憎悪を招く圧勝 ラリー・ホームズ(米)⑥ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/05/29
前回はラリー・ホームズ(米)の4度目の防衛戦まででしたね。
2度目は接戦、3度目、4度目は圧倒しながらもダウンしてしまったホームズ。
まだまだ安定王者とは見られていない頃。
5度目の防衛戦。
迎えたのはロレンソ・サノン(伊)
EBU欧州ヘビー級王座を2度防衛後、欧州王者としてホームズに挑んできた形。
序盤はフットワークを使ってじっくり様子見するホームズ。
ジャブのスピードでは互角。
お互いに紙一重のスウェーでジャブを外し合う緊張感ある戦い。
サノン…現在では名前を聞くことがあまりない選手ですが…なかなかの実力者。
しかしサノンが互角に渡り合ったのは1R~2Rのみ。
足を止めて前に出たホームズのプレッシャーに押され飲み込まれていったサノン。
何度もマットを這わされ、6RKOで敗れ去ります。
6度目の防衛戦。
相手はリロイ・ジョーンズ(米)
25戦24勝1分と無敗で勝ちあがってきたNABF北米ヘビー級王者。
大柄で出っ張った腹が目立つジョーンズ。
ホームズとの体重差はなんと43.5ポンド(約20Kg)
1Rから出たホームズは、出っ張ったジョーンズの腹を左ボディーストレートで捉えていきます。
姿からは想像しづらいハンドスピードを持つジョーンズですが、足は見た目通りに持っておらず…。
このラウンドにジョーンズがヒットさせた2発の右フックは威力を感じされせるものの単発。
ホームズの左がジョーンズのガードの隙間を突き刺し、上に下にヒットしていきます。
2R、上体が柔らかく、反応もいいジョーンズがガードやダッキングでうまくホームズのジャブを外しながら戦う。
痛烈な右ストレートがホームズを捉える場面もありますが…コンビネーションが出ない。
このラウンドの後半はホームズの連打に曝されゴングに救われます。
3R、体重差があるにも関わらずホームズに下がらされるジョーンズ。
次々にホームズの左がジョーンズを捉え、左フックでぐらつくジョーンズ。
しかし直後には強烈な右を撃ち込みお返し…。
圧倒的に試合を支配されながらも、スリルを演出します。
4R中間距離でホームズの強打をもらい続けるジョーンズ。
頭から飛び込んでのインファイトでボディから崩そうとしますが…。
なかなか思い通りには進まず。
密着した距離でもホームズに上回られます。
5Rも4Rと同様の展開。
飛び込み際に頻繁に頭が当たりますがモノともしないホームズ。
ジョーンズはなんとかボディから切り崩そうと、密着してボディを繰り返します。
6Rに入ると密着さえ許してもらえないジョーンズ。
ジャブからの右フックを何度ももらい…
7R開始直後にはなんとか強烈な右を返すものの…
立っているのが信じられないほどの滅多撃ちにさらされます。
顔は腫れあがり原形をとどめず、マブタはパンチで切り裂かれ…
タフなばかりに試合は凄惨なものへとなっていきます。
しかしついに8R、コーナーで滅多撃ちににあい、レフリーが試合をストップ。
鳴り響くブーイング…いかにホームズが不人気王者か…
ここまでいくと観客の憎悪さえ感じます。
7度目の防衛戦にはスコット・ルドー(米)
26勝8敗4分と負け数は多いですが、この戦績は数々のホープや実力者と戦い続けた結果。
レオン・スピンクス(米)やケン・ノートン(米)と引き分けを記録するなど、世界戦線のトップで戦い続けた猛者。
全勝ホープのマーティー・モンロー(米)を下して世界挑戦に辿り着きました。
ホームズにとっては初めて世界戦で戦う米国人の白人。
1Rは左の刺し合いで勝るホームズのラウンド。
しかしルドーも強烈な右フックを入れ一方的な展開にはさせず。
観衆はルドーの軽いヒットでも大歓声。
2Rも左を刺し合う静かな展開。
しかし終盤にはホームズがルドーをコーナーに追い込み強打をいくつも撃ち込みます。
3Rはジャブとプレッシャーでルドーをコーナーに追い込むホームズ。
ルドーが前に出ると、そこに強烈なカウンターを浴びせる。
被弾を重ね続けるルドー。
しかしこのラウンド終盤にはカウンターで左右のフックを撃ち込みお返し。
4Rも3Rと同様の展開。
時折強打を撃ち込むルドーですが、試合自体はホームズが支配。
5Rに入るとルドーのダッキングに合わせて強烈な右の撃ち下ろしを叩き込むホームズ。
一方的な展開になっていきます。
6R、単発ながらルドーの強烈な右フックがホームズを捉える。
沸き立つ観衆、しかし次に大きな右フックを振ったルドーに待っていたのは、ホームズの右ショートアッパー。
ルドーの顔面にめり込み、後ろを向きながら膝をつくルドー。
再開に応じるものの右目上を大きくカット。
7R、やはり一方的に支配されるルドー。
一度ドクターチェックが入り、試合は続行されるも…
最後はレフリーが試合をストップ。
ドクターから「これ以上撃たれるようなら…」等とあったのかもしれません。
このストップに会場からはブーイングの嵐。
勝つたびにブーイングにさらされるホームズ。
大衆は、憎まれ役のホームズを倒すスーパーヒーローを明らかに求めていました。
このとき、リングサイドで観戦していたのはかつてのスパーリングパートナー、モハメド・アリ(米)。
3度目の引退をし、リングを降りていた頃。
インタビューに「カムバック」という言葉を何度も繰り返しながら答えるアリ…。
既にボクサーとしては峠を越えた38歳という年齢でありながら、その場で現役復帰を表明。
“The Greatest”がまたもやリングに帰ってきます。
歴史に残る、アリvsホームズ…。
この試合を見ていた幼きマイク・タイソン(米)の逸話も含め…。
そんなところはまた次回。
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