定することがあった)

ちなみにノートンは、ドン・キングと契約のある選手。
そしてこのノートンに挑戦する選手を決める、WBC世界ヘビー級の挑戦者決定戦。

ここに、ホームズをぶつけます。
 
 

相手はアーニー・シェーバース(米)
直前にはこの頃WBA/WBC統一世界王者だったモハメド・アリ(米)へ挑戦。
判定で星を落とし、世界再挑戦を賭けてホームズと激突。

アリが戦った相手で最もパンチ力があった選手に、このシェーバースを上げたのは有名な話。
かつてホームズがスパーリングパートナーを務めた相手でもあります。
 

凄まじいハイスピードのジャブの応酬で始まったこの試合。
最初のビッグヒットはシェーバースが奪うものの、その後は的確なジャブから右へつなげたホームズが、
シェーバースを支配。

1R終盤には前へ足を進めたホームズがあっという間にシェーバースをコーナーに追いつめる。
 

2Rもホームズが支配しますが…さすがは世界挑戦経験者。
時折ひやっとする大砲を撃ち込み、会場のボルテージを挙げていく…。
ホームズが強烈な右で応酬しても、シェーバースは何事もなかったかのように効いた素振りを見せない。
 

3Rには一旦落ち着いて丁寧にジャブを外しつつ前へ進むシェーバース。
ホームズを相手に時折、強烈なパンチを叩き込みます。

しかしジャブを全て避けることは不可能。
ホームズの重いジャブに思うように距離を詰めれず、当てても単発。
無理に詰めると強烈な右に襲われる。
なかなか展開を打開できないシェーバース。
 

5R、一転足を止めるホームズ。
しかしシェーバースのプレスは強く、じわじわと下がりながらの展開になってしまいます。
ここで強烈なフックをもらったホームズ。
カチンと来たか、足を止めて、豪快な右を振り回します。
こうなるとホームズは強い。

1発効かせてコーナーへ追い込むと、「アリのコピー」とは程遠い強振で、
重い右フックをいくつもたたき込みます。
シェーバースもやり返そうと、カウンターを合わせようとしますが、そのカウンターにカウンターを合わされ…。
撃ち合いの技術でも圧倒的にホームズが上回る…。
 

6R、シェーバースがプレスを強めます。
すると中盤に強烈な右フックがホームズを捉え、ロープにつめてシェーバースが攻勢。
ショートレンジでスリリングなパンチをいくつもたたき込み、ホームズを追いつめる。

しかしシェーバースの攻勢がわずかに緩んだ隙にリング中央までスルリと抜け出したホームズ。
仕切り直すと、さらに攻めようと振って出るシェーバースをカウンターの餌食に…

それにしても…お互いに倒れておかしくない様な強打をもらいつつも失速せず…撃たれ強い。
 

7R、少し休みにかかったホームズ。
足を使いながら細かいジャブのみでシェーバースを捌きます。
スリリングなパンチを振って追いかけるシェーバース。
するとラウンド終盤、強烈な右ストレートがホームズを捉える。
それはホームズの体ごとズレるほどの威力。

しかし…これがまたホームズをキレさせる。
お返しとばかりに足を止めたホームズが襲いかかります。
シェーバースはガードを固めるも、技術豊かにその隙間に強打を放り込むホームズ。
シェーバースは連打に曝されながら、ゴングに救われます。
 

8R、インターバルの間にしっかりクールダウンし、また捌きにかかるホームズ。
左でストップしながら強引にくれば、カウンターを突き刺す。
しかし撃たれ強いシェーバースは全く疲弊せず。

このラウンド終盤、シェーバースが左フックを空振りして流れた所に強烈な右フックを浴びせたホームズ。
決めにかかったものの、若干鈍り始めたホームズと消耗しないシェーバースの撃ち合いは互角に…
変わりつつある流れを感じた会場が沸き立ちます。
 

9Rには前のラウンドの流れを変えようと、ホームズがフットワークを全面に押し出します。
ラウンド後半までシェーバースは全く手が出ず…。
しかし後半、ホームズをコーナーに追いつめるたシェーバースは強烈なフックを叩き込みます…。

が…足をとめたホームズの強さは健在。
お返しのラッシュでガードの上からお構いなしに強打を叩き込まれ、シェーバースは防戦一方に…。
そのままコーナーを脱出され、捉えきれず。
 

10R以降、ポイントアウトを狙ったホームズが弾むようなフットワークでシェーバースを突き放す。
ほとんど手が届かなくなってしまったシェーバース。

最終12Rの残り30秒、最後の見せ場とばかりに足を止めて撃ち合いに出たホームズ。
シェーバースは腰が落ちるほど効かされグロッギー寸前に…。
 

結局この試合、判定は(120-108、120-108、119-109)の3-0。
ホームズがほぼフルマークの圧倒的な勝利を収めます。
 

直近の試合でアリに敗れていたシェーバースですが、
アリをあわやダウンというところまで追い詰めるシーンもあった選手。
そんな名のある強敵に圧勝し…世界挑戦に駒を進めます。
 

…と、次の試合は世界ヘビー級タイトルマッチとしては歴史に残る激戦。
しっかり書きたいので今日はここまでということで。
 
 

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