アメリカへ… ナナ・コナドゥ(ガーナ)⑥ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/08/29

アメリカへ… ナナ・コナドゥ(ガーナ)⑥ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/08/29
 
 

 

ガーナの超特急、ナナ・コナドゥ(ガーナ)の六日目。
 

ムン・ソンギル(韓)にWBC世界スーパーフライ級王座を奪われ…
拠点をスペインに移しつつ、ソンギルとのリマッチに敗れ…崖っぷちに立たされたコナドゥ。

しかしバンタム級に上げての10連続KO勝利で世界挑戦の待機に入ったコナドゥ。
半年間の空白を空けます。
 
 

実は、この空白の期間…コナドゥは新たなチャンスを手に入れていました。
それが…アメリカ進出。
キャリア初期に一度、アフリカ王者としてアメリカに呼ばれたことはありましたが…。

今回は拠点をアメリカに移す形。
それも…ビッグプロモーター、ドン・キングの目に止まってのこと…。

トレーナーは…アベル・サンチェス。
現在、最強と言われるゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)のトレーナーが
若き日に指導したのが、2階級制覇を狙ったコナドゥ。

サンチェスの息吹をその体に取り込み…ここからさらにコナドゥは力を発揮していきます。
 
 

ラバナレスへの勝利から半年後のお披露目試合を1RKOで飾り…。

続いてはアブラハム・トーレス(ベネズエラ)との試合。
辰吉 丈一郎(大阪帝拳)と互角以上の戦いで引き分け、天才と言われた男、トーレス。
 

WBC中央アメリカのタイトルが掛けられたこのリスキーな試合…6RKOでトーレスを葬り去ります。
 
 

ナナ・コナドゥとやるのは誰だ?
ランカーの中でもひときわ、その名が大きくなったコナドゥ。
 
 

この頃のWBA世界バンタム級王者は、ダオルン・MPペトロリアム(タイ)

コナドゥがトーレスとの戦いに勝利した同日。
ラクヒン・CPジム(タイ)を相手に引き分けながら2度目の防衛に成功していたダオルン。

相手選手のラクヒン…この試合が唯一の世界挑戦ですが…。
その後チャンスに恵まれることなく、無敗のまま引退していった強豪。
そんな歴史に埋もれた超強豪にチャンスを与えつつ…辛くも引分で退けたダオルン…。

もう1戦防衛戦を挟んだうえで、コナドゥと対戦する方向で交渉はまとまりつつありました。
 
 

しかし…ここに水を差したのが…日本ボクシング界の宿敵とも言われた男。
ウィラポン・ナコンルアンプロモーション(タイ)

この頃はまだリングネームがウィラポン・サハプロムの頃。
 
 

ムエタイ3階級制覇を成し遂げ、ムエタイのスーパースターとして
わずか4戦目でダオルンのベルトに挑戦。

スプリットの判定ながらWBC世界バンタム級王座を獲得。
タイに突如のごとく現れた、世界が注目するスーパースター候補…。
それがこの頃のウィラポン。

ダオルンの椅子を奪い去り、初防衛戦にコナドゥを指名。
 

一度は世界戦線から後退しながらも、自分の拳で切り開いた2階級制覇のチャンス。
ガーナから飛び出したアフリカ王者は、スペインを経由しアメリカを拠点に…。
そして、もう一度世界を獲るべく、敵地タイへ乗り込みます。
 

様子見の1R、ジャブで組み立てながら踏み込んでいくコナドゥに対し、
そこに合わせてフックを合わせようとするウィラポン。
静かな立ち上がりに思える流れが一転…
ダッキングしたウィラポンに右を撃ち降ろすコナドゥ…
ウィラポンはそれをかわして左フック一閃。

コナドゥが尻もちをつく…。
タイミングで奪われたダウンに悔しそうなコナドゥ。
ウィラポンもそれは承知のうえなようで、無理に攻め込むことはせず…。
コナドゥがジャブを軸に組み立て直します。
 

2R、不用意に踏み込むことを控えたコナドゥに対し、
逆に踏み込んで撃ち始めたウィラポン。
コナドゥのスピーディなジャブに思うように入れないもの、
単発ながらも上下に散らしてコナドゥを崩していきます。

しかし、大きく右を振るったウィラポンの右をかわして、距離を詰めたコナドゥ。
後続打をかわしながら、もう一度大きく振ろうとしたウィラポンの右…
その初動に合わせた右フックがウィラポンを捉える。

上半身と下半身が分離したようにチグハグなステップに陥るウィラポン。
明らかに効いてしまったウィラポンに対し、冷静に詰めていくコナドゥ。
振り上げた右に対して…大砲に大砲を合わせるカウンターがまたもやグサリ。

そのまま前のめりに崩れたウィラポン。
立ち上がろうとして尻もち…なんとか立ち上がっても足元が定まらず…。
ステップを踏んでいるふりをしてごまかそうとしても…ダメージは明らか。
レフリーがここで試合を止めます。
 

衝撃の世界奪取劇。

…このKOシーン。
ウィラポンが倒れなければ、コナドゥは返しの右フックを撃ち込むところだったわけで…
もしこのフックまでウィラポンがもらっていたとしたら…
日本のファンが天敵として熱く熱狂したウィラポンはいなかったかもしれない…。
そんなふうに思わされるほどの決着。
 

ちなみに、後々にウィラポンが語った最も強かった相手…それがコナドゥ。
パンチも重く、体格差もあり…怖かった。
その後、調整試合でアフリカから選手を呼び寄せることも多かったウィラポンですが…
実はこのコナドゥ戦での「黒人コンプレックス」の改善の為だったとか。
 
 

時代の強豪の要所、要所でそれをかき乱すような勝利を挙げる…。
コナドゥの名が今でもファンの間に残る要因かもしれません。 
 

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