ラストチャンス ロジャー・メイウェザー(米)㉚ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/11/11

ラストチャンス ロジャー・メイウェザー(米)㉚ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/11/11
 
 

ロジャー・メイウェザー(米)のピックアップ31日目。
 

前回は遠く離れてしまった世界戦線再浮上の為、
ロジャーがマイナー世界王座、IBOで2階級を制したところまで。
 
 
 

しかし当然狙うはメジャータイトル。
次戦ではノンタイトルで19戦全勝の若手ホープ、レイ・ロバート(米)と対戦。
暴風雨のような連打を武器に頭角を現したロバート。
かつての世界王者を下して名を挙げようとこの試合に挑んできます。
 

かつては長身選手として体格を武器にしたロジャーですが、
ウェルターまで上げて来ると、体格的には互角の相手になってきます。
ロバートも身長では劣らず、ロジャーに対してグイグイとプレッシャーをかけていく。
振るうパンチにも力があってスリルのあるパンチを放ってくる。
 

2R、左を下げて構えるロジャーの頬を、突然ロバートの右フックが急襲。
一撃で崩れ落ちたロジャー…若かりし頃に抱えた撃たれ弱さがここでロジャーの足元を救う。
立ちあがっても足元のおぼつかないロジャーに、レフリーは試合をストップ。
 

積み上げた7連勝はストップします。
 
 

これで終わるかと思いきや、諦めないロジャー。
翌月には12戦11勝のホープで、後にメキシコミドル級王者となるフランシスコ・バラ(メキシコ)を3RTKOに下して再起。

続いての試合では保持していたIBO世界ウェルター級王座をかけてアーロン・マクローリン(米)との対戦。
9RTKOで破ってマイナータイトルを防衛します。

次戦のノンタイトルも2-0の判定で切り抜け、直近1年半の間に10勝1敗。
一時期に比べれば対戦者の質は落ちてはいましたが、時間をかけてようやくチャンスを手に入れます。

オーストラリアをホームに戦うロシア人。
IBF世界スーパーライト級王者、コンスタンチン・チュー(ロシア)への挑戦。
敵地に乗り込んだこの試合。

ロジャーを包む激しいブーイング…。
 

序盤から強い圧力をかけてくるチュー。
ロジャーはクリンチで阻みながら、不意をついての右で対抗。
しかし、飛び込みながらのチューの強烈な左フックで、ロジャーは膝を折られる場面も…。

見るからにタフなチューは被弾をものともせず、強烈な自身のパンチを返す。
単発でえぐるロジャーに、一発当てれば2発、3発と力を込めて叩き込むチュー。
近い距離をクリンチでつぶしたいロジャー…次第に抱き合う場面が増えていく…。
 

中盤に入るころには、攻め込むチューをひたすらクリンチで絡めるロジャー。
入り際に強打を狙うと、チューはもらいながら2発3発と撃ち込んでくる。
打開策が見当たらない展開。

インターバルの間、ぼぉっとチューを見つめるロジャー…。
「どうするかなぁ…」なんて考えていそうな表情。
劣勢の展開に打開する策を巡らせているよう。

6R、チューの入り際に右を撃ち下ろしたロジャー。
これまで通り、後続打を撃ち込もうとするチューに距離をとって撃たせない。
相変わらずクリンチは頻発するものの、ロジャーは展開を盛り返しかけます。
しかし、タイミング良くパンチと一緒に飛び込んでくるチュー。
待ちの態勢のロジャーは自分から仕掛けてくるチューの後手に回ってしまう。
 

終盤に入り、逆転を狙って攻勢を強めるほど、チューの強打にさらされる。
疲労もたまり、クリンチ際でチューの腕を抑えきれない場面も増える。
タフで若いチューに対し、グズグズに疲弊していくロジャー。
 

最終12Rには、もみ合いのさなかに放ったボディでローブローをとられるロジャー。
しかしポイント的には明らかに挽回不能な最終ラウンド。
相手の意識を刈り取る一撃を叩き込むしか、ロジャーに勝ち目はない状況。
しかしチューの回転の速い連打は、ロジャーにチャンスを与えず…
 

この試合では大差判定で敗れてしまい、3年半ぶりのチャンスも物にできず…。
 

その後、かつての米-ノースカロライナ州王者ながら近年勝ち星のない、
クリフォード・ヒックス(メキシコ)を相手に3RTKOで再起。
1勝の記録もないトム・マケイン(米)に5RTKOで連勝。

完全な格下相手に連勝を飾るものの、のちにWBA中央アメリカライト級王座を獲得する
元メキシコ王者フアン・ソベラネス(メキシコ)には1-2の判定で敗北。
地域タイトルレベルの相手にも苦杯を舐め、衰えを顕著に見せ始めます。
 
 

ちょうどこの頃、甥っ子のフロイド・メイウェザーJr(米)がアトランタ五輪で銅メダルを獲得。
自分たち兄弟とはかけ離れたレベルの実績を叩きだした甥っ子。

次第に自身の試合より、甥っこのトレーナーとしての仕事に傾倒していくロジャー。
 

半年後にはまたもマイナータイトル、IBA世界ウェルター級王座決定戦で
17戦16勝のホープ、カルロス・ミランダ(米)と対戦。
元世界王者の意地か12RTKO勝利を飾る。
 
 

この後、兄のフロイドが服役を終え、フロイド・メイウェザーJr(米)のトレーナーに復帰。
しかし、自身の試合ペースは年1度にまで落ち込んだロジャー。

1998年にはNABO北米王座に挑戦経験のあるパトリック・バード(米)に判定勝利。
1999年には元WBC中央アメリカウェルター級王者の
ハビエル・フランシスコ・メンデス(メキシコ)に2-0の判定勝利。
 
 

ここでロジャーの戦績は途絶える。
気がつけば兄のフロイドは8年も前に引退。
4歳下の弟のジェフも5年前に引退。

兄弟の中で最も功績を上げたロジャーだけが、戦い続けていました。
しかしそれももう限界。

気がつけば甥っ子のフロイド・メイウェザーJr(米)は、かつて自分が
フリオ・セサール・チャベス(メキシコ)から奪うことの叶わなかった
WBC世界スーパーフェザー級王座のベルトを腰に巻く。
 

兄のフロイドがトラブルを抱えるたび、メイウェザーJrの
代わりにトレーナーを務めていたロジャー。
 

メイウェザーJrの歴史に残る活躍とともに、三男のジェフを含めた3人の兄弟は様々な選手を指導。
3人がそれぞれに名トレーナーとして名前を上げていく。
それは3人が現役として活躍した頃以上に…
 
 

現在、メイウェザーJrは既に引退。
49戦全勝のパーフェクトレコードを残して、最強の名を欲しいままに…。
 

ロッキー・マルシアノ(米)のパーフェクトレコードに並ぶ事こそJr.の唯一の目的」
そう言い放ったロジャー。

メイウェザーJrがその記録を達成したとき、ロジャーはセコンドにはいませんでした。

その時には既に、戦いに戦い抜いたロジャーはその代償として…
メイウェザーJrがいったい誰なのかわからないほどの認知証に陥っていました。
 

ロジャーの状況を公表し、ダメージが残る前の引退を理由にリングを去ったメイ。
彼の復帰話は未だひっきりなしに浮上しては消えています…。
 

このままメイは二度とリングに戻ってくることはないのか?
その答えは、ロジャーの姿にあるのかもしれません。

何度負けても挑み続け、老後を棒に振るほどのダメージを蓄積させ…
そんなロジャーの血をひくメイウェザーJrが…はたしてリングの魅力と決別できるのか?
マネー・メイ(金の亡者)とも揶揄されるメイウェザーJr。
引退した今、散財ばかりが取り沙汰され、「金の為にリングに戻る」と確信するマニアは多い…

しかし、ちょっと勘ぐってみれば…
もしかしたら…リングに戻る為の理由づくりの最中なのでは…?
なんて思ったりもしてみる。

ロジャーを追うと、それもぶっ飛んだ意見に思えなくなるのではないか。
…ん~、でも、こんなこと言うの自分だけかも。

よくわからなくなる。
しかし、ダーティーヒーローの復活がもしあるとすれば…
それはまた、新しい歴史が作られることを意味する。
 

メイウェザー一族…
気がつけば、その名声は2000年~2010年代のボクシング史に欠かせない名前になっている。

ただし…相も変わらずトラブルをばら撒きながらではあるけども。
 
 

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