アラゴンの雨季 ナナ・コナドゥ(ガーナ)⑤ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/08/27

アラゴンの雨季 ナナ・コナドゥ(ガーナ)⑤ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/08/27

 

ガーナの超特急、ナナ・コナドゥ(ガーナ)の五日目。 

時代を創ったヒルベルト・ローマン(メキシコ)へ圧倒的な勝利を収めて衝撃をもたらせたコナドゥ。
しかし、敵地韓国で行われた試合、ムン・ソンギル(韓)との初防衛戦でダウンの応酬の末、陥落。 

ここから…コナドゥの王座再冠に向けての長い長い旅が始まります。

その後、半年をおいて、オーストラリアで復帰戦を飾ったコナドゥ。
地元でもう1勝を積み重ねると…。

世界王座を獲得した実績…ローマンを破った実績も相まって、
拠点をヨーロッパに移すことに成功します。

場所はスペイン。
ガーナから飛び出したコナドゥは、ここでボクシング人生の第2章をスタートさせます。

そのスペイン第一戦。

歴史深い街、アラゴン州の州都サラゴサ。
乾燥した冬から、雨の多いサラゴサの春へ移り変わるころ。
コナドゥの舞台が用意されます。 

相手は…ソンギル。

敗北から1年2カ月。
自身からベルトを奪っていったソンギルを新たなホーム…スペインに迎え、
いきなりのリベンジマッチに挑みます。 

激しい倒し合いとなった前戦…その延長のように振るってくるソンギル。
対してジャブを突いてサークルするコナドゥ。
ソンギルの入り際に、タイミングのいい左フックや、強烈なアッパーを合わせて旋回。
時折、ソンギルの強引なヒットはあるものの、うまく捌いて1Rをスタートさせます。 

しかし2R…プレッシャーを強めたソンギルは距離を詰めてボディを重ねる。
強引に飛び込んで両腕を振るうソンギルを捌ききれないコナドゥ。
突き放しても撃ち返してもしつこいソンギルに、明らかにボディを嫌がるコナドゥ。

中盤から、撃ち合いに行きますが…コリアンファイト本家のソンギルの回転はすさまじく飲み込まれる。
終盤、コナドゥのフックにソンギルのフックがカウンターで入り、コナドゥは尻もち…
立ち上がるものの、効いてしまったコナドゥ…コーナーに追いつめられ、
いくつも強打を重ねられながら、なんとかこのラウンドを乗り切ります。 

3R…足を使ってダメージの回復を図るコナドゥ。
しかし、ソンギルは強烈なボディを叩いて教科書通りにコナドゥの足を殺す。
コーナーに追いつめられたコナドゥは…ただ…ただひたすらに殴られ続ける。
棒立ちになり、返す手もわずか…うつろな目…。

なぜレフリーが止めないのか理解できないような一方的な展開。
韓国の石の拳…そんな異名をとるほどのソンギルのパンチをどれほど浴びたかわからない。
しかし…このラウンド残り1秒…奇跡としか思えないような一撃が…
コナドゥが渾身の右フックを振り抜く…
ソンギルは顔面でそれを受け止め…吹っ飛ぶようにたたらを踏んで後退。
なんとか踏みとどまってラウンドを終えますが…。

死んでしまうんじゃないかと思えるほどダメージを蓄積させたコナドゥ。
まさかがあり得るのか…?と思ってしまいそうな一撃。 

4Rが開始されると…
コナドゥは自らコーナーに背中をくっつけ、ソンギルを迎え撃ちます。
開き直ったか…積み重なったダメージで死んでしまった足を捨て…
後ろ向きに倒れることを拒否し、逆転の一撃にかける…。

頭を付けての撃ち合いはソンギルの土俵…
しかし勝つためには…背中をコーナーに預けられるこの場所しかない…
絶対に負けたくない…ダウンを拒否し…撃ち返す間も与えてもらえず撃たれ続け…

レフリーが助けに入ったのは…2:50もの間、コナドゥが撃たれ続けた後でした。 

4RTKOでの敗北。
完膚なきまでの敗北で、コナドゥはスーパーフライ級の主役グループから脱落してしまいます。

半年後、評価回復の為に選んだ相手…元IBF世界スーパーフライ級王者のフアン・ポロ・ペレス(コロンビア)。
この選手とマイナータイトル、IBC世界スーパーフライ級王座をかけての対戦。

スペインに拠点を構えることができたのは、コナドゥが強いボクサーだったから…。
彼がもし、弱かったなら…誰も彼に夢を見ない。
スペインに彼が住む場所はなくなり…ガーナへ帰るしかなくなる。

もらったチャンスで結果を残せず、もう負けることの許されないコナドゥ…。
次のチャンスを手に入れるまで…勝ち続けるしかない崖っぷち。 

ペレスも世界王座陥落後、再挑戦を目指す途上でメキシコの有力ホープだった
ホエル・ルナ・サラテ(メキシコ)に敗北…。

どちらも負けられないこの試合。
なんとか生き残ったのはコナドゥの方。

判定決着ながら、首の皮一枚、つながります。

 

 

その後、2階級制覇を狙って階級をバンタムに上げたコナドゥ。

ここから…1992年~1993年の9試合。
すべてを破竹の9連続KO勝利。

その中には、既に2度の世界挑戦を経験していた、
のちの中央アメリカ王者、アンヘル・ロサリオ(プエルトリコ)。
アルゼンチン王者、ルーベン・バウティスタ(亜)。

元世界王者を破って世界戦線に飛び出したい…。
そんなホープを返り討ちにして、怒涛の連勝を続けます。 

1994年にもうひとつKO勝利を重ねて、
10連続KO勝利とすると…ここでスペインに呼び出したのは…。

第19代WBC世界バンタム級王者…ビクトル・ラバナレス(メキシコ)
日本でも辰吉 丈一郎(大阪帝拳)と死闘を繰り広げたことで知名度抜群の選手。 

この頃のラバナレスは、辰吉とのWBC世界バンタム級暫定王座決定戦に敗れ…
再挑戦を目指して、ホープとして名をあげてきていたウェイン・マッカラー(アイルランド)との
WBC世界バンタム級挑戦者決定戦を兼ねたNABF北米バンタム級タイトルマッチにも敗北。 

この試合に勝てば、挑戦者候補として名前のあがる…しかし負ければさらに遠ざかる…。
お互いに超リスキーな一戦。 

この試合を判定で勝ち切ったコナドゥ…。
一気にバンタム級の世界戦線の最前線に浮上…。

しかし、コナドゥはここから半年の空白を置きます。

  

 

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