絶対王者。 カオサイ・ギャラクシー(タイ)① ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2015/11/29

絶対王者。 カオサイ・ギャラクシー(タイ)① ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2015/11/29
 
 
 

さて、新シリーズです。

タイの英雄、カオサイ・ギャラクシー(タイ)
WBA世界バンタム級のベルトを19度に渡って防衛した名王者。
王者のまま引退した選手で、当時最強の名を欲しいままにしていました。

タイの英雄と言えば、ウィラポン・ナコンルアンプロモーション(タイ)
辰吉 丈一郎(大阪帝拳)西岡 利晃(帝拳)長谷川穂積(真正)と死闘を繰り広げた名王者ですね。
彼もやっぱりタイの英雄。

カオサイとウィラポン。
さらにポンサクレック・ウォンジョンカム(タイ)を加えて、
この3人はタイ人ボクサーのなかでも別格レジェンド。
 
 

ウィラポンが出てくるのはカオサイより少し遅い時期。
なのでこの頃、タイのボクシングと言えば、カオサイだった。

6年以上もWBAのベルトを保持し、最終的に誰も彼からベルトを奪うことができなかった…。
軽量級史でリカルド・ロペス(メキシコ)と並ぶレジェンド中のレジェンドです。

そんな最強王者をピックアップ!
 
 

——-
 
 

ムエタイ出身のカオサイ・ギャラクシー。
足や肘の打撃が加わる分、ムエタイ出身選手は撃たれ強い…と言われます。
カオサイも例に違わず撃たれ強い選手。

タイでの主流はやっぱり国技でもあるムエタイ。
ボクシングのことを「国際式」なんて言い方をします。

ムエタイで通用しない選手が国際式へ転向して成功するパターンもあれば
ムエタイで強すぎて、戦う相手を失って国際式へ転向するパターンもあります。

前者がカオサイ、後者がウィラポン。
ムエタイで実績がある選手はアマエリートと同じで世界戦までが凄く早い。
前者は無名の状態でスタートするので、国際式の世界で下積みをしてから頭角を現す形になってきます。

余談ですが、他国では日本と違い、ボクシングやってたら他の格闘技ダメ!なんていう
おかしな縛りがないので、ムエタイとボクシング、どちらも並行してやっている選手も多数います。
 

カオサイの国際式転向…、一説には飛び抜けたパンチ力と、足の短さが理由と言われています。
体格的にムエタイより国際式に向いていた。

タイのお国事情として、国内レベルならムエタイの方が圧倒的に儲かる。
だけど、世界レベルになると為替の影響もあり、国際式が圧倒的に儲かるようになるんですね。
だから国際式に行くなら、世界レベルで戦わないと意味がない。
 
 
 

そういう訳で、カオサイ、1980年にプロ転向し高い高いハードルを目指します。
日本と違い、タイはとにかく試合間隔が短い。
多いと月に3試合こなしたりすることも…。
過去には出れなくなった選手の代役に、その日前座で1RKOで勝った選手が出てダブルヘッダー…
みたいな話もありました。

カオサイはそこまで…ではないですが、やはり日本の選手から見ると早いペース。
半年で6試合をこなします。
 

無名選手相手に最初の5試合を全勝全KO勝ち。
ムエタイで大きな実績があるわけではないカオサイ。
それでも、6戦目にはもう元国内王者が出てきます。
 
 

ピチチャック・コラセーアム(タイ)…。
わずか3戦で国内タイトルを獲っていることから、ムエタイでそれなりに実績があって国際式に転向したパターンと思われます。
当時各上だったと思われるこの選手を6R判定で退け、いよいよ国内タイトルに挑むことに。

タイバンタム級王座決定戦。
対するはサック・ギャラクシー(タイ)
同じギャラクシーって名前ですね。
実はタイの選手、本名で戦ってる選手はほとんどいない。

ボクシング以外の場所でも通称で呼び合う文化があるんですね。
なんで、カオサイ…も実は通称。ウィラポン…も通称。
リングネームは「通称+ジムやプロモーションの名称」となることが多い。

このギャラクシーっていうのはプロモーション名ですので
まぁ、イメージでは日本で言うところの同門と捉えていいと思います。
なぜ、同じプロモーション同士でつぶし合うようなマッチメイクになったのか…。
その辺り情報がなくて、不明なんですが、もしかしたら、タイではよくあること?
…なのか、すいません、ちょっと知識不足です。

とにもかくにもそんな特殊な一戦。
10R判定で生涯唯一の敗戦を喫します。
この敗戦に関しては詳しく取り上げたいんですが、これも情報なし…。
古い時代のものって難しい!!!
 
 

さて、初の敗北を喫したカオサイ。
再起戦には…日本人選手を選びます。
日本からタイに乗り込んできた、当間 嗣之(ヨネクラ)

この頃のヨネクラジムは選手を積極的に海外の試合に出していたこともあり、当間がタイへ遠征する形。

この選手、クォン・スンチョン(韓)イ・スンフン(韓)なんていう
IBF初期の頃のベルトを巻く韓国人選手と戦って敗北している選手。
ここにカオサイ戦の敗北が含まれて…
彼の生涯戦績は14戦9勝(4KO)3敗2分

タイトルマッチはありませんが。負けた相手は全員がのちの世界王者。
大橋 秀行(ヨネクラ)の兄、大橋 克行(カワイ)に勝ってますし
なかなか自慢になりそうなレコード。
 

そんな日本人をコロっと4RKOで転がします。
 

そして次戦で国内タイトルに再度挑戦。
相手はサクサマイ・シュッチラット(タイ)
のちに日本の名ボクサー村田 英次郎(金子)の持つOPBF東洋太平洋王座に挑戦した選手です。
普通に難敵ではありますが、7Rでコロっと転がし。国内王座獲得。

ここからカオサイ、国内王座を即座に返上し、東アジアの有力選手をリングにコロコロ転がしていきます。
完全に世界狙いの路線です。
 
 

まずはさっきの当間 嗣之のとこで名前が出てきた大橋 克行。
とにかくスピードのある選手で日本の国内ランキングでは1位まで行ったことも。
日本王座への挑戦経験もあります。そんな難敵は3Rでコロっと。

続いてチュ・ユオク(韓)
こちらBoxRecでは2戦2敗の選手。
この時代のBoxRecの記録はほとんどアテにならないので何とも言えませんが、
タイトルに絡んだ選手ではなさそう…。
4Rでコロっと。

アリ・フォルメンテーラ(比)
BoxRec上は9戦5勝4敗ですが、直前にOPBF東洋太平洋王座挑戦に失敗したばかり。
立派なOPBFランカーです。
5Rでコロっと。

アグス・スヤント(インドネシア)
4Rでコロっと。

アダン・ウリベ(メキシコ)
初の中米系の選手。
4Rでコロっと。

ウィリー・ジェンセン(米)
ここで早くも世界挑戦経験者が出て来ます。2度挑戦して1敗1分。
2Rでコロっと。

チュ・ムンキュン(韓)
元韓国国内王者。
4Rでコロっと。

マルシアーノ関山(センターS)
東日本新人王を獲得したこともある日本の強打者。
日本王座には届きませんでしたが、マニアックなボクシングファンに後々まで語られる存在です。
4Rでコロっと。

ホルヘ・ルイス・ソト(メキシコ)
メキシコ国内タイトルに2度の挑戦経験あり。
2Rでコロっと。

ルイス・イバネス(ペルー)
WBA王者の渡辺 二郎(大阪帝拳)に挑戦し失敗した直後。
バリッバリの世界ランカーです。
3Rでコロっと。
 

はい、ここまで初の敗北から12連続KO勝ち。
イバネスまでコロっと転がしちゃいました。
ここまでくれば世界挑戦が見えてくる時期…確実に順番待ちの列には並んでますよね。
 
 
 

というわけで、キリがよさそうなこのあたりで一旦切ります。

この順番待ち、ちょっとした事情で世界初挑戦まで1年ほどかかることになります。
次回はその世界初挑戦のあたりを中心に…
 
 

【カテゴリ別】
2015年選手紹介一覧に戻る

選手紹介一覧に戻る

カテゴリ別記事一覧に戻る
 
 

【日付別】
【記事一覧】2015年11月に戻る

【記事一覧】2015年~2016年に戻る

【記事一覧】に戻る
 
 

各選手の戦績はこちら。
ボクシング選手名鑑
 

コメント

タイトルとURLをコピーしました