蘇る不死鳥 大橋 秀行(ヨネクラ)④ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2015/11/17

蘇る不死鳥 大橋 秀行(ヨネクラ)④ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2015/11/17
 
 

今日もちょっと余談。

13日にですね、ちょこっと触れました。
ミゲル・オカンポ(緑)

2RKOで勝ちました。
対戦相手が怪我で急きょ変更。
ウェート契約が8Kg上昇と、なかなか難しいデビュー戦になったようですが、
急遽代役に決まった坂本 慎介(タキザワ)も条件は似たようなもの。

いやぁ、実際のところね、彼がどこまで…とかそんな話になる段階でもないですが…
こっそり気になってた選手が勝つっていうのは嬉しいもんです。
 

————————–
さ、前回は大橋 秀行(ヨネクラ)が2度の世界挑戦に失敗したところまで書きました。
今日はその続き…
 

再び最強王者チャン・ジョング(韓)に敗北を喫した大橋。
心身ともにダメージは深いかと思われましたが、わずか4カ月で再起します。
階級はミニマム級(当時ストロー級)。

ライトフライ級での世界獲得をあきらめ、ミニマム級へ転級するんですね。
当時、日本ボクシング界に世界王者がいなくなり、世界に挑んだ日本人は連戦連敗。
そんな中で、最強王者ジョングをぐらつかせた大橋は、“最後の切り札”と呼ばれ…。
日本ボクシング界を両肩に背負っていたわけです。
日本中のボクシングファン、ボクシング関係者の為に、絶対に世界を獲る必要があった。

高校時代から1日1食を続けてのライトフライ級。
そこからさらに階級を下げるというのは想像を絶する世界。
それでも、世界を獲る為に、新設されて歴史の浅いミニマム級(当時ストロー級)へ移った訳です。

大橋は再起戦後に自身のプロ転向のきっかけとなった名嘉真 竪安(三迫)と、
2度に渡って敗れたジョングについて言及しています。
ラッシュをもらいながら、ジョングを名嘉真に重ねていた…と。

「あれほどみごとな相手と戦ったときの高揚感、充実感が忘れられない。ああいう試合をもう一度やれたらなあ、と思いが残ります。」
「世界王者になれたら、名嘉真を見舞いに行きたい、一緒にジョングに会いに行きたい…名嘉真とジョングとは生涯の友人になりたい。」

ジョングは大橋戦後、15度の防衛という記録を残し、王座を返上。
大橋自身も転級することによって、今後ジョングと拳を交える可能性は、ほぼ0に近くなりました。
悔しさや、心残り含めて揺れる大橋 秀行を感じます。
 

さて、自身の育てる井上 尚弥(大橋)はデビュー当時から怪物と呼ばれましたが、
ある意味大橋自身、現役時代は怪物じみた強さを誇った選手。
軽量級のライトフライ級、ミニマム級において、KOの山を築き、そのパンチはライト級に匹敵するとも…。
そんな大橋はジョングへの2度目の敗戦後からさらに怪物じみます。
ミニマム級転級と同時に、まるで悟空がスーパーサイヤ人になったかのように…。
 
 

再起初戦と2戦目、ロミー・セニザ(比)ジョエル・レビリャ(比)を左ボディで沈めます。
このボディ、積極的に撃つよう、米倉会長から口酸っぱく言われたようで…。

ボーイ・エミリア(比)はボディではなく相撃ち気味のカウンターで沈めます。
このエミリア…もらい方がハンパなくて顔面がまるでゴムボールのよう…
あまりの衝撃に、死亡説が流れるほど…。
 
 

…と、4連続KO勝利を収め、3度目の世界挑戦。
対するはチェ・ジュンファン(韓)
IBF世界ライトフライ級とWBC世界ミニマム級を制している2階級制覇王者です。
当時、既に37歳のベテランでしたが、井岡 弘樹(グリーンツダ)から
ベルトを奪ったナパ・キャットワンチャイ(タイ)を下しての王座獲得。
侮れる相手ではありません。

この試合まで、日本人の世界戦の連敗は21。
国内に世界のベルトがない状態が続く、日本ボクシングの暗黒時代。

22連敗を阻止できるかどうか…。
また負けるんだろ?なんて吐き捨てるファンもたくさん。
後楽園ホールの観客は3000人以上…(今そんな入れるのかな?法律にひっかかりそう…)

ここまで日本人が負け続けても後楽園のチケットを買うファンです…
特別、大橋大好きって人以外は、負けても負けても、
日本人選手の勝利を願ってチケットを買い続けたファンたち。
しばらくの間、つらい思いを噛みしめて来たファンたちです。
それが“最後の切り札”に夢を託すわけです。
…いやぁ、もう熱い。
 
 

この試合前、大橋宛に手紙が届きます。
相手は2度までも大橋の世界獲得を阻止したジョング。
「ジュンファンは韓国人だが、二度も死闘を演じた君に勝って欲しい」と…。
 
 

試合のゴングが鳴ると大橋が試合を通してジュンファンのスペックを上回ります。
細かい連打で攻めてくる王者に対し、的確な強打で対抗する大橋。
手数で下回っても、ヒット、ダメージで大幅に上回ります。

そして迎えた9R、2度目の世界戦に敗れてから大橋の大きな武器になった左ボディ。
一撃で王者がしゃがみ込むようにダウン。
大歓声でカウントさえ聞こえない中、カウント8で立ち上がる王者。

ダウン後攻めて出る王者に狙い澄まして再度左ボディ。
沈む王者…大歓声の中、後楽園ホール一体となっての10カウント。

全員でコールした「テンッ!!」の後の大熱狂。
どこから始まったか解らない「バンザーイ!」のコール。
日本ボクシング史の名シーン。

古い時代からのボクヲタにとってね…この後楽園ホールにいたっていうのは一つの勲章でね…。
「俺、あの時後楽園ホールにいたんだ」なんて言われたら、もう敵わない。
そういうファンはね、必ずその時の光景を、いま目の前で起こってるかのように語るんです。
普段、口下手な人でも、こんなに熱く語るのか…ってほど。
 
 
 

この試合があと20年遅ければ…絶対現地で見てたのに!!!!
 

感動の世界獲得。
この後、大橋さん、1週間ほど眠れなかったそうです。
夢が覚めるのが怖かったと…。
 

そんなところでまた次回。
明日は防衛ロード~世界再獲得、引退まで。
 
 

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