渡辺 二郎を破った男 ヒルベルト・ローマン(メキシコ)① ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2015/12/07

渡辺 二郎を破った男 ヒルベルト・ローマン(メキシコ)① ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2015/12/07
 
 

前回ピックアップしたカオサイ・ギャラクシー(タイ)
WBA世界スーパーフライ級王座(当時ジュニアバンタム級)を占領していたころ、
もう一方のWBC世界スーパーフライ級王座は渡辺 二郎(大阪帝拳)からベルトを奪ったこの選手を
中心に動いていました。
 
 

本日からはヒルベルト・ローマン(メキシコ)のピックアップです。
 

この選手を語るとき、必ず一緒に語らないといけない人物がいます。
ウンベルト・ゴンサレスの回でも登場した名伯楽、イグナシオ・ベリスタイン(メキシコ)
 
 

リカルド・ロペス(メキシコ)オスカー・デラホーヤ(米)ウンベルト・ゴンサレス(メキシコ)
彼が育てた選手を並べると、こんなえげつないメンバーが並びますが、
いずれもボクシング自体が逸脱した選手はおらず、基礎の上に成り立つテクニシャンです。

何かが飛び抜けた選手を育てるのがうまいトレーナーなんていうのもいますが、
彼の育てる選手は、いずれもバランスの取れたボクサーばかり。

どちらかと言えば、選手を育てる…よりも稀代の戦略家であったことが評価されています。

勝ったと思った試合がスルリと敗北に入れ替わる、
実力差をその場の的確な判断であっという間に埋めてしまう…。
 

そんなベリスタインが語ったローマンの性格。
…それは、稀代の遊び人。
世界王座を獲得しお金が入るようになると、かなり悪化したようで。

しかしそこはベリスタイン。
私生活にも戦略を…。
なんと、遊ぶ時間ができないよう試合間隔を狭めるという荒業でローマンをボクシングに縛りつけます。

1ヶ月半~3ヶ月間隔くらいのペースで防衛を重ねていくんですね。
一番長く開いた5ヶ月っていうのが1回あるくらい。
尋常じゃないペースです。
 

それに合わせてこの時代、中南米系の選手の場合、タイトルを獲得するまでは
月に1試合ペースで試合する選手も多く、とんでもないスピードで戦績が積み上がっていきます。
戦績だけ見ると61戦ですが、実はローマン、最後の試合は28歳。
デビューが19歳なんでわずか10年弱の間に積み上げた試合数なんですね。

日本では17歳でデビューして日本で規定されてる引退年齢37歳まで試合し続けた選手でも、
50戦に届くなんて稀有。
ローマン、もうとにかく、試合、試合、試合!…なんですね。

そんな毎月なんてなったら、熟考してマッチメイクしてる暇なんかないわけです。
ローマンが世界挑戦するまでの対戦相手はひっちゃかめっちゃか。
世界挑戦経験者と戦ったと思ったら、たった数戦の選手と戦い…みたいな。

やってもいいよって相手と片っ端から試合してるような感じなんです。
 

中身を詳しく除いていきしょう。

モスクワオリンピックのメキシコ代表としてメダルまであと1勝としながら、
メダリストには届かなかったローマン。
10戦目までは国内タイトル獲得者もおらず、特筆するとして下記の3名くらい…。

のちに国内タイトルに挑戦する4戦全勝のレニー・バルデス(メキシコ)
ハリスコ州王座に挑戦経験があり、48戦目のベテラン、フアン・サラテ(メキシコ)
元ゲレロ州王者のチロ・カジェタノ(メキシコ)
 

10連勝を飾って迎えた11戦目。
相手はのちにWBC世界バンタム級王者ラウル・ペレス(メキシコ)
挑戦するディエゴ・アビラ(メキシコ)。
初めての強豪って奴ですね。

この試合、結果は7R反則負け…。
バッティングによる対戦相手続行不能。
普通は負傷判定になるもんですが…故意、
もしくは悪質(再三の注意にも関わらず)となってくれば反則負けをとられます。
どちらかなのかは判別がつかないのですが、これ…完全にローマンの悪癖。
カオサイの肘のように、レフリーに見えていなければ反則は取られていないはず。

時にはダーティーに…というのも僕はアリだと思う派。
世界王者のベルトが無ければ食えない世界。
例え汚い手段だったとしても、勝つために必要なことであればやる。

ただし、見つかる、反則負けを取られる…となると、未熟だったとしか言いようがありません。

なんとも言えない初黒星。

ボクシングにたらればはないと言いますが、ここでもしこの星を獲ってれば…。
ローマンにとってはチャレンジマッチだったはず。
もっともっと早い段階で世界に挑めていたんじゃないかと…

まぁ、それはそれで敗北は敗北。
 

気を取り直してのちに州王座に挑むボビー・ルイス(メキシコ)を破って再起し、その後も勝ちを重ねます。

実績のある選手をあげると…

州王座挑戦経験者のホセ・トーレス(米)
NABF北米王座挑戦経験者のルーペ・アコスタ(メキシコ)
元国内王者ウバルド・ゴンザレス(メキシコ)
元州王者ロン・シスネロス(米)
のちの国内王者 アントニオ・エスコバル(メキシコ)、エリド・フェルナンデス(メキシコ)
のちの州王者 ジョージ・ガルシア(米)

中でも特筆すべきは、バンタム級の名王者カルロス・サラテ(メキシコ)に挑戦したこともある、
オーストラリアを主戦場位とするイタリア人、ポール・フェレーリ(伊)。

これくらいでしょうか…。
32戦31勝1敗…というレコードから行くと、中身は物足りなく感じるかもしれません。

中にはロドルフォ・マルチネス(メキシコ)なんて面白いレコードの選手も…
ローマンとの対戦時、34戦25勝7敗2分…地域王者くらいには届いてそうなレコードを誇っています。
彼は世界タイトルはおろか、国内や州タイトルにさえ挑戦もできずに引退しています。
これはちょっと後々取り上げますね。(いつになることやら…)
※第10代WBC世界バンタム級王者のロドルフォ・マルチネス(メキシコ)とは別人。
 

さて、ローマン33戦目。
2年半前、反則負けで初黒星を喫した強豪、ディエゴ・アビラとの再戦に挑みます。
この試合8RTKOでしっかりリベンジを果たしたローマン。

これでフェレーリと合わせて世界挑戦経験者を1年のうちに2人破ったことになります。
 

さて、世界が見えて来たところで、もう1戦強豪選手。
2階級を目指す、元WBC世界フライ級王者、アントニオ・アベラル(メキシコ)。

この試合、5R反則負け…
この試合もバッティングです。
1度ならず2度までも…

ここぞという時にやらかしちゃうんですね。
この負けを引きずったのか、再起戦ではメキシコ王座の常連、ホルヘ・ラミレス(メキシコ)に判定負け。

この判定負けはかなり効いたようで、KOパンチャーとして鳴らしていたローマンは
ここで技術を伸ばす方向にスタイルチェンジします。
これがより一層ローマンを強くしました。
 

ただし、レコード的にはこれはちょっとまずいぞ…ってところ。
ここで、幸運に恵まれます。

アントニオ・アベラル(メキシコ)との再戦。
早々にリベンジのチャンスを拾う訳です。
 
 
 

落としたら洒落にならない試合、しかも相手は元世界王者…。
この試合、7RTKOではっきり決着をつけ、生き残りに成功します。
 

名王者でもキャリアの分かれ目っていうのはあって、
この試合を落としてたらローマン…どうなってたか…。

ちなみにアベラルはここから次の世界挑戦まで2年半もの遠回りを強いられました。

選手寿命の短いボクシングにおいては2年半って致命的。
たった2年半でもボクサーとしての老いは襲ってきます。
アベラル、最後は世界戦に敗れて引退したんですが、ローマンとの試合を落としてなければ
もう1戦くらい世界を目指せた可能性もありますし、
もっといい時期に世界挑戦できていたはずなので
2階級制覇を達成していた可能性は充分にあると思います。
 

そんな生き残りマッチの要素を含む試合…
見てたら興奮しただろうなぁ…と思いつつ、情報がないので試合内容なんかもわからず。
 
 

実はね、日本でもこういう試合が後楽園ホールで行われてる。
もう躓けない、でも勝てば世界挑戦の流れに乗れる…そういった二人のぶつかり合い。
サバイバルマッチという奴ですね。
 

民放のニュースなんかじゃほぼ取り上げられない、一般的にはマイナーな試合かもしれません。

ただ、その選手のこれまでの足取りやジムの方針…そういったディテールが見えてくると、
これはとんでもないマッチアップ!…みたいな。
それこそ、ボクヲタよだれモノの一戦。
 

興味ある人はコメ欄になんか書いてくれれば一緒に見に行くから。
その辺の見どころはいくらでも説明するよ!!

この試合はこうこうこうで…とか、
この選手はキャリア的にここが踏ん張りどきで…とか
負け越しで日本ランクも遠いんだけど、凄くポリシーのある試合してて…とか。

すこぶるうっとおしい解説するから!
 

ま、ちょっと最近忙しいので、当面は東海地方の試合に限られますが…
 

これ以上いくと、果てしなく脱線していきそうなのでとりあえず今日はここで切ります!
ローマンの世界獲りはまた次回!
 

というわけでまた明後日!
 
 

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