ブランク マンモス 和則(中日)④ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2020/01/17

ブランク マンモス 和則(中日)④ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2020/01/17
 
 

 

太田 アレックス(西遠)との大激戦からしばらく経ち、マンモス 和則(薬師寺)
キャリアに大きな転機が訪れる。

マンモスに移籍話が持ち上がったのだ。
移籍先未定…この話が表立ったとき、中日本の各方面から反応があった。
特にトレーナーたちは沸き立ったように思う。

俺ならこうする…マンモスについて至る所でそんな話を聞く。
「触りたい」…マンモスはそう思わせる素材だった。

抜群のパンチ力、目の良さ、そして距離を軸としたディフェンスも実はいい。
バックステップを多用するが、それでロープに詰まることは皆無。
スピードもある…しかし、その才能を帳消しとするほどに致命的なスタミナ不足。
長所と短所がはっきりした上で、持ち合わせる才はかなりのもの。
トレーナーたちにとってのマンモスは、料理人にとっての高級食材だ。

「徹底的に管理して走らせる。」
「振り回すからスタミナが切れる、振り回さないボクシングを教える。」
「あの強烈な右フックをおとりに使う。」
 

そんな”俺ならこうする”話が飛び交う中、マンモスは中日ジムへ移籍を決めた。
厳しい事でも優しい事でもその名が挙がる東会長が率いる中日ジム。
選手の長所を徹底的に生かすイメージが強い。

トミナガ・シンペイ(中日)高井 一憲(中日)

失礼かもしれないが、彼らは素材としてはC級で終わってもおかしくない選手たちに思える。
そんな彼らが、長所を磨き上げ、粘り強く戦い、現在A級、B級へ昇格している。
特徴のはっきりした選手たちが育成され、その戦いぶりは判りやすく魅力的だ。

移籍先が決定し、ホッと胸をなでおろす。
きっとあそこなら、マンモスが小さくまとまることはない。
 

4か月後、リングネームを本名の中山 和則に戻し、6回戦のリングに登場。
階級をまた一つ上げ、フライ級へ。

中山が抱える弱点「スタミナ切れ」。
これにはいくつか要因があったが、その最も大きな要因に減量苦があったことは明らかだった。
「ライトフライじゃ本当の力は出ない」

ジムがまず選択した方針は階級増だった。
 

この日に対戦したのは大橋 波月(TEAM10COUNT)。
東日本の選手の為、前情報ほとんどなく観戦することとなったが…。

中山の大きな右フックの内側に頭を入れる大橋。
巻き込むような形でクリンチになってしまう場面が増える中で、中山に減点が科される。
さらに頻繁なオープンブローの注意、スリップ気味のダウン。

その全てはそうとられても仕方のない範疇のものだったが、
全てが中山の不利に出るような不運の連鎖となった。
さらに試合巧者の大橋に翻弄され続け、振り回すしかなくなった中山は、
またも、スタミナ切れで自滅の道を辿ってしまう。
 

移籍初戦、この試合を「しょっぱい試合」と揶揄する人間もいた。
デビュー以来、全ての試合が強烈なKO劇か激戦かだった中山。
試合に対する面白さの期待値が高い分、見ているものにとってはより消化不良の試合に映ったことだろう。
 
 

ここから、中山には一つの約束事ができる。
試合間のリバウンドを抑え、一定の体重を越えないよう普段から節制すること。
試合と試合の間に会うと、いつもライト級くらいにはなっていた中山。
スタミナ切れの要因を大幅な減量に絞っての対策だった。

最初のうちはなかなか苦しかったようだが、一定の体重を維持しないと試合を組んでもらえない。
これまで歩んできたサイクルを大幅に変えなければならず…
中山がようやく試合を組んでもらえる状態になったときには既に9ヶ月の月日が経過していた。

しかし…である。
ただでさえ選手数の少ない6回戦、サウスポー、強打者、地方選手…。
試合を組みづらい要素のすべてを網羅したような中山の試合はなかなか決まらない。
一旦は9月にセットされた試合は、対戦相手が見つからずにエキシビジョンに変更された。
 

このままでは、中山のキャリアが停滞してしまう…。
そんな中、当初の予定から3か月遅れで組まれた試合の相手は、ラードチャイ・チャイヤウェード(タイ)。
 

無名タイ人…これは致し方ないか。
そう思ってこのタイ人選手について調べてみる。
戦績、6戦2勝4敗。

BoxRec上は負け越し選手だが、そこらじゅうで試合が行われるタイの戦績管理はズタボロだ。
もっと負けている可能性もあるが、実はもっと勝ちまくっている可能性もある。
よくよくその戦績に目を通してみる。

そこには、サマートレック・ゴーキャットジム(タイ)の名前が。
6Rで対戦し、判定勝利。

サマートレックと言えば、井上 尚弥(大橋)八重樫 東(大橋)の持つ世界王座に挑戦し
試合終盤まで粘った正真正銘の世界ランカーであり世界挑戦経験者。
記録として残っている2勝のうち、1勝がこの試合…しかし負け越し。

強いのか…弱いのか…映像も出てこない。
わかるのは世界挑戦経験者に勝利している実績のある選手であること。
通常、たたき上げの6回戦にぶつけるような選手ではないように思える。
 

考えてみれば、中山はまだ20歳。
6回戦でサクサクと2勝すれば、ユース王座も狙える状況。
そこで安易な道を選ばず、陣営は普段の節制を叩き込むために9ヶ月もの月日を消費させた経緯がある。

中山が本当に強いボクサーとなるために…。
厳しさと優しさの両面でその名を聞く東会長。
その厳しさを全面に押し出したか…そんな風に憶測する。
 
 
 

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