日本降臨! カオサイ・ギャラクシー(タイ)③ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2015/12/03
本日はカオサイ・ギャラクシー(タイ)の3回目!
カオサイがついに日本に降り立った10度目の防衛戦からです。
相手は松村 謙二(JA加古川)
この松村、この時点で12戦9勝2敗1分とレコードは平凡ですが、その中身が実は圧巻。
デビュー戦から国内の強敵との潰し合い。
彼のレコードの中でタイトル戦を行えなかったのは1人だけ。
OPBF東洋太平洋王座を4度防衛しての挑戦です。
…が、まさかカオサイに勝てるなんて誰も思ってない試合。
しかし松村、これが思わぬ善戦。
10Rにダウンを奪われますが、最も僅差のジャッジが3ポイント差。
カオサイ相手にしっかり効かせるシーンも産み出します。
予備知識なしに見たらこれが善戦?ってなりそうですが、相手はあのカオサイ。
世界戦でここまでカオサイを脅かしたのはパヤルカンのみ。
松村は結局、合計4度世界挑戦するも届かずに引退するんですが、この試合が最も評価が高い。
次のカオサイの防衛戦は自国に戻ってのアルベルト・カストロ(コロンビア)戦。
フライ級で世界挑戦に失敗後、階級を上げて来たカストロ。
圧倒的にポイントを離された10R、もう無理!とばかりに後ろを向いてギブアップ気味のTKO。
そして12度目の防衛戦。カオサイが2度目の来日。
前回善戦した松村と再戦します。
前戦からカオサイと撃ち合い続けること24R。
最終ラウンド、ワンツーからの右フックを効かされた松村。
ロープにつかまりダウンを拒否するも、無防備に左を撃ち込まれ、
レフリーがスタンディングダウンを獲ります。
ダメージを確認するレフリー…無情にもそのまま試合はストップされ、12RTKOでカオサイ勝利。
これがカオサイ最後の海外防衛になります。
以降は国内で防衛を重ねることに。
13度目の防衛戦はアリ・ブランカ(比)
31勝5敗4分の大ベテランですが、タイトル獲得経験はなし。
小突くようなパンチではカオサイの突進は止めれず…。
圧倒的な実力差で、最後はダメージの蓄積から前のめりに沈みます。
14度目の防衛戦は中島 俊一(ヨネクラ)。
日本王座を6度防衛し、ランキングを2位まで上げた中島がタイに乗り込んで戦った試合。
目をカットし、ダメージを蓄積させ、フラフラになりながら戦う中島。
ひたすらダウンを拒み続けた結果、あまりにも深いダメージを蓄積させた中島を
レフリーが見かねたように試合をストップ。
15度目の防衛戦にはキム・ヨンガン(韓)
ソット・チタラダ(タイ)にフライ級のベルトを奪われてから1年強。
2階級制覇を目指しての挑戦。
6Rに左をまともに喰って正座するようにダウン。
正座のままカウントアウト。
16度目の防衛戦
エルネスト・フォード(パナマ)
世界挑戦経験のあるベネディクト・ムリーリョ(パナマ)を下し、パナマの国内タイトルを獲得。
そのまま即、この世界挑戦に挑んで来ました。
頭一つ分身長の高いフォードが距離を取りつつ慎重に試合を進めますが、
6Rに左ストレートをもらったのをきっかけにパンチをまとめられると最後は右ストレートでダウン。
そのままカウントアウト。
17度目の防衛戦 パク・ジェスク(韓)
頭からガンガン突っ込んでくるパクに手を焼きつつ
カオサイはボディから顔面へつなぐようにダメージを重ねていきます。
同じ光景が繰り返された5R、撃ち合いながらパクの意識が飛んでいたようで
一瞬距離を取ると顔を上げたパクがふらふらとたたらを踏む。
そこをレフリーがしっかり見ていて、そのままストップ。
あせらずダメージを蓄積させたカオサイには、老獪さを兼ね備えたさらなる凄みを感じますし
意識を失いながら撃ち合っていたパクにはコリアンファイターらしい根性ボクシングを感じます。
18度目の防衛戦 ダビド・グリマン(ベネズエラ)
のちにWBA世界フライ級王座を獲得するグリマンの世界初挑戦。
序盤からカオサイに駆け引き負けし、
5Rには顔面に強烈な左をもらって効いてしまうグリマン。
ダメージを回復させようと距離を取ります。
顔面を狙って連打を撃ち込むカオサイ…と思いきや
がら空きになったボディ一撃…まさかのボディでダウン。
立ち上がるもラッシュにさらされ5RTKO。
漬けいる隙が見当たりません。
19度目の防衛戦 アルマンド・カストロ(メキシコ)
頭からガチャガチャとひたすら至近距離で来るカストロ。
まさかの瞬間が訪れます。
2R、カストロのアッパーがカオサイを捉え、完全に意識が飛んで伸びあがるカオサイ。
そこへ更にアッパーを追撃し、カオサイが吹っ飛ぶようにダウン。
しかしカストロがポイントを獲れたのはこのラウンドと次のラウンドくらい。
ダウンを奪い返され、その後もカオサイにうまくあしらわれ…。
結果大差判定でカオサイが防衛。
この19度目の防衛戦を持ってカオサイは現役を引退。
タイで縁起のいい数字である19度までと決めていたそうです。
実は、もっと早く引退するつもりだったらしいんですが、
兄のカオコーを乗せて運転中に事故を起こし、兄の現役生活を終わらせてしまったと。
兄の分も…と、どんどん引退が先延ばしになったそうで。
なかなか伝説の王者らしく、逸話もたくさん。
実は8才からの愛煙家。煙草はボクシングに影響ない!って言い切ってたり…。
最初の奥さんはTVでカオサイを見た日本人。
タイまで押しかけてカオサイに結婚を申し込んだんだとか…。
でもカオサイは浮気しまくりで、「あんなもの置物」と言い放った結果、離婚され…。
戦った選手で一番強かったのはイ・ドンチュン(韓)(グレート 金山)だそうで、
肘はわざとだったと発言してます。
ちなみに松村はもっと弱い選手だと思ってたらしく、
「だってあんな強いと思わなかったから日本でやるのOKしたのに…」
なんて言ってます。
松村が挑戦した当時、日本ボクシング界は暗黒時代真っ只中。
力足らずでの挑戦を叩くような風潮があり、
「勝ち目の薄いミスマッチ!」なんて叩かれてましたが…。
カオサイ日本で見れる!なんて大喜びしたファンも多かったんじゃないでしょうか?
紙面でもカオサイのKO勝ち予想がほとんど。
さながら空気は公開処刑。
それがカオサイがグラつくシーンまである判定まで行っちゃったもんだから大変!
10Rのダウンが無ければ0-2まで持ち込んでた可能性もあった。
結局負けなんだけど…それでも相手はあのカオサイ。
松村凄い!!!って。
実は、マイク・タイソン(米)がカオサイの大ファンだったなんて話もあります。
強姦容疑で入れられた獄中で引退を惜しんだとか…。
プレッシャーで相手を押しつぶすように歩みを進めて、被弾しながら相手をなぎ倒す。
はじめの一歩の主人公に最も近い選手な気が…幕之内よりよっぽど撃たれ強いですが…。
まぁ、好きな人は重ねてみてみると面白いかも。
晩年は自慢の強打をフェイントに使って何重にも相手を追い込んでいく老獪さも兼ね備えて、
打つ手なし!って感じだったんで…カストロがダウンを奪ったのは衝撃でした。
撃たれ強さ、強打に加え、ダーティーな肘なんて武器もある。
晩年の駆け引きはほんとに凄くって、パンチを出していないのに
勝手に相手がコーナーに下がってくんですね。
とにかく圧倒的だったカオサイ。
ちなみに鬼塚 勝也(協栄)がカオサイとの対戦を避け、引退後に世界挑戦した…って話がありますが、
これまでの流れを見てもらってわかるとおり、カオサイは基本タイで世界戦をやってるんですね。
鬼塚は当時、日本きっての人気ボクサー。
タイで試合をすればただの挑戦者ですが、日本国内でやった方が明らかにビジネスになる。
また、タイでの世界タイトル戦は、どんな選手にとっても難しいもの。
どちらも地元でやりたかった…つまり条件面が合わなかった…ではないかなと。
こういった類の話は、どこまでいっても本当がどこにあるのか、曖昧だったりもするんですけどね。
そんな余談も合わせて、カオサイに関してはここまで!
ただし、この時代のスーパーフライ級はめちゃくちゃ面白い!!
…ってわけで、次回のピックアップはカオサイ周りの選手を上げてきます。
ではっ!!!
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