薄氷防衛 ラリー・ホームズ(米)⑤ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/05/27

薄氷防衛 ラリー・ホームズ(米)⑤ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/05/27
 
 
 

前回はラリー・ホームズ(米)の2度目の防衛戦まででしたね。
 
 

3度目の防衛戦はマイク・ウィーバー(米)
ここまで27戦19勝8敗と平凡な戦績ながら5連勝中。
のちにジョン・テート(米)からWBA世界ヘビー級のベルトを奪い、
マイケル・ダグラス(米)に負けるまで2度王座を守るツワモノ。
 

1Rから足を使って左を刺す本来のボクシングを展開するホームズ。
ウィーバーも丁寧に左を外しながら要所で攻め込む巧みさを見せる。
 

2Rは一転足を止めたホームズがしっかりジャブを突いてウィーバーをコントロール。
終盤にわずかに攻め込まれる場面はあるものの、ホームズが有利に展開。
 

3Rに入ると、ウィーバーは丁寧にホームズのジャブを外しながら自分の左を当ててみせる。
巧みさでジャブの刺し合いに勝ります。

しかし、ダッキングに合わせたホームズの撃ち下ろしの右がウィーバーを捉える。
挽回しようと攻めて出たウィーバーのコンビネーションを
まるで曲芸師のように全て外して右を突き刺したホームズ。
ハイクオリティの技術を見せつけます。
 

4R開始直後からボディを攻めるウィーバー。
嫌がる素振りを見せたホームズに対し、徹底的にボディを攻めようとするも、
逆に狙いすぎて左を外す動作がおろそかになり、ホームズがしっかりジャブから組み立て直す。
ホームズのワンツーのヒットから、ウィーバーは一気に連打で攻め込まれかなり効かされてしまう。

しかし、今度は攻撃に意識が向きすぎたホームズの左にフックをかぶせたウィーバー。
効いたホームズは、撃ちながら前進するウィーバーにずるずる後退しながら、
ロープに詰まったところで撃ち合いに出る。
この撃ち合いはホームズが苦し紛れに手を出したようにも見えて、
そこに見事にカウンターを合わせたウィーバー。
ダメージを与えたと見るや一気のラッシュ。

ホームズ…まさかまさかのダウンを奪われる。

再開後は鈍ったホームズにさらにカウンターを重ねるウィーバー。
しかしラウンド終了直前にホームズの強烈な右ストレートがカウンターでウィーバーに刺さり、
棒立ちになったウィーバーにフルスイングのフックとアッパー3連打を浴びせこのラウンドが終了。
ホームズのダウンはあったものの、一進一退の展開は変わらず、会場のボルテージが一気に上がります。
 

5Rは一転して足を使うホームズ。
しかし左の刺し合いでウィーバーが上回り、何度もワンツーがホームズを捉える。
効かされたホームズが足を止め、ガードで守りながらカウンター狙いにプラン変更。
狙い通りウィーバーにカウンターを突き刺すも、
ウィーバーの勢いは止まらず、ワンツーを軸にホームズが崩され…
ラウンド終盤には強烈な連撃を叩き込まれるなど、ホームズの陥落が目前にまで迫ります。
 

6Rも足を使うホームズですが、肝心の相手を止める左が当たらず…。
逆にカウンターで強烈な右ストレート浴びてしまう。
左の刺し合いで負けたアウトボクサーに待ち受けるのは絶望的な展開。
しかし、ウィーバーが狙いすぎた後半はホームズがジャブを連続で当てての抵抗。
それでも王座交代がいつ訪れるか…そんな空気は残り続けます。
 

7R、若干ウィーバーに疲れが見えたか、これまでかわしていたホームズのジャブを
ガードで受け止めるようになります。
中盤、ウィーバーに攻め込まれる場面はあるものの、
ホームズはガードの上からでも相手を叩けるようになったことでリズムが戻る。
ラウンド終盤にはジャブから右のロングフックにつなげて、ビッグヒットを奪います。
 

8R、ウィーバーがまたホームズのジャブを外し始めると、ホームズはまたもリズムを失う。
ダッキング際に右フックを合わせられるなど、ウィーバーの流れは止まらず。
しかしラウンド終盤に撃ち合いに出ると、ここではホームズの技術勝ち。
ウィーバーのコンビネーションを外して自らのパンチを当てるホームズ。
 

9R、左で上回るウィーバーが強烈なワンツーを効かせると、
ホームズは頭に来たか撃ち合いに出ます。
この撃ち合いではホームズが上回る…が、撃ち疲れを見せるとすぐにウィーバーが攻め込む…
予断を許さない展開。
 

10Rはお互いに疲れが出て手数少なく進行しますが、コツコツ捉えるのはウィーバー。
残り30秒で撃って出たホームズ、巧みにウィーバーにヒットを重ねたところでウィーバーの右を被弾。
たたらを踏んでロープ際に後退するホームズ。
追撃に出るウィーバーをなんとかいなし、ここはゴングに救われる。
 

11R、一気に撃ち合いに出たウィーバー。
死力を尽くして応じるホームズ。
この撃ち合いは互角の展開ながらも、大きなダメージを抱えるホームズ。
ラウンド終盤にはうち疲れもありフラフラとロープへ後退し、そのままコーナーへ追いつめられます。

この絶体絶命の中…なんとホームズのアッパーがウィーバーを捉える。
崩れ落ちるウィーバー…ロープをつかんでなんとか立ち上がるものの、抱えたダメージは甚大。
カウント中のゴングで、幸運にも休息を得られたウィーバー。
 

15R制のこの試合、12Rへ突入…しかし、ダメージの回復しきらないウィーバー。
倒れないようにロープを背にしますが、ホームズのパンチを一方的に被弾し続ける。
カウンターでフックを合わせられ、ふらふらと前へよろけたところでレフリーがストップ。

最終的な11Rまでのポイントでは(107-101、106-102、106-103)とホームズが上回っていたものの…。
ポイント差からは想像がつかないほどの薄氷の勝利。
なんとか3度目の防衛を果たします…。

この試合はウィーバーへの怒涛の声援が鳴り響くような観客席。
不人気王者として名高いホームズを象徴するような気がします。
また、このホームズへの善戦が、ウィーバーというキャラクターをワンランク引き揚げたようにも…。
 
 

さて、4度目の防衛戦は、挑戦者決定戦で一度対戦しているアーニー・シェーバース(米)。
モハメド・アリ(米)が戦った相手の中で最もパンチの強い相手として名を上げるほどのハードパンチャー。
 

前回の試合はホームズが左で圧倒的に試合を支配しながら
効いた素振りを見せないシェーバースが時折、強烈な右で応戦。
ホームズの体ごとズレるような一撃を撃ち込むなど、見応えある戦いでしたが、
最終ラウンドは細かいパンチにダメージを蓄積させたシェーバースがダウン寸前に追い込まれるといった展開。

最後までスリリングなパンチを繰り出しながら、
シェーバースが支配できたラウンドはなく、ほぼフルマークでホームズが圧勝…なんて展開。
 
 

この試合も開始直後からホームズがジャブを突いて試合を支配していくも
シェーバースは前回いいようにもらったジャブを丁寧にブロック。
2Rにはシェーバースの強烈な右がホームズの顎先をかすめるスリリングな瞬間も…。
 

3Rに入るとシェーバースを捌ききれなくなり、ホームズが被弾する場面が増えてきます。
しかし、強烈な大砲を狙うシェーバースに対し、ホームズはスウェーでかわして右のアッパーで応戦。
単発のシェーバースに対して、ジャブのヒットを重ねるホームズがラウンド自体は獲っていく状況は前戦と変わらず。
 

4Rは左でホームズが完全に支配。
強烈なフックやアッパーを炸裂させる場面もありますが、シェーバースはやはりタフ。
まったく効いた素振りを見せず…。
 

5Rジャブが減ったホームズはシェーバースのボディに対してボディを合わせようと試みる。
しかしシェーバースの出入りもなかなかのスピードでホームズは捉えられず。
ホームズのジャブが減るとシェーバースの見せ場も幾分か増える。
 

6Rはホームズが足を使って左でシェーバースをコントロール。
こうなるとシェーバースは成す術なく空振りを繰り返しながら、細かいパンチをもらってしまう。
 

7R、狙いをボディに切り替えたシェーバース。
下に意識が向いたホームズに強烈な右フックがヒット。
これで手ごたえをつかんだか、足で捌こうとするホームズに
さらにボディを重ねた上で、またも右フックを炸裂させる。
このラウンド2つめとなったこのフック…

タイミング、角度ともに完璧な一撃。
ホームズがあおむけに倒れる痛烈なノックダウン。
なんとか立ち上がったホームズですがダメージが濃厚。

千載一遇のチャンスに責め立てるシェーバース。
ホームズはコーナーに追いつめられ、応戦するものの足元は定まらず…。
このラウンドはゴングに救われます。

不人気王者ホームズのまさかのダウンに会場のボルテージは上昇。
 

8R、ホームズ陥落の期待が高まったこのラウンド。
なんとホームズの一方的なラウンドになってしまいます。
前のラウンドで撃ち疲れてしまったシェーバースはほとんど手が出ず。

また、出しても先ほどの一撃の感触が忘れられないか右を振り回すばかり。
ダウンを喰らって警戒したホームズが足を使ってジャブでコントロールし、シェーバースは何もできず…。
大振りの右にカウンターを合わされて、この試合初めて効いた素振りを見せます。
 

9R、前のラウンドから完全に失速したシェーバース。
ホームズに一方的に責め立てられ、コーナーに追いつめられ…タコ殴り状態。
撃ち疲れを見せたホームズが大振りの右フックを空振りし、バランスを崩してキャンバスに転がるシーンでは、
ホームズがまたダウンかと会場は沸き立ちますが、これはスリップ。
シェーバースは幸運にも休息の時間を得て次のラウンドへ。
 

10R、一方的に殴られるシェーバース。
驚愕の撃たれ強さで耐えながら、中盤には撃ち返して盛り返す場面も。
しかし、もはやシェーバースは疲弊してフラフラ。
終盤にはレフリーがシェーバースに「まだやれるか?」と確認するシーンも。
 

11R、やはり展開は変わらず。
またもレフリーがシェーバースに続行を確認。
続行の意思を示したシェーバースですが、直後にまた攻め込まれるとたまらずレフリーが試合をストップ。
 
 

シェーバース…
ホームズをマットに転がした一撃もまた凄まじいものでしたが、
驚愕の撃たれ強さには鳥肌が立ちます。
ただの脇役ではなく…名ボクサーにふさわしい姿。

アリをダウン寸前に追い込んだ強打は、ホームズも敗戦の淵まで追い込んだ…
いまだ名を残すシェーバースの強打…興味があれば一度動画でご確認を…。
 
 

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