王座の価値を下げているのは何か(コラム) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2018/01/17

王座の価値を下げているのは何か(コラム) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2018/01/17
 
 

 

世界一王座時代のボクシングは素晴らしい。
 

いや…今も充分に素晴らしい。
だけど、ネットで重箱の隅をつつくようにボクシングがけなされる。
昔はそうじゃなかった…情報が今ほど交錯しなかった時代。
“専門家”の言うことがすべて真実となった。

古い欧州のレコードを見てみると解る。
世界一王座時代…いや、その頃も世界王座は割れていた。

世界王座、NBA世界王座(WBA前身)、ニューヨーク州アスレチックコミッション認定世界王座…。
この辺りが世界王座として認知のあったもの。
 

そして、これを欧州の目線から見てみると…
EBU欧州、BBBofC英国、コモンウェルス英連邦。
世界王座はこの辺りの地域王座と同列に扱われている。
 

「世界王座」とはボクシングの中心と”されていた”米国目線のものである。
欧州でそこに絡めるのは一部の選手のみ…。
ユダヤ系の力を借りれた選手だけだった。

白井 義男(フリー)が世界王者になれた…
日本が世界タイトルに絡んでいくことになったのも、ユダヤ系の力を借りることに成功したからである。
ハワイやアルゼンチン、日本…どこにもユダヤ系の力があった。

プロモーター達の力は現在より効きまくっていて、
実際には限られた選手たちだけの世界王座だったのである。
特に中東や社会主義国家の選手にはプロになるルートさえ限られていた。
現在もそうではあるが、古い時代、プロボクシングのない地域の比率は今より格段に多かった。
 

価値観もまた、十色である。
プロの世界王者なんかより金メダルの方が価値がある。
…そう考えるボクシングの価値観を持った国は、今でも一つや二つではないし
古い時代に行けばいくほど多い。
 

厭味ったらしい言い方をしてしまえば、
世界王座が米大陸ちょっと王座だったのがいにしえのボクシング。
 

こんなこと、言うべきじゃない。
…と言うか、言い方がナンセンス過ぎる。

「昔も王座はいくつかあったが、いずれも素晴らしいチャンピオンたちがいた」

これが真実じゃないだろうか。
 

でも、現代にその時代のボクシングがあったとしたら、
「王座が割れている」、「欧州じゃ価値がない」…
なんて叩かれていたと思う。

ネットが普及し、意見が沢山発信されるようになった。
それはそれでいいことだけれど、リスペクトを失うような言い方が多過ぎる。
この記事の前半に書いたことを、オールドファンは決して受け入れないだろう。
汚されたくないだろう…。
 
 

現在の世界王座の価値は下がったのか?

僕はよく言うのだけれど、局所集中していた競技人口が分散したのはあると思う。
ただし、価値低下の糾弾は大袈裟だ。
その分世界は広がったし、4団体になったことで、昔よりは適切にチャンスが巡ってくるようになった。

もちろん当時を生きていたわけではないので、レコードを中心とした資料と
当時から残った膨大な資料のごくわずかな部分からだったりするのだけれど…。
僕はそんな風に思っている。
 
 

…と、ここまで書いたことはとってもナンセンスな話。
僕はこの辺り、どうでもいいことの一つだと思っている。
ここからの話の前置きだ。
 

今も昔もボクシングには問題が山積みだ。
ただし、変わらないことが一つある。

それはリングの上で勝ちに向かって戦うボクサーの姿だ。
「頑張れ元気」という古い漫画を読んで驚いた。

登場する人物たちは、僕が現地で生で見ているボクサーたちと何も変わらない。
昭和の熱いボクシングと何も変わらないのである。
 

変わってしまったのは周りだろう…リングの外だろうと思う。
“専門家”の言うことがすべて…彼らの言葉にファンの間で共通の認識が産まれ
一体感を持って試合を応援した。

現在は様々な情報リークや、様々な意見がネット上で情報として飛び交い、
その一体感は失われてしまった。

辰吉 丈一郎(大阪帝拳)は最強ではなかった。
畑山 隆則(横浜光)は強い世界王者ではなかった。

…それでも良かった。
今、そんな選手が出てきたら、ネット上で様々な罵倒が繰り広げられると思う。
辰吉の返上した暫定王座が戻ってきたことなど、叩くネタは充分にある。
 

ボクサーなんて、貶そうと思えばどうとでも貶せる。
なんなら歴代世界王者のあらを探して並べたてて、全員偽物とか言うことだってできる。

ファイティング 原田(笹崎)だって世界ランキングに入ってなかったのを
急きょの代役挑戦の為に強引に世界ランキングにねじ込まれて世界挑戦した…。
要は世界挑戦権のなかった選手であり、原田が世界を獲った試合は厳密には
ノンタイトルとして行われるべきだった試合だ。
 

…そういうことではないでしょう。

原田も辰吉も畑山も素晴らしかった。
それと同じように現代の世界王者も素晴らしい。

国内で戦う選手たちだって、素晴らしい選手ばかりだ。
 
 

世界王座の価値を貶めているのは、王座分裂ではない。
リスペクトを失ったファンの声が世界王座の価値を貶めているんだ。
 
 

そんな声ばかり上げて、玄人ファンを気取るファンを、僕は凄いとは思わない。
ボクシングの面白みを誰よりも語れるファン…それが僕が最も尊敬できるファンである。

そして、心の底からボクシングを楽しんでいるファン。
それが憧れのボクシングファン。
 
 

ボクシングは今も昔も、決して平等ではない。
しかし、それでも素晴らしく面白いのがボクシング。

偏屈な玄人ファンどもよ…つべこべ言わずに楽しめ馬鹿野郎。
 
 

 

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