初防衛戦in韓国 ナナ・コナドゥ(ガーナ)④ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/08/25

初防衛戦in韓国 ナナ・コナドゥ(ガーナ)④ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/08/25

 

ガーナの超特急、ナナ・コナドゥ(ガーナ)の四日目。 

安定王者ヒルベルト・ローマン(メキシコ)への圧倒的な勝利を飾ったコナドゥ。 

衝撃の王座奪取劇に世界中が沸き立ちます。
もしかすると、内山 高志(ワタナベ)ヘスリール・コラレス(パナマ)に敗れた衝撃に似たものがあるのかもしれません。 

これはとんでもない奴が現れた…。
ボクシングファンたちは、こぞってコナドゥに高評価。 

そんな中で迎えた初防衛戦。
相手はムン・ソンギル(韓)

ロス五輪ベスト8の実績をひっさげ、わずか7戦目で初の世界挑戦。
WBA世界バンタム級王者だったカオコー・ギャラクシー(タイ)からベルトを奪い2度防衛。
3度目の防衛戦では敵地タイで、カオコーにリベンジを許し陥落。

その後、階級を下げてのアタック。
「韓国の石の拳」なんて異名を持つハードパンチャー。
こちらも評価の高い選手…しかし、ローマンを破ったコナドゥの衝撃は大きく、
敵地韓国へ乗り込んでの試合とは言え、大方の予想はコナドゥ有利。 

…1Rのゴングが鳴り響きます。

1R開始直後、コナドゥのジャブに合わせて右を狙うソンギル。
クロスやボディフックを際どいタイミングで飛ばします。
静かな探り合いの中…それほど力が入っているようには見えないソンギルの左ショートがコナドゥを捉える。

このパンチでコナドゥは尻もち…「しまった!」といった感じで
両手をパンッと叩きながら立ち上がるコナドゥ。

再開後、頭に来たか、コナドゥは一気に攻めてくるソンギルをカウンターで狙い撃つ…。
2つ3つ…次々にソンギルを捉えるコナドゥのカウンター…
しかし4つ目…先に着弾したのはソンギルの右。

崩れ落ちるコナドゥ…2度目のダウン。
今度は完ぺきに効かされたコナドゥ…。
カウント8までじっくり休みます。

地元ソンギルの攻勢に盛り上がる韓国世界貿易センター。
しかしその数秒後…その歓声は一気に静まり返ります。

あと一歩でKO勝利…高い技術も持ち合わせるソンギルが
頭から突っ込み強打を振るうコリアンファイターそのものと化して仕留めにかかったところ…。
コナドゥの左ショートアッパーがグサり…

次にマットに手を着いたのはソンギル。
このパンチも強烈なものには見えない…
二人のハードパンチャーが軽く触るようなパンチでダウンを奪いあう驚愕の試合模様。

ダウンを取り返し、自身のダメージを回復する休息まで得たコナドゥ。

再開後…ダメージを残しているのはソンギルの方。
しかし、コナドゥが強引に仕留めにかかるとその隙を着いてソンギルの強烈なフックが刺さる。
お互いにチャンス…攻撃に編重した二人のスリリングな殴り合いのまま熱狂の1Rはゴング。 

2R、ジャブから組み立て直そうとするコナドゥ。
足を使って左を刺し、たまに強烈な右を振るう。
しかしソンギルはその強烈な右に合わせてのカウンターを振りぬき、
打撃音が響きわたる強烈なヒット…。

頭から飛び込み、コナドゥのスピードあるパンチの隙間を縫って強烈なパンチを振るい、
幾度も幾度もコナドゥの顔面が跳ね上がる…。
コナドゥも下がりながらジャブを数多く突き刺し、時折痛烈なパンチを返すものの…
クリティカルヒットの数はソンギルが圧倒的に上回る。 

3Rに入ると、コナドゥは次第にその勢いにのみ込まれ…、
左フックをもらい、バランスを崩してダウン。

絶体絶命のピンチ…そこでコナドゥは、突っ込んでくるソンギルに対し距離を取るのではなく
足を止めて距離を詰める。

ボディワークでいなしながら撃ち合う戦法へチェンジ。
身体能力抜群のコナドゥ…この戦法が思った以上にハマる。

攻撃は最大の防御…以降ソンギルは攻めあぐねて次のラウンドへ。 

4R、距離を詰めて撃ち合うコナドゥ。
今までより近い距離で標準を絞り、ソンギルの周りを旋回しながら左を突き刺していく。
まるで弄ぶように、ソンギルのパンチを空転させると、コナドゥのジャブのトリプルでソンギルが尻もち…。
試合は一気に拮抗の様相を呈します。

再開後、挽回しようと一気に攻めて出たソンギル。
ここでコナドゥに突き刺さった右ボディ…これがまた試合の展開を変えていく。
効いてしまったコナドゥはガードを固めてウィービングで逃れようとする。

感触があったか、強引に攻め立てるソンギル…
ここで二人の頭がクラッシュし、ソンギルの額から大量の出血。
焦ったソンギルは、大きなパンチを振りまわしてコナドゥに襲いかかる。

こうなるとコナドゥは逆にソンギルを廻してしまう…が、
ソンギルもコナドゥのパンチの隙間を縫ってしっかり強烈な一撃をヒット。
ラウンド後半にはコナドゥを棒立ちにさせ、一方的に攻める場面も…。

短い時間で主導権が渡り合う…まさにシーソーゲーム。 

5Rに入ってもこの主導権の奪い合いは変わらず…
詰めてくるソンギルに対して応戦するコナドゥ。
二人のボクシングは徐々にスポーツとしてではなく、格闘としての殴り合いの色を帯びていく。 

6R、一転距離をとったコナドゥ…。
この頃には激戦故の頭の衝突から、眉間をカットしていたソンギル。
おびただしい出血から距離感を失ったソンギルに対し、次々とジャブを突き刺していく。
時折応戦はするものの、強打もヒット数もコナドゥが明確に上回ったラウンド。
ソンギルは目に見えて消耗していきます。 

7Rもコナドゥがジャブでソンギルを制していく。
時折突き刺すソンギルのビッグパンチはスリリングなもの…
しかしコナドゥも力のあるワンツーを浴びせ返し、展開を持って行かせない。 

8R、細かいパンチによるダメージの蓄積…
ソンギルのパンチは既に力を失い始めたか…に思えるものの…
ボディへの強烈な一撃をきっかけに、ソンギルが一気にプレッシャーで詰める。

二人はインファイトを展開…お互いに一撃を持った二人…。
たった一発のパンチで流れが変わる…そんなパンチを幾度も交錯させていく。
しかし…この撃ち合いはソンギルの撃ち疲れとともに、コナドゥの一方的なものに…

一気にコナドゥが押し切るか…といったところで、ソンギルが強烈な一撃を返す。
またも展開はソンギルへ…。
目まぐるし過ぎる試合…。

近い距離での攻防は頭の衝突を頻発させ、コナドゥの目の周りは腫れあがり…
前が見えているか怪しいほどに変形…。 

9R、お互いにセコンドアウトが遅れる。
止まらないソンギルの出血、コナドゥも左目下をカット…。

ラウンドが開始されると、またも足を使って旋回するコナドゥ…。
しかしソンギルはボディを撃ってコナドゥの足を止めると…撃ち合いへと持ち込む。
しかしこの撃ち合いも、主導権は一進一退を極める…。
最後は足が回復したコナドゥが抜け出す形。 

10R、大きく開いた眉間の傷に、前のラウンドからセコンドアウトが遅れ始めていたソンギル陣営。
レフリーがドクターチェックを求め、このラウンド開始とともに試合をストップ。 

お互いの顔面が原型をとどめない死闘…。
勝負は9Rまでの採点を元に負傷判定…。

ジャッジは…ソンギルを支持。 

僕のマイジャッジはドローでしたが、納得できる範囲の僅差3-0。
コナドゥの政権はわずか2カ月半で幕を閉じます。 

ソンギルもまた…時代に名を残す猛者。
これで2階級制覇となります。 

コナドゥ…まさかの短期政権。

ローマンとの戦いはフロックだったのか?
それともソンギルが強いだけ?

スーパーフライ級は混迷期に入り込みます。

 

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