薬物に邪魔されたレジェンド② レノックス・ルイス(英) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2015/10/22
さ、昨日はレノックス・ルイス(英)が
WBCのベルトを大ポカで手放し、再獲得した試合ではコカインのせいでとんでもない凡戦にされてしまい…
なんてところまでですね。
なんだかなぁ…って形でベルトを手に入れたルイス。
気を取り直して、防衛戦に挑むルイスですが…。
実はこの2週間前にマイク・タイソン(米)とイベンダー・ホリフィールド(米)の
リターンマッチが行われ、あの耳噛み事件が発生しています。
完全に悪い意味でですが、歴史に残る結果となった彼らの試合。
かたやルイスは…というと、この試合、
対戦相手のヘンリー・アキンワンデ(英)がルイスの腕をつかんだまま離さず
アキンワンデの反則負けが宣言されるという、またもやしょっぱい試合に。
時代はWBC世界ヘビー級王者であるルイスを置いてきぼりにしようとしていました。
しかしルイスは腐らずにWBCのベルトを守り続けます。
そんな折、ようやくルイスにチャンスが…。
IBFとWBAのベルトを持つホリフィールドと直接対決することとなったのです。
ヘビー級王者は1人だけ…これは古い時代から暗黙の了解となっていて、
他の階級に比べてヘビー級は統一戦が行われやすいんですね。
ホリフィールド、ルイスともベルトを守り続け、
世間の機運も高まって必然的にこの試合が行われることになりました。
さて久々にヘビー級のベルトがまとまるということで大きな注目を集めたこの試合…結果はドロー。
哀れ人気獲得の絶好のチャンスに…ドローって…。
しかしやっぱり統一戦。特にファンの声が大きく響くヘビー級。当然再戦へと運びます。
この再戦で判定勝ちしたルイス…ようやく自らの手でベルトを手に入れるわけです。
この試合をきっかけに、ようやくヘビー級最強として世間からも認知されます。
ちなみにこの時代のもう一人の主役、タイソンは、この年、耳噛み事件からようやく復帰。
2勝を上げますが、全盛期のタイソンはそこにはおらず、スピードも、コンビネーションも失われていました。
昨年出版された自伝を読んで初めて知ったんですが、この頃には既にコカイン中毒だったそうで、
試合前にも服用していたようです。
さて、ホリフィールドを倒して統一王者になったルイス。
防衛を重ねるごとに、世間はタイソン戦を求める声を大きくしていきます。
そんな折です。
彼の人生二度目の大ポカ。
ハシーム・ラクマン(米)に1撃の失神KOを食らいます。
世間の失望はそれはそれは大きく、ルイスの商品価値は一気に下がってしまいました。
それはリベンジマッチでラクマンを下しても変わらず…。
しかし、捨てる神あれば拾う神あり。
世間から求められ、本人たちも望んでいたあの伝説の一戦の交渉がついにまとまるのです。
レノックス・ルイス VS マイク・タイソン
この試合が発表されたとき、どれほどの身震いを感じたか…。
かたや大ポカ直後で最強の名をキズものにした直後。
かたや全盛期の輝きを失い、スキャンダルにまみれたヒール。
それでも、全世界がこの試合を待っていたんです。
うちにはリアルタイムで試合が見れる環境がなかったですし、ネット回線もなかった。
試合翌日の早朝にコンビニで新聞屋さんを待って…。
雨が降っててね、ど田舎だもんだからコンビニまで歩いて15分かかるんです。
帰り道、濡れないようにスポーツ新聞を服の中に突っ込んで帰りました。
そうして家に帰るまで見ないようにしてたその紙面をようやく開いた瞬間、
なんか、あぁ、ひとつ時代が終わったのかな…なんて感じました。
勝ち負けとかより、明日から何を楽しみにすればいいんだろう…なんて。
中学校を卒業した翌日…みたいな感覚。
結果はルイスの圧勝。
後から映像を見ましたが、もう全盛期のタイソンは見る影もなくて…。
一気に距離を詰めるスピードも、相手のパンチを外す左右の動きも…。
その次の試合、新時代をつくるクリチコ兄弟の兄の方、
ビタリ・クリチコ(ウクライナ)に苦戦しながらも勝利し
世界王座を返上してルイスは引退しました。
寂しかったなぁぁぁ、うすうすそろそろだとは分かってましたが…。
僕はルイスが大好きで…。
この当時のヘビー級は反則負けとかも多くてね。
アンドリュー・ゴロタ(ポーランド)何回やってんだろ…。
タイソン戦では試合放棄して逃げたりとか…。
そんなのが一切なかった選手。一番クリーンな選手だったんですよね。
いやぁ、青かった。
今の自分が当時に生きてたら、ゴロタ見て笑うのが大好きなんでしょうけど。
結局ね、ルイスは大事な試合をコカインに2度もダメにされた。
タイソンがコカインにはまってなければ、
ルイスとタイソンの試合はもっともっと高いクオリティだったはず。
あの時代のヘビー級…もう帰って来ないのはもちろんなんですがね。
ウラジミール・クリチコ(ウクライナ)が1人で支える現在、
彼の人気がないのはライバルに恵まれていないのもあるのかと思いますよね。
誰と戦おうがあんな身震いないですもん。
やっぱり現在は中量級の時代。
でもね、そろそろこれが中軽量級に移ってくると思うんですよね。
帝拳プロモーションが契約してる外国人選手、日本人選手…
このあたりがそろそろ世界的に大きな評価を得てもいいのかな…と。
事実、山中 慎介がリングマガジンの
パウンドフォーパウンドランキングでトップ10に入って来ました。
カルロス・クアドラス(帝拳)
ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)
井上尚弥(大橋)
ギジェルモ・リゴンドウ(キューバ)
レオ・サンタクルス(メキシコ)
山中 慎介(帝拳)
このあたりの誰かがぶつかれば…もしそうなったときは、確実にビックマッチ。
ただね、それだけじゃ時代が動くとは言えなくって…
どっかの階級にこの辺の選手が3人くらい固まって、このメンツに匹敵するような選手が1人出てくれば…
とんでもなく面白い階級になっちゃいますよ。
それこそ世界中の目が軽量級に移りますよ。
ま…ほんとのところ、それぞれの今後の意向を考えたら夢物語なんですが…。
サンタクルスはフェザーまで上げちゃったし…山中は階級変える気なさそうだし。
井上、ロマゴン、クアドラスはちょっと階級が下過ぎるし…リゴンドウは歳だし…。
でも何年か一度、夢物語が実現するのがボクシング。
そういうときにね、このブログが日の目を見ればいいな…なんて思ってたりします。
まだまだアクセス数少ないんですけどね。
そんなこんなでおしまい。
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