いにしえの名物ボクサー ヘスス・ロハス(ベネズエラ) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2015/11/03
本日ピックアップするのは、ヘスス・ロハス(ベネズエラ)。
レパード 玉熊の回で出てきた、反則スレスレのファイトでレパード 玉熊(国際)と引き分けた選手です。
9度も来日してるので彼のことをTVで見たことあるって人も多いんじゃないでしょうか?
泥仕合に持ち込み、レフリーに見えない角度の反則を繰り返し、判定をくすね取る試合巧者。
ボクシングにスポーツマンシップを求める人は、彼の試合が大嫌いってファンもたまにいます。
世界を戦う選手には、パンチが強い選手、スピードのある選手、
テクニックがすぐれた選手、とにかく運がいい選手…。
そして特に秀でた物がない選手…いろんな選手がいて、それぞれが世界のベルトを求めてぶつかり合います。
たまにね、すべてを兼ね備えたスーパーヒーローみたいな選手が出てきたりしますが、
そんな選手が最強の名を欲しいままにただひたすら勝ち続ける…ってなんか味気なくないかなって思っちゃう。
ウラジミール・クリチコ(ウクライナ)がいい例なのかもしれませんが…。
マイク・タイソン(米)にレノックス・ルイス(英)がいたように、
マニー・パッキアオ(比)にフロイド・メイウェザーJr(米)がいたように…
誰かを主役として語るとき、必ずそこには脇役や強敵がいます。
ロハスは誰かの強烈なライバル…というわけではありませんが、いわばその時代の名脇役。
それもとっても味のある、そしてクセの強い脇役。
今日は彼を主役に立たせてみようと思います。
若くして結婚するもその後、離婚。
男手一つで子供3人を育てながら、世界挑戦のチャンスがあれば、世界中のどこへでも戦いに行った…。
そんな彼の戦績を追っていきましょう。
引分を挟んでデビューから15連勝。
対戦相手を見てみると、第31代WBA世界フライ級王者アキレス・グスマン(ベネズエラ)が含まれてます。
このアキレス・グスマン、世界王座を手にしておきながら、
生涯戦績負け越しとされています(実際はイーブン)。
こんな選手歴史上唯一!これは改めてピックアップしますんで詳しい話は置いときますが…。
この時点ではそれなりに負けていて、目ぼしいタイトルも獲得しておらず…
多分強いと思ってる人はほとんどいなかったんじゃ…というようなレコード。
他のロハスの対戦相手は…というとあくまでBoxRec上ですが、
ほぼ負け越しの選手ばかり、1勝も記録されていない選手なんかも多数います。
じゃあロハスは弱かったのか…というと、それは違ってまして…。
この15連勝の最中、1試合だけ日本のリングに上がってるんですが、その経緯が…
世界王者のレオ・ガメス(ベネズエラ)が日本で世界戦やるってことで、
スパーリングパートナーに指名されて一緒に来日。
ついでにって本人も試合して帰った…って経緯なんです。
世界王者のスパーリングパートナーに指名されるってことは、
それなりの実力者として認知されてたってことです。
初めて迎えたとも言える強敵は…
のちに勇利 アルバチャコフ(協栄)に挑むチン・ユンオン(韓)。
敵地韓国で対戦します。
ユンオンのレコードはこの時点で17戦17勝。タイトルこそ獲得していませんが、警戒すべきレコードです。
結果は判定負け。この試合の詳細や映像…探したんですけど見つからず。
すっごく興味深いんですよね。
もしかするとこの負けってロハスのファイトスタイルに影響を与えたんじゃないかと思えるような…。
解ることは判定負けした…ということだけですが…。
それでも、そこで崩れることなく、その後3連勝し、世界挑戦に駒を進めます。
この3戦で注目したいのが、世界前哨戦となったマヌエル・サヤゴ(ベネズエラ)戦。
サヤゴってこの時点で4戦1分2敗1無効試合。
ロハス戦後、1敗を追加し、結局BoxRecには1勝も記録されていない選手なんです。
そんな選手相手に10R判定 3-0(97-93、96-92、96-94)で勝利。
10Rのうち3Rは持ってかれてるんですね。
これ、もう歴戦のボクヲタ達は僕が何を言いたいかピンと来ますよね…。
来日経験が9回もあるロハス…彼の試合をTVで見た人もいくらかいると思います。
いつも、どんな試合も、どっちに転んだかわからないようなラウンドを重ね、
くすねようにポイントを獲っていくイメージ…。
この試合ってまさにそんな試合だったんじゃないかと思うんです。
どっちに転ぶかわからないラウンドを作っていったことで3つのラウンドを失ったと…。
この時点で既にそんなボクシングをしていたんじゃないかと…。
まぁそれはさておき、ロハスさん、世界戦の数が多いのでサクサク進めます。
19戦18勝1敗のレコードで、初の世界タイトルマッチに挑戦します。
対戦相手はフィデル・バッサ(コロンビア)。
バッサにとっては7度目の防衛戦。
そろそろ王座統一戦なんかが見えてきてもおかしくない防衛数。
とっても強いチャンピオンです。
そんなバッサに対しても際どい判定に持ち込み、1~3ポイント差の判定勝利。
世界初挑戦でベルトを手に入れます。
そして圧巻なのが初防衛戦。
レパード 玉熊とも戦った、イ・ヨルウ(韓)との対戦。
この試合、4Rに左肩を痛めたロハス…右腕一本での戦いを強いられます。
ロハスはオーソドックスなので、左が使えないとなると、ジャブが撃てない…。
利き腕の拳を骨折したけど勝った…なんて話はよくありますが、
ジャブを撃つ方の腕(リード)を奪われたら、ボクシングにならないことが多い。
そんな危機的な状況で、挑戦者と互角に戦い、1-2の判定負け。
どんな状況に追い込まれても耐えきる引き出しを持っている…試合巧者の実力をまざまざと見せつけた試合。
しかし惜しかったと言っても負けてしまえばそれまで。
WBAのベルトを失ってしまいます。
しかし、負け方が負け方だったので、ランキングはそれほど下降せず、
母国の若手ホープを破って再起したところでランキングは2位。
ここで運よくチャンスが訪れます。
レパード 玉熊への世界再挑戦。
内容はレパード 玉熊の回で詳しく書いていますので割愛しますが…。
この試合では引き分けで挑戦に失敗します。
レパード 玉熊がインタビューできょとんとしながら「ポイントは獲ったと思います」とコメント。
本人は判定勝ちしたと思ったんでしょう。
なんで?って表情がとっても印象的だったんですが、
ロハスと戦ってそんな感じになる選手…多々いるんですね。
ボクシングの試合を現地で見ててね、よく思うんですけど、
TVとは違って四角形のリングの4面あるうちの片側からしか見れないんですね。
いいパンチが入っても、もらった方が後ろを向いてる角度だとよく見えない。
まともにもらってるのかガードを挟んでるのかよくわからないこともあって…
まぁ、裁くのはプロのジャッジなんで、その辺は判断できるのかも知れないんですけど、
でも見にくい状況があるというのは間違いないんですよね。
だからこそ、戦ってる相手も、TVで見てる人たちも、えぇ!?…っていう
判定に決着することは考えられると思うんです。
このロハス-玉熊戦も、映像で見ると、玉熊が圧倒的に勝ってるように見える試合、
現地で見てた 白井 義男さんは5ポイント、ロハスがリードと付けてたようです。
放送席ではまた違ってて…。
地元での試合なら、地元判定だとかそういった言い方で片付けられちゃうのかもしれませんが、
敵地でそんな状況がしょっちゅう起こる。
そういう意味でもロハスは巧みだったと言えるかなと思うんです。
そうなるととんでもない試合巧者ですよね。
当時、ベネズエラに本部があったWBA…ベネズエラ贔屓なんて勘繰られもしましたが、
現地観戦した人でも割れるとなると、そんな贔屓が通用する人たちではないですし…。
ともあれ、世界再挑戦に失敗。
王座陥落後の再挑戦に比べて、挑戦者として世界を獲れなかったときの再挑戦って、かなりハードルが高い。
挑戦したい選手たちが順番待ちしてるわけですから…。
ここからロハスさん、苦難の道のりが始まります。
そのあたりはまた次回と言うことで…。
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