いざ刑務所へ…逆戻り!? ドワイト・ムハマド・カウイ(米)③ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/07/21
ドワイト・ムハマド・カウイ(米)、3日目。
この頃はまだ名前がドワイト・ブラックストンだった頃。
前回は、売り出し中の元囚人ホープ、ブラックストンが、
元WBA世界ライトヘビー級王者 マイク・ロスマン(米)に圧倒的な勝利を飾ったところまで。
さて、ブラックストンの世界挑戦が一気に色味を帯びたこの時期、
強豪として名を上げたブラックストンに立ちはだかったのが…ジェームズ・スコット(米)
このスコット戦は…因縁中の因縁対決。
スコットはブラックストンと同じ刑務所に服役。
ブラックストンと同じように刑務所でボクシングを学び、出所後プロデビュー。
ライトヘビー級の王者候補へと上り詰めます。
…しかし、なんとまたもや強盗を犯し、再犯で刑務所に逆戻り。
以降…彼は囚人のままプロボクシングの試合を行っていきます。
なぜそんなことが許されたのか…理由は定かではありませんが、
彼の再犯後の試合はすべて刑務所内で行われています。
スコットの戦績は21戦19勝1敗1分…。
囚人王者誕生間近…話題性を持った期待の選手だったのがこの頃のスコット。
スコットがホームリングにしていたラーウェイ州立刑務所…。
そこで服役し、ボクシングを覚えたブラックストン。
元世界王者を撃ち破った、そんな“刑務所の後輩”を監獄で迎え撃つ…スコット。
マンガとしか思えないような試合が、現実に行われます。
カウイにとっては久々に訪れた自身の原点となった場所…二人の人生が絡み合った事実上の挑戦者決定戦…
椅子を争うのは何かと共通点の多いホープ同士。
ゴングが鳴ると、10cm近く開いたリーチ差を生かそうと遠い距離で旋回するスコット。
様子見か1Rは手数少なく旋回…ブラックストンは積極的にジャブを出していくものの
やはり距離は遠く、当たっても浅いヒット…ならばと狙いをボディに切り替えます。
さらに徐々にプレスを強めていくブラックストン。
しかしスコットは容易には強まらず、距離が詰まるとうまくクリンチで逃げる。
しかし、そのクリンチ際にボディを攻めるブラックストン。
距離が詰まってきた分、スリリングなタイミングもあり、
2R終盤にはお互いの強烈なフックが相撃ちする場面も…。
スコットは距離を取りながらすっと入ってアッパーやフックを繰り出す。
対して詰めると連打で襲うブラックストン…。
4R開始直後にはブラックストンの飛び込みざまの強打がいくつもヒット。
そのまま距離を詰めてコンビネーションを繰り出すブラックストン。
しかし一旦距離が開くと、スコットが不意をついた踏み込みで、長い腕をたたんだフックやアッパーを反撃。
試合は時間が進むごとに距離がブラックストンのものになっていく。
スコットは自分が戦いたいロングレンジを徐々に維持できなくなってきます。
足を使うスコットを、逆に足の運びでコーナーに追い込み一気に撃ち合いに持ち込むブラックストン。
こうなると手足が短く回転のいいブラックストンが圧倒的有利…
…なハズが、なんと一方的にはさせないスコット。
両腕をうまく折りたたみ、もらいながらではあるもののいくつも強打を撃ち込んでいく。
お互いにスリリングなパンチを持ちながら、ディフェンス技術も高く、簡単には大きな被弾を許さない。
刑務所内に設置された会場のボルテージは上昇していく…。
7R中盤からは突然足を前に進めたスコット。
密着しての撃ち合いでスコットの右フックがブラックストンを捉えると、ブラックストンの動きが止まる。
撃ち合いで圧倒的に上回ったスコット。
ブラックストンのお株を奪ってしまいます。
8R以降はスコットが足を使う形に戻しますが積み重なるボディに、足が鈍り始めるスコット。
9Rにはコーナーに追い込まれてスコットが不本意な撃ち合いに呑み込まれる。
しかし、その撃ち合いは、お互いにカウンターにカウンターを乗せあうような二人の技術とスリルにあふれた撃ち合い…。
一進一退の展開になるものの、次第にブラックストンの回転が勝っていく…
それでもブラックストンのアッパーに強烈な右ストレートを合わせたスコット。
一瞬で決着がついてもおかしくない…緊張感と熱が交差しあうような展開。
しかし、結局どちらかがマットに手をつくことはなく終了のゴング。
両手を上げて勝利をアピールするスコットですが…
この激戦、3-0でブラックストンのの判定勝ち。
ジャッジの一人は1P差をつけるなど接近した内容で、
判定が読み上げられるところまで緊張感が漂った二人の対決。
ブラックストン時代の名勝負…と言えるかもしれません。
話題性抜群の試合に勝ったブラックストン。
一気に世界挑戦のチャンスを手に入れることとなります。
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