井岡 一翔(井岡)は面白い!(コラム) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/07/13
そろそろ次のピックアップに行きたいとこですが…。
近づいてきた日本人王者の世界戦があるのでそれについて少し…。
井岡 一翔(井岡)がなにかにつけて批判される。
ローマン・ゴンサレス(帝拳)との対戦を回避して以降…。
ロマゴン戦回避の上で3階級制覇を狙い、アムナット・ルエンロエン(タイ)と戦った井岡。
…とても違和感を覚えた。
強い奴を避けて強い奴と?
アマチュア時代に井岡はアムナットに敗れている。
その強さを知っているはずの井岡である。
結果井岡は敗れ、その後フアン・カルロス・レベコ(亜)を破って3階級制覇を達成した。
このレベコに関してはフライ級を8度防衛。
世界戦戦績11勝1敗の猛者。
そんな肩書がなくとも、若い井岡にとって大ベテランのレベコはリスキーな相手だったはずである。
それでも、レベコをロートル扱いする声が上がった。
伯父の井岡 弘樹(グリーンツダ)が目指して叶わなかった3階級制覇は、
井岡 一翔にとって、その周囲にとって…デビュー前からの悲願だったはずである。
選手生命の短いボクサーが何を目指すかは自由であり、
そして井岡には3階級制覇を優先する充分過ぎる理由がある。
井岡は本当に逃げているのだろうか?
周囲の声に負けず、自分の本懐を目指した…そんな風に見ることもできるのではないだろうか?
そして、もうすぐ迎えるキービン・ララ(ニカラグア)戦である。
「弱い相手を見つけきた」
などと言われることもあるが…。
いまいちピンと来ない。
世界王者が挑戦者として迎える、世界ランカーとしての水準は充分に満たしていると思う。
荒さは反応の良さと撃たれ強さからきているように見えるし、まとめ方は充分上手い。
「ララはあれだけ撃っても倒せないなんてパンチがない」
…軽量級で一撃KOを演出できる選手は歴史上どれだけいただろう。
チャン・ジョング(韓)でさえ相手をボコボコにしながら倒しきれなかった試合はある。
むしろ“あれだけ撃って…”と言えるほど、パンチをまとめられる選手である。
たしかにロマゴンに比べれば、物足りない相手ではある。
しかし現代のPFPキングは世界中の標的…ましてやフアン・エストラーダ(メキシコ)との対戦が
各所で熱望されており、この階級はそれに水を差さないように動いているように見える。
ボクシングが興行である以上、世界王座統括団体とプロモーターはある程度、密接である。
今選べる選手の中で…キービン・ララはかなり面白い部類の対戦になると思う。
井岡は、これほど撃ち合いたがる相手との対戦がない。
この試合は、新しい試験になる。
また、井岡の代名詞となりつつあるボディブロー…それが放てる距離は接近した距離。
タイミングを誤れば、まとめられて尻もち…なんてことも考えられる。
だからと言って顔面は…上体の柔らかさから見ても、体幹が強く、首も強い…タフさを感じてしまう。
ララはダウンを簡単には許さないと思うし、もし井岡がララを倒して勝つようであれば、
井岡の評価は上がっていいと感じる。
また、生で見る選手としては、井岡は抜群におもしろい…と僕は感じる。
ボクサーは言おうと思えばなんとでも言えてしまう。
内山 高志(ワタナベ)をロートルと言った人もいる、山中 慎介(帝拳)
はアンセルモ・モレノ(パナマ)戦で終わった選手という人もいる。
…完璧なキャリアなんて存在しないように思える。
こんな井岡vsララなんていう、面白そうな一戦を…
果たして色眼鏡で台無しにしていいものだろうか…
ボクシングを楽しんでこそのファンなんじゃないだろうか…
ちなみに最後、もうひとつ付け加えると…
キービン・ララは5月中旬頃の時点で、5月末の試合に出場予定だった。
それが突然キャンセルされて、6月初旬に世界挑戦が発表されている。
…急転直下の世界挑戦は、井岡陣営が他の誰かとの交渉に失敗したように見える。
果たして…井岡は誰と戦うつもりだったのだろう?
3階級制覇…オプション…そんな鎖から解放された井岡である。
期待している選手が思い通りのルートを歩かない…歩けない…。
そんなフラストレーションには、ボクシングファンは慣れっこなハズ。
期待される試合は…実現しにくいからこそビッグマッチである。
批判的な目ではなく、大きなワクワク感を持って彼を見守りたい。
そして、彼がリングを離れるとき、そのワクワク感が裏切られていようとも、それはそれで受け入れたい。
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