森 武蔵(薬師寺) WBO-AP王座挑戦に際して(コラム) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2018/10/19

森 武蔵(薬師寺) WBO-AP王座挑戦に際して(コラム) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2018/10/19
 
 

11月25日、刈谷あいおいホールで中日本のホープ、
森 武蔵(薬師寺)がWBOアジア太平洋フェザー級王者のリチャード・プミクピック(比)に挑む。
 

森 武蔵、18歳360日でのWBOアジア太平洋王座挑戦は確認出来る限りでは最年少記録に当たる。
北米では公式記録として扱われる、世界的ボクシングレコードサイトのBoxRec調べによるもの。

ただし、BoxRecでは日本人最初のWBOアジア太平洋王者である野上 真司(大阪帝拳)のレコードが
わずか1戦のみとなっており、野上が戦ったタイトル戦の記録も残されていない。
このことから整合性には不確実な部分を残すものの、残存する海外の試合記録を確認する上では、
最も正確に近い記録として考えられる。
 

■WBOアジア太平洋王座について

WBOアジア太平洋王座でBoxRecに残る記録として最も古いものは
1995年6月12日のWBOアジア太平洋ライトフライ級王座決定戦として行われた
ラモン・アルゴラ(比)vsジャック・ラッセル(豪)。

以降20年以上の歴史を持つこととなる。
JBCでは2016年より地域王座として認可を受けた新しい王座と感じられるが、
WBOの傘下タイトルの為、同王座を獲得すれば世界ランキングを得られるタイトルとして各地で重宝され、
実際にはそれなりの歴史を持つこととなる。

このタイトルを足掛かかりに世界に挑んだ選手も多数おり、JBC認可前のWBOアジア太平洋王者としては
「史上最も偉大なパンチャー100人」に選出されたデビッド・トゥア(サモア)や
現WBA世界クルーザー級王者のベイブ・シュメノフ(カザフスタン)なども名を連ねる。
また、日本の山口 賢一(大阪天神)もこの王座を足掛かりに、メキシコでの世界挑戦を叶えている。

さらにJBC認可後には木村 翔(青木)がこのタイトルを獲得後、一気に世界獲りに成功。
他国に遅れてではあるが、世界タイトルを目指す選手の登竜門として根付き始めている。
 

■日本人最年少記録

日本人がこの王座を戦った最年少記録は木村 隼人(横浜さくら)の19歳110日。
2008年10月11日にリトル・ローズマン(インドネシア)と
WBOアジア太平洋スーパーフライ級暫定王座決定戦を戦って戴冠。
王座獲得の最年少記録も同時に保持している。

森 武蔵がタイトル戦に出場することで、この記録が10年ぶりに更新されることとなる。
 

■意義

世界ランク獲りの手段として認知される同王座だけあって、
キャリア序盤でこの王座に挑む選手はごく少数だ。
現在日本は、数々の世界王者、世界ランカーを産み出し、特に軽量級ではアジアの盟主国となっている。
しかし、スーパーバンタム級を超えると、その数は下降線をたどることとなる。

近年、徐々に”通用する階級”を軽い階級から広げてきた日本のボクシング。
スーパーフェザー級では複数の名王者が産まれているが、
世界的なクラスから見れば層が厚いというわけではない。

やはり、中心はスーパーバンタムまでとなってしまう。
それ以上の階級となると、必然的に世界ランクへ挑む年齢の平均は、下の階級よりも高くなる。

ボクサーのキャリアの短さを考えれば、チャンスをつかむのは
早ければ早い方がいいと言うのも考え方の一つ。
事実、日本人が幅を利かせる軽い階級では20歳前後での世界ランク獲りもそれなりにある。
この階級でも若いボクサーが早期に世界ランクを獲得する機運が高まれば、
必然的にそのチャンスをつかむボクサーの数も増加するだろう。
フェザー級で記録を打ち立てることにより、
“日本人が勝負する”階級が1階級押し上げられる流れも考えられる。

つまり、森武蔵の挑戦は、世界における日本の勢力図を1階級押し上げる可能性を秘めていると言える。
世界タイトルマッチと比較すれば大きな試合ではないのかもしれないが、
今後の日本ボクシング界を考えるうえで、
森 武蔵の勝敗がターニングポイントとなっておかしくない注目のカードと見れる。

この試合は森 武蔵のキャリアだけでなく、現代のボクシングに対して影響力の高い一戦になるはずだ。
 

■カードとしての魅力

対戦相手が既に日本のリングで、日本人の強豪たちを打ち倒し、
その強さが既に国内ボクシングファンに認知されていることも重要なポイントだ。

当時、世界最強を誇ったギジェルモ・リゴンドウ(キューバ)への世界挑戦を急遽つかみ、
試合でダウンを奪って見せた天笠 尚(FLARE山上)や、
ホープとして売り出していた木村 吉光(白井・具志堅S)を日本のリングで破っている。

さらに、暫定王者にはIBF世界4位にランクされるナザニエル・マイ(豪)が控えている。
既に世界挑戦が射程圏内に入っているであろうメイとの戦いが実現するかは微妙なところだが
強豪のリチャード・プミクピックに勝つとすれば、森 武蔵の今後に対する期待はさらに広がるはずだ。
 
 

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