ラスベガス(コラム) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2015/12/05

ラスベガス(コラム) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2015/12/05
 
 
 

カオサイ・ギャラクシー(タイ)のピックアップが終わりまして。
今日はちょいと中休み。
 
 

先月、村田 諒太(帝拳)三浦 隆司(帝拳)がラスベガスに進出しまして。
ラスベガスが凄い…ってなってますが、なにか違和感を感じてしまうんですよね。
 

「ラスベガス=最強」のような勘違いが蔓延っているような気がしてならない。

ラスベガスはボクシング界でNo.1の場所。
それは間違いないです。
 

ただ、No.1というのは最もお金を集められる人間が出る場所。
ラスベガスのメインは一番強い人間が集まる場所ではない。
一番話題性のある人間が出る場所です。
 
 

つまり、日本で言うところの亀田家が出る場所なんです。
それが、さも強ければ出れる…強くなければ出れない…というような
勘違いが一部で生まれいるような気がしてならない。

確かに過去、ラスベガスのメインでは最強王者達がしのぎを削りました。
パウンドフォーパウンドが誰かっていうところの候補に上がれば、嫌でも注目は集めますから。
それこそラスベガスのメインに出ることになるでしょう。
 

でも、最近までヘビー級の絶対王者だったウラジミール・クリチコ(ウクライナ)の主戦場はドイツ。
昨日まで紹介してたカオサイも母国タイでの試合をメインとしてラスベガスには出ていない。
現在も歴史上もラスベガスにはいない強い連中っていうのはゴロゴロいるわけです。
 
 

名誉か?強さか?金か?これは全て別物であって、同時に語るとどうしても歪みができる。
あんたはどれに価値を感じるのかはっきりしろ!
…って言いたくなるような論調がネットのそこらかしこに転がってる。
モヤモヤしてしまうわけです。
 
 

石田 順裕(グリーンツダ)という選手を知ってますか?
元WBA世界スーパーウェルター級暫定王者で1度だけ防衛。
正規王者との王座統一戦で敗れた選手。
キャリア終盤は一気にヘビー級まで上げて、藤本 京太郎(角海老宝石)と日本ヘビー級王座を争ってたので、
その辺りでも認知を得ているイメージはありますが。

彼はラスベガスで歴史に残るアップセットを演出しました。
米国で大人気だった倒し屋、ジェームズ・カークランド(米)を1RTKO。

石田はこの当時ミドル級。
階級を上げて来たばかりの元世界暫定王者。
別に階級最強と目されていたわけではないんです。

今まで日本人で、ラスベガスを最も熱くしたのはこの選手じゃないかと思います。
 

強さと名誉…これが別物だっていうところを理解しないと、
そのうちラスベガスは虚像でした…ってなっちゃうんじゃないかと。
ラスベガスは名誉と金を手に入れに行く場所。
最強の証明はラスベガス以外でも充分できるし、逆に言えばラスベガスだけじゃ不充分。

ラスベガスで全てが手に入る可能は0ではないですが…。
 
 

まぁ、最強の証明だって、フロイド・メイウェザーJr(米)vsマニー・パッキアオ(比)
決まり切った訳じゃなくて…
メイウェザーにはドーピング疑惑があるし、パッキアオはちょくちょく負けてる。
これを言い出すとキリが無くなって、歴史上まで遡って、じゃあロッキー・マルシアノ(米)
あの当時はボクシングのレベルが低かったし…やっぱモハメド・アリ(米)…いやいやあんな反則野郎。

…みたいな。
答えが出ないところに突き進んでいく。
 

でも実はボクシングにおいて、そんなすっきりした回答って実は必要なくて、
あの時アイツとアイツが戦ってたら…
もしあの試合が全盛期同士のぶつかり合いだったら…

そんなところに思いを馳せるのも楽しみだったりするんですよね。
それが実現不可能になればなるほど哀愁を増すと言いますか…。
 
 

僕自身は強い者が勝つわけじゃない!って持論がありますので、
結局いつも歴代最強には輪島 功一(三迫)を上げてしまいます。

だって輪島なら、モハメド・アリ(米)だろうがロッキー・マルシアノ(米)だろうが
対戦するってなったら、想像もつかない手段を必死に考えて、勝とうとしちゃうんじゃないかと…。
そしてそれを実現しちゃうんじゃないかと…。
 
 

あとね、強いヤツとやれ!って無茶ブリね。
最近、行き過ぎててちょっと萎えます。
マッチメークの難しさは散々書いてきてますんで、そこは今回は置いといて。

例えば、井岡 一翔(井岡)ローマン・ゴンサレス(帝拳)から逃げたって論調。

実際戦ったとして、どちらにもメリットが無さ過ぎます。
だからこそ、帝拳プロモーションは待機料を受け取ったわけでしょう?
井岡が悪いわけじゃない。
井岡陣営と帝拳陣営がわずかばかりの待機料で折り合いを付けるレベルのカードと判断したわけです。

お互いが進んでいく道の途中でぶつかれば、そりゃやり合うんでしょうが、それこそ時の運。
戦って欲しい二人が戦うことなくエンディングを迎える…。
リアルだからこそそれがあって、それが逆に実現時の爆発力を産むように感じます。
試合が組まれれば騒げばいい。
組まれていない試合に騒ぐのは何か違う気がするんです。

だって、そこが実現しなくたって、楽しみにできるカードはいくらだってあるわけで…。
 
 

あと、井岡、井上、ロマゴン…この辺がぶつかりあったら、次何やるの?って問題もあります。
井岡vsロマゴンで井岡勝利!次の試合は世界15位の選手です…でチケット売れますか?
ロマゴンが再起戦します!相手はタイのナショナル王者です…でチケット売れますか?
 

亀田 興毅(亀田) vs 内藤 大助(宮田)

めちゃくちゃチケット売れたそうですが、次の世界戦、チケット売上1900枚だそうで。
 

そういうチケット買わなきゃ、プロモーターはビッグマッチ怖くて試合組めないと思うんです。
 

僕ね、他の格闘技で言えばプロレスのノアが好きだった。

小橋と三澤の頂上対決やった直後に、次の防衛戦は田山です…って。
田山が大好きってファンはもうマニアですよ。
それでも、その防衛戦のチケットはちゃんと売れる。

無理やり客にコビ売るようなマッチメイクをせずに
ちゃんといろんな選手にチャンスがあって、それを堂々と興行してた。

ファンも、それがノアだってチケットを買う。
そしてその田山の試合にちゃんと面白さを見出す…。
 

・・・・・・・・
脱線してるので話をボクシングに戻しますね。

選手には調整試合も必要だし、思うようないい選手と試合が組めないタイミングもある。
そこに面白さを見いだせると、毎週毎週バカみたいにボクシングが楽しめる。
 

弱いだのつまらないだのって言われるものほど、僕は「いやいやいや…」って言いたい。
だって面白くない試合なんか見たことないもの!

だから、「ここ面白いじゃん!ほら!」…って。
 
 

ボクシングには多角的な見方がある。
だから、一方から頑固な視線で見るのではなくて、
立ち位置変えてみたり、角度を変えてみたりすれば、楽しい試合がどんどん増えていく。

選手の強さを楽しむ。
選手のドラマを楽しむ。
選手の背景を楽しむ…。

試合それぞれ、楽しみ方を変えちゃえば、何かしらは当たるものがある。
塩試合と言われたり、噛ませとの試合だったり…。

リアルを追求したからこそ産まれるそういった副産物のような試合も
見る側がチョイチョイ…と工夫すれば、いくらだって楽しめると思ってしまいます。

そういうのが伝わるブログが書けたらいいな…って思います。
僕はそういうの、楽しんでますから。
 

というわけでまた明後日!
 
 

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