既に敵なし ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)② ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/01/05

既に敵なし ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)② ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/01/05
 
 

さて、今日はアマチュア最強ボクサーワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)の2日目。
まだ6戦しかしてない選手なんで1日で収まるかと思ったらとてもとても…。

今日はロマチェンコが、セーンサック・ムアンスリン(タイ)
3戦での世界王座奪取という記録超えに挑むところから。
デビュー戦でランカーを破ってWBOにランキングされたロマチェンコ。
 
 

2戦目で第19代WBO世界フェザー級王者のオルランド・サリド(メキシコ)に挑みます。
 
 

この試合に勝てば、長い長いボクシング史の記録を更新するという大一番…。
思いっきり水を差されてしまいます。
前日計量でサリドが2ポンド1/4オーバー(約1kg)の計量失格。
王座を剥奪されてしまうのです。

サリドが勝てば王座は空位、ロマチェンコが勝てば王座獲得。
勝てばいい話なんですが、減量の最後の最後は100gを四苦八苦して落とすような世界。
最後のひと絞りをするかしないかでは、体のキレが全然違います。

この試合、いわばハンディキャップマッチとなってしまう訳です。

結局は1-2の判定負け。

頭から向かってくるサリドを裁ききれなかったロマチェンコ。
サリドはダーティーなボクシングも使いこなしますが、しっかりとしたボクシングもこなせる。
そしてその使い分けが抜群にうまい、反則をテクニックとして昇華できているボクサー。

多少ダーティーなボクシングの標的にされるのはアマチュアで実績のある選手にとっては当然のこと。
はっきりと経験不足、当然のことながらまだ早すぎた1戦でした。
 
 

ちなみに僕はね、以前から弱い相手を選ぶのもアリ、多少ダーティーな反則もアリ…なんて考えをここに
書いてますが、それは世界チャンピオンベルトを獲ろうと心底望んだ結果だから許せると思ってるんです。
綺麗ごと抜きにとにかく世界のベルトが欲しいんだっていう選手たちのリアルなぶつかり合い。
それがボクシングの魅力だと思うんです。

だから、ベルトを剥奪される計量失格はね…悶々としてしまいます。
怪我でトレーニングがまともにできず、減量失敗なんてこともあるので、
安易に選手を批判したくないけど…。

もしね、失格になってもいいや…って感じで秤の上に載ってるんであれば…。
サリドはこの試合で2度目の体重超過…すなわち前科持ちなんで特に悶々とします。
ただ、次の試合からちゃんと階級上げて戦ってますんで…、この試合で猛省したと信じたい。
 

さて、この試合で空位となった王座。
王座決定戦が行われる流れになりますが、指名挑戦権を獲得していた
ゲーリー・ラッセルJr(米)の出場が確定。

対戦者には世界初挑戦で不利な戦いを強いられたロマチェンコが上がります。
このWBOからのオファーを受け、サリド戦の敗北から3ヶ月後、セーンサック・ムアンスリンの持つ
世界王座獲得の最短タイ記録を賭けてWBO世界フェザー級王座決定戦に挑みます。

ハイスピードのサウスポー同士の対決となったこの1戦。
相手のラッセル・ジュニアは全戦全勝。
なおかつ、判定決着の試合では、2P以上マイナスされたことが無く、ほぼフルマークで勝ってきている選手。

つまり、キャリア全ての試合で圧勝している選手なんです。
その中には元2階級制覇王者のマウリシオ・パストラーナ(コロンビア)への星も含まれます。

フェザー級で最もハイスピードの選手を決めるこの戦い、
ロマチェンコはラッセル・ジュニアが前に出ようとする瞬間にボディで動きを止め、
相手の武器であるスピードを単発に寸断していきます。
スピード比べではなく、相手のスピードを殺す試合巧者ぶりを発揮し、2-0の判定。

世界最短タイの3戦目での世界王座を手中にします。
 

しかし、王座獲得の喜びに浸かるのも束の間。
最初の防衛戦は指名試合となってしまいます。
王座決定戦で王者になった者は、次戦を指名挑戦者と戦わなければならないルール。

世界王座を保持する者に定期的にやってくる大仕事、それが「指名試合」。
世界王者は団体からオーダーがあれば、その団体が指名する最強挑戦者と戦わなければならないんですね。
基本的にはランキング1位の選手が選ばれます。

この仕組みがないと、強いランカーが世界戦をしてもらえなくなってしまう可能性があるので…。
王者にとってはなんとも厄介な仕組みですが、必要不可欠。
また、この指名試合をクリアできるかどうかは王者としての
資質を図る重要なファクターとなります。

相手はランキング1位のチョンラターン・ピリヤピンヨー(タイ)
ロマチェンコ…これをフルマークの判定で圧勝します。
 

次戦ではまたも、WBO1位の選手を選びます。
考えてみたらロマチェンコはデビュー戦で世界戦を望んだ程の自信家。
そしてその自信にふさわしい実績も残しています。

対戦相手はガマリエル・ロドリゲス(プエルトリコ)
17連勝でランキング1位まで駆け上がった選手です。

…が、ロマチェンコのスピードに全く着いていけず。
撃つパンチはほぼ避けられ、ラフに行ってもサイドステップで体ごと目の前から消えてしまい…
反応した時にはほぼ90度真横の位置まで移動してしまっているロマチェンコ。
ロドリゲスはいいように撃たれてしまう。

7Rにボディでダウンを奪われると、9Rには顔面を撃ち抜かれてダウン。
ロドリゲス、レフリーストップで完敗。
 

ロマチェンコ…最強挑戦者2名に力の差を存分に見せつけ圧勝。
ランカー達はこぞって標的を他団体の世界王者に絞ります。
やっとこさっとこ対戦相手として交渉が成立したロムロ・コアシチャ(メキシコ)と対戦。

この試合でもコアシチャを翻弄しまくった挙句にボディでミッション完了…。
 

さてさて…こうなってくると、次に誰とやってもロマチェンコ有利の評は動きそうにありません。
ランカーで釣り合わなければ、他団体か他階級の王者しかいませんが…。

なんと1階級下のギジェルモ・リゴンドウ(キューバ)がやりたいと言ってるそうで…。
お互いに2度の金メダルを獲得し、プロでは階級最強の評価を得ています。
試合枯れでベルトを剥奪されたリゴンドウが階級を上げて…という方向になりそうなんですが…。

通常なら難航しまくるマッチメイクも、このレベルの二人がぶつかるとなると話は別。
だって全世界が注目するじゃないですか。
つまり金になる。

普段はスリリングな展開に欠け、人気が薄いリゴンドウでも、全階級を通じてボクシング技術の
最高峰を決めるこの戦いであれば、商品価値を存分に発揮するはず。

リゴンドウの試合は面白くない!なんてソッポを向いてた
大物プロモーター達もこの試合を見たい!と言ってるんですね。

そして実はロマチェンコも、米国のリングではハンディキャップを背負っている。

それは…メキシカンやプエルトリカンのように、
アメリカに母国ルーツの巨大なコミュニティがあるわけではないという点。
実はアメリカのリングも強ければ全世界の選手にチャンスがある…というわけではなく
ヒスパニックが多いラスベガスではメキシカンが、ニューヨークではプエルトリカンが…
チャンスをつかみやすくなっています。

米国に巨大なコミュニティを持たない国の選手はよっぽどの結果を残さないと金になりにくい。
これは実は日本人にも言えること…ハワイで世界戦がやれれば別ですが…。
そんなことができたのは昭和の軽量級…。

スーパースターになるためには、実力を誇示するカードを勝って行くしかないわけです。
これは、ロマチェンコにとっても、リゴンドウにとっても必要なこと。

両陣営が望み、しかし溝のある両陣営の条件。
そこを一つ一つ埋めていくのがプロモーターの役割。
そして、世界的に最もその作業に優れた人間の1人、ボブ・アラムが実現可能なカードと語っています。
 
 

これは…もう期待せずにはいられないですよね。

もし正式に発表されるようなことがあれば…僕の中では
マニー・パッキアオ(比)vsフロイド・メイウェザー・ジュニア(米)に匹敵しそうなカード。
あくまで個人的にですけどね。
 

もうボブ・アラムでもアル・ヘイモンでもドン・キングでも本田会長でも…
誰でもいいから実現させてください!!

もうそろそろ年齢の影響が出始めるリゴンドウが劣化しきってしまう前に…
 
 

そんな願いをしたためて、ロマチェンコのピックアップは終了です。
 

では、また明後日。
 
 

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