元世界王者…撃破 ドワイト・ムハマド・カウイ(米)② ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/07/19

元世界王者…撃破 ドワイト・ムハマド・カウイ(米)② ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/07/19
 
 
 

ドワイト・ムハマド・カウイ(米)、2日目。
 

この頃はまだ名前がドワイト・ブラックストンだった頃。

3戦1勝1敗1分と、平凡な戦績だったブラックストンが、
かつて敗北したジョニー・デイビス(米)にリベンジを果たしての11連勝を飾ったところから。
 

続いての試合では、とくにタイトル挑戦経験もなく、戦績も35戦19勝15敗1分と平凡なアル・ボールデン(米)。
しかし、その勝利の中には世界王座に5度も挑戦するヤキ・ブルネット(メキシコ)が含まれていたりする大ベテラン。
 
 

小さな体で信じられないほど伸びのあるジャブを飛ばしていくブラックストン。
時には頭から入りながら、近づけばパワフルなフックやアッパーを繰り出す。
できればロングレンジで勝負したいボールデン…しかしジャブで差し負ける。

様子見の1Rが終わると、一気に距離を詰めるブラックストン。
ボールデンが入り際にアッパーを合わせることができたのは最初だけ。
ブラックストンが一瞬で距離を潰す踏み込みでボールデンを捉え、強烈なフックを浴びせる。

近付いたブラックストンにアッパーを浴びようとするボールデン、
きっちりガードしたブラックストンは返す刀のフックをカウンターで浴びせる。
2R終盤には強烈な右ストレートを皮切りにボールデンを追いつめいくつも強打を浴びせていく。

ボールデンはしきりに飛び込んでくるブラックストンにカウンターを合わせようとするも、
そのカウンターをきっちりハズして、その上からカウンターを合わせるブラックストン。
ボールデンはクリンチに逃げるしかなくなってきます。

「小さな体でプレッシャーをかけて戦う」そんな言葉からブルファイターを想像してしまいそうですが
実はブラックストンはジャブとディフェンスに長けたスキルフルなボクサーだったりします。

中盤、ボールデンの手が出なくなると、ブラックストンのジャブが上へ下へ一方的に突き刺さっていく。
ボールデンは入ってくるブラックストンをクリンチで固めるしかなくなります。
抱きかかえても、片腕を抱え逃すと、その腕をふるって強打を叩き込まれる…
 

6Rになり、足を使って状況を変えようとするボールデン。
クリンチで両腕をホールディングするのではなく、離れ際を狙い始めます。
まさにベテランの味を発揮し、このラウンドいくつもヒットを奪います。
…が、これはブラックストンの距離で撃ち合うリスキーな手段。
時折ブラックストンの連打を食うシーンも…

これはマズいと次のラウンドでは方針転換し、近い距離で撃ち合い始めたボールデン。
しかしブラックストンの強打がボールデンを捉えると、
必死にブラックストンの腕を抱えてホールディング。

終盤に差し掛かると、序盤から数多くボディを撃たれてきたボールデンは
ブラックストンのボディにくの字に体を折るようになってくる。
そろそろボディの方も限界か…手を出せば顔面にカウンターが飛んでくる。
離れても…近づいても…打つ手が見当たらないボールデン。

そのまま試合終了のゴングが鳴り、ブラッグストン、大差の判定勝利を飾ります。
 
 

キャリア初期には障害ともなりえるベテラン選手に圧倒的な勝ち方を見せたブラックストン。
この辺りから対戦者の質をワンランクアップしていきます。
 

迎えた相手は元WBA世界ライトヘビー級王者 マイク・ロスマン(米)
一時期、日本のジムに所属した米国人、フラッシャー 石橋(石橋)をKOした選手としても知られます。

この頃のロスマンは世界王座を追われながらも、いまだライトヘビー級のトップクラスのランカー。
王座陥落後に再起に失敗するもその後2連勝。
そこでルーク・カプアーノ(米)との試合を2-0の判定勝利…しかしこの試合は歴史に残るとまで言われる議論を呼ぶ判定。
二人は再戦し、今度ははっきりとした判定でカプアーノに勝利したロスマン。

結果、再起後4連勝としたロスマン。
もう一度世界のベルトを巻くには絶対に負けられない試合。
ブラックストンにとっては、この試合に勝てば世界挑戦が一気に現実味を増す戦い。

しかし顕著過ぎる体格差…
ロスマンとブラックストンのリーチ差は7cm。
身長差はなんと…21cm!

ここまで来るとまるで大きな壁に向かっていくようなもの…なハズ…。
しかし、ブラックストンにとってはそれはいつものこと。

下からスナッピーなジャブを突きあげ、クロスアームブロックと柔らかいウィービングで被弾を許さない。
近づけば一方的にコンビネーションをたたき込み…1Rから実力差が見えたような展開。
ロスマンのパンチは全て空を切り、ブラックストンのパンチは全て突き刺さる…

実際にはそれは大げさな表現…しかしそんな印象を持ってしまう。
2Rが終わるころには意識を刈り取りそうなパンチをいくつも積み重ねたブラックストン。

しかしそんな展開でも元世界王者。
ロスマンは手を止めることなく、ブラックストンに向かっていく。
プレッシャーで下がらされながらでも、出しても出しても空を切り続けるパンチを諦めることなく繰り出し、
…そしてそのたびに強打に襲われる。

ダメージをその体に積み重ねていくロスマンは、パンチの力さえ失っていく…
 

3R後半からは本来のスタイルではないであろう足を使ったボクシングに転換するものの…。
これまでブラックストンに対して、体格差を利用してアウトボクシングを仕掛けた選手はいくらでもいた。
足を使う相手を沈めるのは、ブラックストンのいつもの形…。
ロスマンはブラックストンの伸びるジャブに
突き刺され、いきなりふるわれる大砲に頭を弾き飛ばされる…。

そんな展開の中、5R後半、逆に距離を詰めたロスマン。
強打をもらいながらもいくつかパンチをヒットさせることに成功。
ブラックストンのフックに合わせて突き刺さしたアッパーは、
この試合でロスマンが放ったもっともスリリングなパンチ。

そんなロスマンにボディを増やして対抗するブラックストン。
これもかなり効きそうな角度。
しかし、被弾しながらでも自分のパンチを撃ち込むことを選んだロスマン。
…倒さなければ勝ち目のない展開に、いくつも強打を撃ち込まれながら、歯を食いしばって撃ち返します。

7Rもいつ倒れてもおかしくないビッグパンチに次々襲われるロスマン…
そしてついに…ブラックストンの鋭利な左フックにロスマンは尻もちをついてしまう。
その瞬間、気持ちの糸が切れてしまったように…座ったままテンカウントを聞いたロスマン。

飛び上がって喜ぶブラックストン…。
まさに驚異的、圧倒的な試合を繰り広げた形…。

いくら上り調子のホープとは言え、相手は2年前まで世界の頂点に君臨していたロスマンです。
当時の実績を考えれば、ここまでの展開は誰も予想しなかったかもしれないとも思えます。
 

一気に名前を売ったブラックストン。
ここから…並居る強豪がひしめく中で激戦を繰り広げていきます。

ただひたすらに…でかい奴らを打倒する。
 
 

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