武装強盗 ドワイト・ムハマド・カウイ(米)① ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/07/17

武装強盗 ドワイト・ムハマド・カウイ(米)① ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/07/17
 
 

 

アメリカ、メリーランド州ボルチモアで生まれた小柄な黒人の少年。
その後少年は、家族とともにニュージャージー州カムデンに移り住む。

貧困と犯罪の渦巻く当時の黒人社会。
少年は大きな罪を犯します。

金欲しさの武装強盗…司法は彼を5年間刑務所で拘束することとなる。
 

この刑務所の中で、少年はボクシングと出会う。
よくあるボクシングのシンデレラストーリー…。
この少年のストーリーもやはりそんなところから始まる。
 

モハメド・アリ(米)と同じく、イスラム教へ改宗し、名前をドワイト・ムハマド・カウイ(米)に変えることとなる少年。
この頃の名をドワイト・ブラックストンと言いました。
 
 

 

1978年、彼は釈放され、刑務所内で覚えたボクシングで生計を立てる為、すぐにプロボクサーになります。
場所はフィラデルフィア。

ジョー・フーレジャー(米)のジムでトレーニングを受けたことで、彼の影響を色濃く残すこととなります。
 
 

公証では身長170cm。
しかし、本当は166cmだったとも言います。
この身長で階級はライトヘビー級…。

180cmを超える選手も多くいる階級ではまさに破格の小ささ。
ボクシングにおいてリーチ差は有利な条件…
つまり、ブラックストンはかなり不利な戦いを常に強いられた…ことになります。
 

デビュー戦では負け越し戦績のレナード・ラングレー(米)相手に判定の末ドロー。
2戦目ではここまで10勝1敗のホープ、ルー・ベンソンJr(米)に判定で初勝利するも、
3戦目では、ジョニー・デイビス(米)にスプリットでの判定負け…。
 
 

3戦目で戦ったデイビスは後々に世界挑戦も果たす強豪なのですが…
この頃のデイビスは3連勝を飾っているとはいえ、デビューしたての無名選手。
そんな相手に負けてしまったブラックストン…。

ブラックストンのデビューからの戦績は3戦1勝1敗1分。
誰もブラックストンが世界を獲るなんて思わない。

…そんなところから、ブラックストンの驚異の快進撃が始まります。
 
 

勝ち越し戦績の相手ばかりを対戦相手に選び6連勝。
さらにはデビュー戦で引き分けたレナード・ラングレー(米)に2RTKOで借りを返し、
のちのアリゾナ州王者、チャールズ・スミス(米)を4RTKO、
のちにミシガン州タイトルに挑むリック・ジェスター(米)を3RTKO。
 
 

もう1戦勝利を挟んで10連勝とすると、一度敗戦を喫した相手、
ジョニー・デイビス(米)とのリマッチに挑みます。

1度目の戦いでブラックストンに勝利して以降のデイビスは
順調に勝ち星を重ねつつあったところで、無名選手に敗北。

その後、ボンゼル・ジョンソン(米)にも敗北…。
ジョンソンはデイビスへ勝利した半年後には世界挑戦を果たす選手。
強豪に喫した2敗目のあと、なんとか再起を飾った…というタイミング。

既にブラックストンは強豪をなぎ倒し、この頃の知名度で行けばデイビスを上回っていました。
デイビスとしては名前を売り出してきており、1度勝った勝算のあるブラックストンに勝って
世界戦線に名乗りを上げたいところ…

ドワイト・ブラックストンとジョニー・デイビス…ブラックストン初期のライバル関係だったりします。
 

この試合、10cm以上身長の高いデイビスは、やはりこのフレーム差を生かす。

序盤、足を使って捌こうとするデイビスに対し、
小さな体に似つかわしくない伸びのあるジャブを撃ち込みながら追いかけるブラックストン。
デイビスの行き先を足の運びでカットしつつロープに追いつめるとボディに連打を重ねながら
上があいたら突き上げる…基本に忠実に攻め立てる。

時折、デイビスも足を止めて反撃。
デイビスのコンビネーションはスピードもあり、
1R終盤には強烈な左フックがブラックストンを捉えて一矢報いる…。
 

さらに、徐々にデイビスのアウトボクシングがさえ始めると、
ストレート中心のロングのコンビネーションでブラックストンを中へ入れさせない。
こうなると成す術がなくなりそうなブラックストンですが、デイビスのパンチを
ヘッドスリップとブロックで殺し、丁寧に致命傷を避ける…。

3Rには次々と手数を増やしてサークリングし始めたデイビスにいくつも強打を撃たれる…。
入り込もうとすればアッパー、距離が離れればワンツー、それをかわしたところに撃ち下ろし…
抜群の反応と丁寧なガードでも受け切れずにいくつも被弾するブラックストン。

しかし、このラウンド終盤、ただでは終わらないブラックストン…
飛び込んで強烈な左右フックを浴びせます。
このダメージがきっかけか…撃ち疲れか…デイビスは以降、ブラックストンの接近を許すように…
 

4Rには入ってくるブラックストンをクリンチで捕まえるようになったデイビス。
しかし捕まえたところで、強引にボディを叩かれ、さらにデイビスの足が削られる…。
デイビスの悪循環が始まりだした頃、クリンチ際で絡み合って後ろに回り込んだブラックストン。
そのまま背中にパンチをたたき込み、ケツにひざ蹴りを食らわす…

笑ってしまいそうなほどわかりやすい反則…やりたい放題になってきます。
デイビスはロングレンジでは有利に戦うものの、詰められてはボディを叩かれる…消耗戦を強いられる展開。
ポイント的にはデイビスに振られてもおかしくないものの、ブラックストンが展開を盛り返して来ます。
 

5Rに入ると、完全に足が止まり始めるデイビス。
開き直ったか、足を止めてブラックストンの入り際に強烈なフックを合わせる。
インファイトで撃ち合っても、長い腕を持て余すことなく技術でカバー。
ブラックストンの間合いで互角以上に戦って見せます。

ブラックストンの強烈なプレッシャーに下がりながらでも
しっかりガードして撃ち返していくデイビス。
しかし、ブラックストンの強烈なボディまでは防ぎきれず…
 

7Rあたりでデイビスは一気に消耗を隠しきれなくなる。
インファイトでも手数が出せず、一気にペースはブラックストンへ…
足を使って休もうとしても、ジャブの引きに合わせて飛び込むブラックストンに
ボディを叩かれ、強烈なフックを浴び…休ませてもらえず。

9Rには消耗しきったデイビスはついにブラックストンにつかまってしまう。
ラウンド通じてブラックストンの強打を浴び続ける…
10-8がついてもおかしくないラウンド。
意識を飛ばされたように見えるシーンも何度もある中、必死にこらえて立ち続けるデイビス。
なんとか3分間を乗り切ります。

前半ポイントリードしていたのはデイビスに見えるだけに…かなり接近したポイントになっていそうな状況。
しかし、ペース的に圧倒的に有利なのはブラックストン。
 

最終ラウンドのゴングが鳴らされる。
ここでデイビスは最後の力を振り絞り、徹底的に距離を取る。
ブラックストンを遠ざけるように遠ざけるように…

ブラックストンは飛び込んでボディの繰り返し…。
必死に集中力を高めて、リング上をサークリングするデイビス。
そのままゴングが鳴らされ…勝負は判定に委ねられる…。
 
 

 

出た判定は2-0のマジョリティデジジョン…。
 
 

 
 

勝者は…ブラックストン。

際どいラウンドも多く、デイビスに判定が流れてもおかしくなかったように思える試合。
なんとかこの試合を勝ちとり11連勝。
過去の敗北を清算し、ホープとしてまたひとつ名を挙げます。
 
 
 


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