フレームの差(コラム) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/07/15
「ボクシングの階級はなぜそんなに細分化されているの?」
たまに聞かれる質問です。
そもそもはただの殴り合いだったボクシング…
それが練り上げられていく過程で、絶対的な有利不利を生み出したのが…体格。
そこで、ミドル級やライト級が出来…さらに細分化を繰り返し…。
同じ体格同士が戦うスポーツへとなっていった…。
細かいことを言うともっと複雑な部分があったりするんですけど、大雑把にはこんな感じ。
この体格のハンデを補う階級制度…。
いまやボクシングの根底に近い部分にあるこの制度をあざ笑うかのように踏みにじるような選手が…
歴史上、何人かいたりします。
ライトフライ級からスーパーウェルター級まで、実に11階級を渡り歩いた6階級制覇王者、マニー・パッキアオ(比)とか、
小さな体でヘビー級に君臨したロッキー・マルシアノ(米)とか、
ライトヘビー級からクルーザー級を飛び越してヘビー級を制したロイ・ジョーンズJr(米)とか…
計量後から試合開始までの時間に選手は減量から解放されて、通常の食事を取り始める…
すると体重はみるみる戻り…試合開始時には10Kg近く戻してしまう選手も…。
まぁ、戻しすぎて動きが鈍くなることもあり(リカバリーミス)、どこまで体重を戻すかは選手次第なんですが…。
中にはそういった大幅に体重を戻してしまう選手もいるよってこと、そして骨格が大きければ大きいほど、
体重を戻しやすいってところがあります。
その体重差はそのまま圧力になってしまったりするわけで…。
またフレーム(骨格)の大小から来るリーチ差とかってのもかなり重要な要素で…
ボクシングにおいてフレームはかなり重要なんですよね…普通は。
だからみんな必死に減量して、できるだけ軽い体重で戦おうとする。
階級の壁を打ち破るってことは、自分よりフレームの大きな相手とばかり戦うってことで…
そうなると、おのずと不利な戦いを強いられ…複数回級…生半可なことじゃないんです。
それが階級間の体重差の少ない軽量級であっても…。
だからこそ、パッキアオって選手が偉大だったりするわけですよ。
激闘まみれだったことがそれより大きな理由だったりもするんでしょうが…
残した記録の偉大さとしては…ね。
で…そう言えば…
とんでもなく小さなクルーザー級王者がいたな…と思って調べてみました。
身長170cm…ドワイト・ムハマド・カウイ(米)
この身長だと、バンタム級で活躍した亀田 和毅(亀田)よりも1cm小さい。
しかも、実はカウイの身長は公表より低かった(166cm)…なんて話もあります。
全17階級中、3番目に重いライトヘビー級と2番目に重いクルーザー級を制した王者…
大男揃いの中で、小さな体で…強烈なプレッシャーを武器に…
短い体躯で…綺麗なジャブを突き刺し…
彼が可能だったから他の選手に可能か…
もしそうだったとしたら、ボクシングの階級制は壊滅し、複数回級制覇王者まみれになってしまいそう。
パッキアオみたいな選手が歴史上何人も生まれている気がします。
カウイが化物級だった選手だからこそ成し遂げた成果…。
次回、ピックアップはこの…カウイ。
乞うご期待!
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