追いかけたKO勝利…中日本新人王MVP!岡崎 駿一(中日) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2018/09/09

追いかけたKO勝利…中日本新人王MVP!岡崎 駿一(中日) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2018/09/09
 
 
 

昨年の6月…中日本新人王戦の中間地点の頃合い。
オープン戦で一人の特徴的な選手がデビューした。
 

岡崎 駿一(中日)
契約ウェートは52.5kg。
スーパーフライ級を少し上回る体重。
 

対戦相手の村瀬 和希(西遠)より、一回り上回る体躯。
大きなフレームと長い腕でアウトボックスが似合いそうな体つきに見えた。
しかし…この試合で岡崎が魅せたのは…接近戦の巧みさ。

体躯で下回る相手は、当然懐に飛び込もうとする。
岡崎は懐に入ってきた相手を長い腕を折りたたんで捉え、危険な場面では相手をクリンチで絡めとる。
さらにその離れ際には、きっちり相手に一発入れる。
バッティングによるカットはあったものの、危なげなく試合を制した。

ボディもきっちり撃てる選手…モノが違う…と言ったようなデビュー戦ではなかったが
ここから勝ち抜いていく匂いは充分にさせていた。
 
 

それから5か月後。
秋の岐阜興行で岡崎の2戦目が行われた。

デビュー戦より少し軽い、スーパーフライ級…相手は松田 優希(市野)。
攻撃力特化型のイメージが強い市野の戦士の一人。

やはり前に出て来る松田に対し、ゴング直後こそ下がりながら応戦した岡崎。
しかし、1R中盤からは岡崎が前に出る。
押し合いになれば、フレームの大きな岡崎が有利。
フレームは、長いレンジ以外にこういった場面でも有益に働く。

お互いにボディの叩き合いになった試合…より徹底してボディをえぐったのが岡崎だった。
このボディが生きて、上に返す左右のフックも強烈にヒットする。

松田の細かい連打でヒット数は上回られたように見えたが、
終始押し込み続け、より強く腹をえぐった岡崎が判定をモノにする。

「KOで勝ちたい」…勝利者インタビューではプライドをのぞかせる。
 
 

大きなフレームは、減量で手に入れるもの。
そしてその減量も耐えうる幅は選手それぞれ違う。
フレームは持って産まれたものと、試合に臨む期間の努力で手に入るものだ。
これも一つの才能…。
 

離れれば、レンジの長い岡崎が有利。
しかし近づいても…岡崎の戦いは巧み。
相手にとって、これほど取り扱いに困る選手はなかなかいないように感じる。

KOで勝ちたい…その気持ちはわかるが…そこに拘らなくても充分強い。
そんな印象を持った。
 
 

今年に入り、中日本新人王戦のトーナメント表が出る。
スーパーフライ級のエントリーは3名。

下の階級から徐々に階級を上げてきた堀井 翔平(トコナメ)
この時点、2勝4敗の戦績だが、階級が上がるたびにその強さを増しているようにも思える。
スーパーフライでの戦いがどうなるか…未知数の選手に思えた。

もう一人は曽根 光輝(浜松堀内)
この新人王でデビューするため、完全な未知数の選手。

この二人が準決勝でぶつかり合い、岡崎はシードで8月にいきなり決勝からの登場となる。
この時点、僕の優勝予想本命は岡崎。
 

岡崎の次戦は4月。
8月となると間隔が空き過ぎることもあるのだろう。
松田 海広(駿河)とオープン戦を行う形となった。

松田…昨年、中日本スーパーバンタム級新人王となった干場 悟(タイガーウイング)を1Rで沈めたこともあり、
2016年の中日本スーパーフライ級新人王戦では、西軍代表まで進んだ村上 勝也(薬師寺)
スプリットの判定にまで迫っている。
この階級近辺の強豪選手たちに迫る実力と存在感を放つ選手。

昨年の新人王戦では棄権で涙を飲む格好となったが…強い選手であることには変わりない。
 
 

有望選手同士の試合は緊張感のある距離の測り合いでスタートする。
ほとんどクリーンヒットの産まれなかった1R、徐々に接触が増えた2R…。
微妙なラウンドが二つ重なる。

後半に入り、岡崎が前に出始める。
長いパンチを持ちながら、巧みなインファイトのできる岡崎が、松田のボディを強烈にえぐる。
松田はアッパーを撃ち込んで対抗する。

最終ラウンドは松田の撃ち出しを何度も岡崎が捉える中、
松田は下がらずに合間合間に岡崎の顔面を跳ね上げる。
残り10秒を切ったところ、松田の強烈な左フックで一瞬腰が落ちた岡崎。
ここを何とかこらえて最終ラウンドが終了する。
 

判定は1-0のドロー。
微妙だった前半2Rを岡崎に振ったマイジャッジはフルマークの岡崎だった。
この2Rを獲り切れなかったことで勝利を逃したか…。

松田は素早い出入りで対抗したが、岡崎が前に出始めるとペースは奪われた。
やはり、岡崎の接近戦は誰しもがやりづらいのか…そんな印象を持った。
 
 

6月…
新人王戦の準決勝では堀井が曽根から1Rからダウンを奪って主導権を握る。
そのまま細かくヒットを奪い続けた堀井…3RにTKOを呼び込んでの快勝で決勝に登ってきた。
 
 

相手が強かったとは言え、前戦ドローで決勝に挑む岡崎。
引分けを挟んでの4連敗からの2連勝で勢いに乗る堀井。

力的には岡崎の方があるように思えるが…トーナメントの勢い程、怖いものはない。
 
 

暑い夏を迎え、決勝のリング。
ゴングが鳴ると、これまで序盤は距離をとっていたはずの岡崎が、いきなり近い距離で戦う。
あれ?…と思っていると、ラウンド中盤に入ったところで少し距離を広げる。

フレームの大きな岡崎に対し、当然距離を詰めようとする堀井。
その瞬間…堀井の踏み込みに合わせてサイドへステップした岡崎。
この試合が終了した瞬間だった。

堀井にとっては防ぎようのない位置から岡崎の右ストレートが放たれる。
完璧にアゴをえぐる右ストレート。

リングに沈んだ堀井は立ち上がろうとするものの、上半身を起こしたところで前のめりに崩れる。
 
 

「KOで勝ちたい」

その言葉を、中日本新人王決勝の舞台で体現した。

岡崎のフレームと対峙したとき、どの選手もその距離を縮めたがる。
しかし、飛び込んだところでそこは岡崎の土俵。
充分に負けない選手だった岡崎だが…怖さはあまり感じない選手に思えた。

また、デビューから2試合は、飛び込んでくる選手の頭が当たるシーンも目立った。
 

この日魅せた戦い、たった一つのサイドステップ。
今まで岡崎が使っていなかった…もしくは、使えていなかったもののように感じる。
強い選手が、さらに強くなった瞬間を見たように思う。
 
 

自分の美学を追いかけた男は、美しいまでのKO劇で中日本新人王を勝ち取った。
そして、その戦いにはMVPの称号も…。
 
 

中日本新人王トーナメント、スーパーフライ級の最終話で
ただでさえ、やりにくい選手が怖さまで手に入れてしまった。

岡崎がこれから全国の新人王と戦っていくに相応しい力を手に入れるストーリーが
今年のこの階級の物語だったように思う。

そうなれば…この物語は続編ありきのものとなる。
 

この男を攻略する選手が…果たして現れるだろうか。
飛び切りのストーリーでの全日本新人王獲得…心底期待する。
 
 

 
 

 
 

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