フィナーレ ラリー・ホームズ(米)㉖ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/07/07

フィナーレ ラリー・ホームズ(米)㉖ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/07/07
 
 

 
 

さて、前回はラリー・ホームズ(米)
14年ぶりにジェームズ・スミス(米)と拳を交え、判定で勝利したところまで。
 

続いての試合はそこから1年半後。
前回のジェームズ・スミスに続いて、かつて世界王座を争った相手…マイク・ウィーバー(米)
なんと21年半の時を経ての対戦。
 

前回はホームズのジャブを丁寧に外しながらに強烈なパンチを浴びせ…
ホームズからダウンを奪うなど絶体絶命を思わせる場面を何度も演出したウィーバー。
12Rに壮絶なKOに散りますが…脳裏に強烈にこびり付きそうな名勝負だったりします。

ホームズへの敗北後、ウィーバーは1年たたずにWBA世界ヘビー級の王座を手に入れ、2度防衛。
その後、世界ヘビー級には2度挑戦しますが、いずれも王座は獲得ならず。
それでも現役を退くことなく、コンスタントに長いキャリアを続けていましたが…

この試合の頃には2年以上のブランクがあり…
それでもかつて激戦を演じたホームズとの再戦の為、
半引退状態だったウィーバーがリングに戻ってきます。
 

21年前と同じく、1Rから丁寧にホームズのジャブを外していくウィーバー。
本当にそれほどの歳月が経過したのか…疑いたくなる二人の攻防。
しかし、前戦とは打って変わったリング外の様相。

これは世界タイトルマッチではなく、老いたかつてのレジェンドのノンタイトル戦。
観客席の静かさ、会場の薄暗さには…月日の経過を感じます。
 

2R、徐々に圧力を強めるホームズ。
徐々にホームズのパンチがウィーバーを捉え始めます。
 

3R、ホームズの圧力に手が出せなくなるウィーバー。
決してイベントごとのような試合ではなく、ド真剣な二人の戦い。
終盤、ウィーバーがワンツーを狙うと、ツーをかわしたホームズが強烈な右アッパーを叩き込む。
張り詰めた緊張がピリピリと溢れ出します。
 

4R、プレッシャーをかけながら次々に左をヒットしていくホームズ。
ウィーバーが距離を詰めようとするとここでもホームズの左が迎撃。
手を出すことさえ困難になっていきます。
 

5Rもこの展開に動きは無く、展開が膠着…
もしかするとこのままホームズの圧倒的な判定へ…?
なんて空気が漂い始める。
 

6R、試合の終了は突然。
ジャブを出そうとしたウィーバーに、カウンターでホームズのワンツーがヒット。
糸が切れた人形のように崩れたウィーバー。
レフリーは即座に試合をストップ。
 
 

ロートル同士の記念マッチとも思われそうなこの試合…。
焼けつくような緊張感の中、衝撃的な決着で幕を閉じます。

レジェンドを懐かしむファンたちに贅沢な試合を届けたホームズ。
しかし、もうかつての仲間で、現役のリングに登る相手は残っていない。
ホームズはもう50歳を迎えていました。
 

そうしてしばらく期間を空けた後、ついに引退を決めたホームズ。
前戦からは2年の月日が流れ、ホームズ52歳。デビューから23年。
 
 

ラストマッチの相手は、超のつく人気ボクサー…エリック・エッシュ(米)
通称…バター・ビーン。

K-1戦士として来日して、日本でも人気を獲得したため、知っている方も多いのではないでしょうか。
「スタミナがない」という理由で、4回戦しか戦わず…しかしその4Rでとにかく振り回す、解りやすいスタイル。
「史上最強の4回戦ボーイ」なんて異名もあるほど。
メジャーなタイトルマッチには絡んで来ませんが、丸々と太った愛らしい体系からも、
数々のファンを虜にしたボクサーです。

そんなエッシュの唯一の10回戦がこの試合。
 

1Rから独特の小刻なリズムを刻むエッシュ。
ホームズの右ストレートにも怯まず、強烈な右フックを返す。
クリンチ際にも強烈なフックをねじ込み…。

ホームズの飛び込み際に合わせたこの試合3発目右フック…ホームズが揺れます。
終盤にホームズも右ストレートを突き刺しますが…
生涯KO負けの経験が無かったエッシュ…びくともしません。
 

2R、ジャブを突いてエッシュを近づけさせないホームズ。
リーチ差を生かし、徹底的にエッシュを左手一本でコントロール。
コーナーに立ち止まり、ホームズを呼び込むエッシュ。
左で、釘づけにするホームズ…。
一方的になりかけますが、ラウンド終盤に攻め込んだエッシュが強烈に右フックをヒット。
 

3R、いつもブルブル攻め込む強烈な個性を見せる4Rの“バタービーン”。
初の10Rとなったこの試合で、スタミナへの心配からか、
ペースを配分するエッシュに客席からはブーイングが…。
ホームズのジャブと右ストレート…ロングレンジのパンチがリングを支配します。
 

4R、エッシュが攻め込みホームズがクリンチに逃げるシーンはあるものの、
基本的にはホームズのロングレンジのパンチが支配。
しかし、エッシュのタフさはとんでもない。
ホームズの強打をカウンターでもらっても、その拳が止まることはなく、あわや相撃ち。
これを肩でブロックするホームズの技巧も暦年の技…。
 

5R、圧力を強めたエッシュ。
久々にホームズの右フックがヒット。
しかし身長の低いエッシュ…飛び込み際に頭がクラッシュしてしまい…。
ホームズは怒りの表情、冷静さを欠いたか、攻勢を強めると…
逆にエッシュの攻め込みを許します。

全体的にはこのラウンドもホームズのロングレンジのパンチが支配したラウンドですが…
エッシュ逆転の匂いも感じさせます。
このラウンドでエッシュは右目上をカット。
 

6R、攻め込もうとすると左を合わされ、
右目からの出血もおびただしい…
タイミングがつかめず、手が出ないエッシュ。
ホームズが強烈に左右をヒットしていく。
 

7R、ラウンド開始とともにワンツーを叩き込むホームズ。
より攻勢を強めたホームズですが、右ストレートに合わせて撃たれたエッシュの右フックが刺さる。
すぐに距離を修正して追撃を許さないホームズ。
その後はエッシュが攻め込んだ場面でもホームズは鼻先でエッシュのフックを回避。
ポイント的には大差がついてきます。
 

8R、強引に攻め込む場面が増えるエッシュ。
徐々に両者の距離が縮まり、エッシュのジャブが相撃ちで刺さる場面も出てきます。
 

9R、フットワークを使ってジャブとストレートを突き刺すホームズ。
かつての姿を彷彿と…はとてもとてもですが…
こうなるとホームズの一方的な展開はよりくっきりとしてきます。
 

10R、“レジェンド”ホームズのラストラウンド。
ホームズらしく、このまま試合を支配して終わるのか…。
そんな空気の中、エッシュが自らコーナーに立ち…ホームズを誘い込もうと試みます。
しかしホームズはそれには乗らず…。

スタミナの心配の無くなったラストラウンド…エッシュは一気に圧を強める。
コーナーに追い詰められながらも、エッシュの連打をいなしきるホームズ。
コーナーから脱出後、一旦距離を置くと、ホームズは右ストレートを連続して叩き込み反撃。

しかし最後の20秒…驚きのシーンが…。
お互いの大きな右フックが交差したあと、バランスを崩したホームズ。
よたよたとコーナーまで後ずさりして、もたれかかる…。

レフリーはダウンを宣告…これにはホームズ苦笑い。
エッシュのパンチは肩でブロックしており、このダウンは明らかにスリップ。
 

そのまま試合は終了のゴングを迎え、大差判定でホームズが勝利。
観客は総立ちでホームズのキャリアを称える…。

ラスベガスの人気者…エリック“バター・ビーン”エッシュとの試合でさえ、
一方的な凡戦にしてしまうホームズ。
最後の最後まで、ホームズはホームズらしく…そして50歳を超えてなお、強かった。
 
 

引退後、ラリー・ホームズ・ドライブなる会社を立ち上げ、様々な事業を成功させたホームズ。
家族のために稼ぎ続ける姿は、リングの上と同じなのかもしれません。
 

しかし2014年、持っている不動産のほとんどを売却。
もしや…引退後のボクサーにありがちな破産か!?…と思いきや。
事業を小さくしたいそう。

「リラックスして人生を楽しみたいんだ」
 

世界ヘビー級王座を通算19度防衛しながら、ファイトマネーはほとんどドン・キングに吸い上げられたとも言います。
伝説の肩書を持ちながらも、今日まで必死に生きてきた…そんなホームズです。
 

ホームズが残した名言…
なかなか残っていない…さすが「20世紀最強のわき役」
 

でも、モハメド・アリ(米)の情報を探していたらこんなのを見つけました。

「試合後、アリに「愛してる」と言ったら、「愛してるのに殴るのか?」と…(笑)」
彼はアリに対していつもリスペクトしていた。

徴兵拒否によるブランク後の「モハメド・アリ」に関しては、
「スパーリングで俺についてこれないこともあった」と語るなど、
全盛期は自分の方が強かった…なんて言いたげなコメントもありますが…

ホームズとアリが出会う頃以前…カシアス・クレイ時代のアリについては、
「誰もアリに叶うハズがない」
…と、はっきりと言いきっています。

アリのコピーなんて不名誉な呼び名…「アリがいなかったら」って思わなかったんでしょうか。
 

“イーストンの暗殺者”なんて物騒なニックネームとはかけ離れたような人柄を感じるホームズ。
冗談も大好きで陽気な部分もあって…対談になるとマイク・タイソン(米)を爆笑させたりしてるんです。

過小評価や不人気なんて言葉がつきまとうホームズですが、
実はイーストンにホームズの銅像があるって…知ってます?
愛されるところでは愛されてた。
 

どうか緩やかに、幸せに、家族とともに生きて欲しいと感じます。
 
 

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