黒い毒蛇 ロジャー・メイウェザー(米)① ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/09/11

黒い毒蛇 ロジャー・メイウェザー(米)① ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/09/11
 
 
 

ブラック・マンバ…黒い毒蛇とあだ名された名選手がいた。
世界2階級制覇を成し遂げたメイウェザー兄弟の出世頭。
 

兄であるフロイド・メイウェザー(米)と弟であるジェフ・メイウェザー(米)
メイウェザー一族の次男として、三兄弟の中で最も出世したのがブラック・マンバ…
ロジャー・メイウェザー(米)である。
 
 

兄のフロイドはUSBA全米タイトルに一度挑戦。
弟はマイナータイトルであるIBO世界スーパーフェザー級王者。

そしてロジャーはWBA世界スーパーフェザー級とWBC世界スーパーライト級の世界2階級制覇王者。
 
 

メイウェザー一族…というかこの頃はまだ3兄弟。
世界王座のメジャータイトルを獲得したのはロジャーだけだが、
長男フロイド、次男ロジャーは異様な存在感を放った。
それは…リング外のスキャンダルも含めて。

しょっちゅう騒動を起こした2人の兄弟に対して、普通にボクサー人生を過ごした三男ジェフが
“静かなメイウェザー”と呼ばれるほど…
 
 

しかし今も昔も目まぐるしいボクシングのトップ戦線。
それだけなら、歴史に埋もれてもおかしくはない。

フロイドの息子、フロイド・メイウェザーJr(米)の出現を持って、
メイウェザー一族の名は突出したものとして歴史に刻まれる。
三兄弟でトレーナーを務め、最高傑作として世に送り出されたメイウェザーJr。
最高の標本を広告塔に、兄弟は様々な有力選手を指導し結果を残す。

メイウェザー一族…そう呼ばれるようになったのは彼らの現役時代の功績もさることながら、
トレーナーとしての手腕に注がれる名声のようにも思える。
 
 

引退後も、薬物や暴行で逮捕されたフロイドとロジャー。
二人はお互いが刑務所にいる間の穴を埋めるように、メイウェザーJrのトレーナーを務めた。
かといって愛情豊かにJrを育てた訳ではない。
フロイドは向けられた拳銃の縦に、赤ん坊のJrを盾にしたことさえある。

フロイドはボクシングでの功績を捨て去るように麻薬の売人を兼業し、
ロジャーはたびたび身内や教え子に暴力を振るう。
 
 

フロイドは酷く荒んだ引退後を、Jrを伝説の選手にまで育てあげたことで現役時代以上の名声を残し…。
ロジャーは現役後期に、プロ生活を続けながら、刑務所に収監されたフロイドの代役を務めた。
そして三男ジェフも、兄二人に存在感は及ばずとも携わり続ける。
 
 
 

まるで悪い奴ら代表のようにメイウェザー兄弟を書いてしまったけれど…
薬物や拳銃…スラムからの脱出…。
それらを叶えるためにリングに立った…貧困の中、殴り合いで身を立てるしかなかった…。

一昔前までのボクシングでは、ある意味「よくある話」。
 

今回はメイウェザー一族の中で、Jrが現れるまでの主役、ロジャーを追ってみる。
 
 

アメリカ合衆国ミシガン州ロウアー半島の西部に位置する都市、グランドラピッズに生まれたメイウェザー兄弟。
デトロイトに次ぐミシガン州第2の都市であり西ミシガン地域の中心都市。

同じ州のデトロイトは1950年代に自動車産業黄金期を迎えるも、その時代をピークに一気に凋落。
経済の悪化とともに治安も悪化し続ける。

ロジャーが生まれたのは1961年、デトロイトの凋落のちょうど入口になる。
年々悪化し続けたデトロイトの治安の悪さは、現在全米トップレベルとも言われる。

比較的治安がいいとされるグランドラピッズも、実はロシアンマフィアが侵食するなど
日本人の考える「治安がいい」とは別物と考えた方がよさそうだ。
 

ロジャー一家が生まれたのも、貧しい地域。
当時の黒人スターの多くが、同じように貧困から成り上がったボクサーだったこともあり、
兄弟は拳で身をたてようと、自然とリングに足が向いた。
 

その中でも先に突出した才能を見せたのは長男のフロイド。
アマチュアの世界では格式の高いゴールデングローブの2階級でミシガン州王者に輝く。
最終的には一度地域タイトルに挑戦するだけで終わってしまったものの
最も先に進んだ位置でスタートを切ったのはフロイドだった。

とは言え次男ロジャーの方も兄に劣らず…。
アマチュアで63勝4敗の戦績を残してプロへ転向する。
 

11歳上の兄フロイドは、ロジャーがデビューする頃には既に22戦を消化し、19勝3敗の戦績。

のちの5階級制覇王者であり、既に金メダリストとして注目のホープだった
シュガー・レイ・レナード(米)との対戦では8RTKOで辛酸を舐め、
しかも直後に叔父に狙撃され、足を撃たれて1年以上のブランクを作り…
赤ん坊だったJrを盾にした逸話が残るのがこの事件。

その後は復帰し再起4連勝するも、のちにWBA/WBC世界ウェルター級王者となる
マーロン・スターリング(米)とのホープ同士の一騎討ちに敗れてしまい、
これからまた階段の昇り直し…なんて頃。

過激な発言と、派手な衣装のフロイドはそれなりに注目を集めており、国内のマニアの知る存在となっていた。
 

ロジャーのデビューは、アマ時代の活躍もあって、
情報の少ない当時としては現在のホープほど注目を集めた訳ではなくとも、
それなりの注目があってのスタートだった様子。
ミシガンから遠く離れたラスベガスでデビューを飾り、以降この地を拠点にキャリアを進めていく。

既にブラックマンバの異名はロジャーのものとなっていた。
この異名に関しては、自らそうつけたとのちのインタビューで語っている。
他にない独自のニックネームが欲しいと考えていたとき、TVのドキュメンタリー番組で映り込んだ黒い毒蛇。

狙いを定めて急襲し、攻撃を受けた相手は毒がまわって弱っていく…
まるで自分のボクシングにそっくりだと感じた…と。
彼のその感性は素晴らしく的を射ていて、
「ブラックマンバ」の名はロジャーが勝ち続けるごとに浸透していくことになる。
 
 

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