天下分け目の日本王座 大橋 秀行(ヨネクラ)③ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2015/11/15

天下分け目の日本王座 大橋 秀行(ヨネクラ)③ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2015/11/15
 
 
 

さて、前回は大橋 秀行(ヨネクラ)が“韓国の英雄”チャン・ジョング(韓)に挑戦し、敗れたところまで。
 

大橋は負ったダメージを抜いた後、すぐさま再起。
実力者、田中 正人(金子)<※のちの早山 進>との2度目の対戦、またも3RKOで退けます。
その後、のちに日本王座挑戦を果たすテクニシャン、桜井 靖高(多寿満)を判定で破り…。

二度目の日本王座に挑みます。
相手はのちの第23代WBA世界フライ級王者 レパード 玉熊(国際)
KOで下したこともある難敵、喜友名 朝博(協栄)

実はジョングを15度防衛の名王者!…なんて持ち上げてますが、
もう1つのベルト…WBAの方を保持していたのはユ・ミョンウ(韓)
彼は彼で17度の防衛を記録。これは未だに抜かれていないライトフライ級の連続防衛記録。
WBAもWBCも韓国の2人のレジェンドが占領してたわけです。
そのミョンウに大健闘の12RKO負けを喫し、
世界再挑戦を目指して日本王座を再獲得した…というのがこの頃の喜友名。

大橋も喜友名も全く似たような状況。
どちらが世界戦に駒を進めるのか…
負けた方は数年の遠回りを余儀なくされる天下分け目の大決戦となるわけです。

好カード…というのは、可能性のある二人の夢の喰いあい。
勝者を決める戦いは、敗者を決める戦いでもあります。
つまり生き残りマッチ。

手数の喜友名に強打の大橋といった試合展開…判定までもつれ、採点は3-0(99-96、99-96、99-96)。
ジャッジが手数をとるのか、ダメージをとるのか…
何を優先してポイントをつけるかによって裁定が分かれます。
そこにラウンドごとに区切ってポイントをつけるシステムが相まって、
大衆の感じる試合の印象とは離れ、疑惑の判定などと呼ばれてしまうことも。

この試合が疑惑…と呼ばれることはありませんでしたが、何を優先して…できっぱり別れる試合。
ジャッジ3名ともにダメージを優先した結果だと思います。

見た目は離れた点差になっていますが、その実はとても際どい判定でした。
何はともあれ、大橋は生き残り、喜友名がその後、世界挑戦を果たすことはありませんでした。
 

さぁ、難敵の喜友名を下した大橋。
1年半の歳月を経て、またもジョングに挑むこととなります。
ジョングはこの間に3つの防衛を積み重ね14度目の防衛に成功。
それまで具志堅 用高(協栄)が持っていた連続防衛記録を塗り替えていました。

ジョングにとって15度目の防衛戦となったこの試合。
初めての海外防衛に挑んだ試合でもあります。

1Rのゴングが鳴ると…前回の試合の続きのような内容。
フックを中心に攻める大橋と、アッパーを軸にするジョング。
ただし違うのは左フックしか出なかった大橋が、右フック、アッパーなど攻撃にバリエーションがあること。

1R、2Rと攻め込まれる場面はあるものの、互角に撃ち合いを展開します。
そして3R…ジョングの強烈なボディが大橋を捉えます。
下に気を取られた大橋にアッパーを中心にラッシュを賭けるジョング。
この展開、前戦で大橋が敗れたのと全く同じ展開…。
案の定、強烈な左フックで大橋がダウン…。
再開後もすぐに左アッパーで腰が落ち、スタンディングダウン…。

このダウンのカウント中、大橋がブチ切れたようにジョングを睨みつける姿が印象的…。
ダウンを奪われたら休むのが普通なんでしょうが、試合が再開されると自ら撃ち合いに行きます。
ん~…この頃の大橋会長、めちゃくちゃ気が強い!

ダウン直後にも関わらず、この撃ち合いは互角。
ただし、ダメージを抱える大橋はジョングの右ストレートで膝をつくダウン。
…3ノックダウン制なら敗れていますが、この試合は3ノックダウン制を敷いていないWBCの試合。
WBAだったらこの時点で敗れていました。

やっぱりダメか…なんて空気が支配しそうな展開。
目の上を大きくカットした大橋。
鬼の形相です。

試合再開後、またもや自らインファイトに飛び込んでいきます。
3度ダウンを獲られても、撃ち負けない大橋。
お互いの大砲、右が交錯した瞬間、最強王者が揺れます。

完全に意識が飛んだような千鳥足でフラフラとよろけるジョング。
大橋につかまりダウンだけは拒否しますが、支えがなければ突っ伏してしまいそうなほど。
大逆転のチャンスの大橋はラッシュ!…しかし自身が3度もダウンしてしまったラウンド。
残り時間はそれほどなく、ゴングが鳴ってしまいます。

4Rに入ると試合の様相が変わります。
お互いにダメージと撃ち疲れを抱えて、スローダウン。
しかしパンチが入ればお互いにグラつく。

これがほんとにライトフライ級かと思えるような撃ち合い。
まるで中量級の殴り合いを見ているような錯覚を覚えます。

このスローながらいつどちらが倒れてもおかしくないような展開を制したのは、やはりジョング。
ジョングをぐらつかせはするものの、大橋が撃ち負ける展開が目立ちます。

それが5R、大橋のパンチがジョングを捕まえます。
棒立ちになるジョングに大橋がいくつもいくつも強打を重ねますが、ジョングは倒れず…
ラウンド終盤には撃ち合いに応じながら、大橋もいくつかいい強打をもらいます。
このラウンドを乗り切ったジョング。

大橋が優勢だったのはここまで。
撃ち合いで強打を10発叩き込んでも5発もらってダウン…という展開で、
7R、8Rには2度ずつダウンを追加され…ついにはレフリーストップ。

ジョングの撃たれ強さが激戦を制します。

2度目の世界挑戦に失敗した大橋。
ここから3度目の正直に向けて走り出すのですが…。
 

その一番おいしい所はまた明日。
 
 

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