時代の破壊 ナナ・コナドゥ(ガーナ)③ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/08/23

時代の破壊 ナナ・コナドゥ(ガーナ)③ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/08/23
 
 

 

ガーナの超特急、ナナ・コナドゥ(ガーナ)の三日目。
 

WBC世界バンタム級王者 ヒルベルト・ローマン(メキシコ)に挑戦を決め、メキシコに乗り込んだコナドゥ。

この頃のローマンはカオサイ・ギャラクシー(タイ)とともにこの時代のバンタム級を牛耳る存在。
最強の片割れに、遠くアフリカから、ベールに包まれた挑戦者がリングに立つ…
 
 

 

ゴングとともにジャブを突き刺したのはローマン…。
しかし、フットワークを使おうとするローマンにぐいぐい距離を縮めるコナドゥ。
ローマンが描こうとするサークルがコナドゥのプレッシャーで歪む。
コナドゥの突き刺す左が3連続でヒット…。
圧倒的なスピード差でパンチを躱せないローマン。

次の瞬間、コンマ数秒の世界で超ハイクオリティの攻防…
いきなり右から入ったコナドゥのパンチをかわして左をかぶせるローマン…
それをさらに交わしてコナドゥの左フックが尽き刺さる。

ローマンが後ろ倒しにダウン。
まさかの速攻劇…。

カウント8で立ち上がるものの足元がおぼつかないローマン。
必死に距離をとり、クリンチで組みつき、リング上をひたすら逃げ回る。
ローマンの数少ないパンチをかわしながらぐいぐい攻めるコナドゥ。
時折コナドゥの強打をもらいながらも、距離を取ろうと走り回り、両腕をうまく使ってをいなすローマン。

…ローマンがなんとかこのラウンドを乗り切ります。
 

2Rに入って一旦落ち着いたローマン。
しかしミドルレンジではコナドゥにカウンターを狙い撃たれ、
相撃ちに持ち込んでも後続打を撃ち込んでくるコナドゥ。

ロングレンジを保ちながら、コナドゥの入り際に合わせる戦法を徹底。
入り込まれればクリンチで逃れる…。
しかし、クリンチ際もコナドゥは強引に振りまわす…。

ローマンが優位に戦える時間は両者の距離が開いているわずかな時間のみ…。
 

3Rに入り、距離をつかみ始めたローマン。
クリンチ際でもダーティーな肱の使い方を含め、暦年の技を発揮し優位に展開し始める。
うまく捌き…いなし…ペースをつかみ始めたところで、突然の瞬間。
ロープ際につまり、真横に逃げたところを狙い澄ましたコナドゥの右ストレート。

一撃でローマンは大の字に…立ちあがったローマン…
このラウンドを乗り切ろうとリング上を逃げ回りますが…
コナドゥのプレッシャーにまっすぐ下がったところで強烈な右ストレート。
このラウンド2度目のダウンに、その後の過激まで加えられる…。

客席からは物が投げ入れられ、大ブーイング。
ダウン後の過激に関しては、今ほど厳しくない時代。
レフリーが割って入る前だったこともあり、減点でとどめられます。
このラウンドはここでゴング…。
 

迎えた4R…ダーティーファイトでは名高いローマン。
レフリーの死角でローブローをたたき込む…。
負けん気の強さを見せますが…
ダメージを負った体ではコナドゥのプレッシャーは捌き切れず…。
ブレイクからの再開後、飛び込んでの左フックをたたき込まれ、この試合4度目のダウン。

またも立ち上がったローマンですが…、再開後一気に詰めたコナドゥの左を喰い、
コナドゥにしがみつきながらズルズルと膝をついてまたもダウン。

ここまで一方的にやられながらも、さすがは時代をつくった王者…。
再開後には意地のワンツーをたたき込み、コナドゥをぐらつかせます。
 

5R、もう一度距離をとって組み立て直そうとするローマン。
入り際に合わせる左フック、肘をボディにめり込ませながらコナドゥをつき離し、
クリンチ際では頭を当て、レフリーが死角に入ればローブロー…
なりふり構わない王者の姿…。

ミドルレンジのスピード差は激しく、威力のあるジャブに突き刺され、
クリンチ際でもコナドゥの腕を自由にしてしまえば強烈に振るわれる。

なんとかペースを手繰り寄せようとする王者…。
 

6Rに入ると、展開に慣れてきたコナドゥがクリンチの離れ際を狙い始める。
ローマンは入ってくるコナドゥをクリンチで捕まえはするものの、
自身のパンチをヒットさせる機会は少ない。
 

7R、黒人のバネをフルに見せつけるような、飛び込んでの左を効かせたコナドゥ。
その後の左の刺し合い、カウンターで入ったジャブでローマンが尻もち。
ジャブの威力もとんでもない…

しかしここはレフリーが体を入れ替えるタイミングでその眼に入っておらず…。
スリップの裁定…。

この攻防でローマンの左目上からはおびただしい出血。
これ以降、ローマンの死角となる右のパンチから仕掛けていくコナドゥ。
ガーナの新鋭が、時代の主役を追い込んでいきます。
 

8R、フットワークもおぼつかなくなり、ひたすらクリンチに逃げるローマン。
このラウンド、レフリーが何度ブレイクと叫んだか…。
しかしそのクリンチ際の攻防でもコツコツとしたパンチをもらいダメージを蓄積させてしまうローマン。
 

9R、開始からガチャガチャと撃ち合いに出たコナドゥ。
終わりそうで終わらない試合に焦れて来た感もあり、そこを突いたローマンに強烈なクロスを合わせられる場面も…。
ベテランのローマンが、アリ地獄のような消耗戦へコナドゥを誘い込み始める。
何度も頭がぶつかり、抱き合いが頻発する展開…
 

10R、これまで展開を引き戻し始めたところで、コナドゥの強打に形成逆転を許してきたローマン。
そんな展開を打開できるか、大事なラウンド…コナドゥはクリンチに逃げられる前に…と、
がむしゃらに振って出る。

コナドゥのスピード豊かな強打を、時にはもらい、時にはいなしながら
荒くなったところにクロスを合わせるなど、逆転に向けてまだまだ希望を繋ぐローマン。
崖っぷちながらようやくペースをつかみ始めます。
 

11R、コナドゥの入り際に合わせるローマンのクロスでコナドゥがぐらつく…。
ヒット数、手数ともコナドゥに譲りながら、逆転の一撃にかける様が伝わります…。
もはや、どちらが挑戦者でどちらが安定王者かわからないような展開。
 

12R、残り3分となったこの試合。
劣勢の展開に、ローマンが攻勢を強めると、コナドゥのパンチが数多くヒット。
ローマンはどうしても後手に回るしかない。
ひたすらジレンマにさいなまれるようにコナドゥをいなし続けるローマン。
そのまま最終のゴングが鳴り響く…。

両手を突き上げて勝利をアピールするコナドゥ。
 

目の前でヒーローが明確な敗北を喫した姿に、歓声を送ることさえできない観衆。

「信じられない…」
そんな空気が映像の画面いっぱいを支配します。

判定が読み上げられ…勝利者コールの瞬間。
挑戦者の明確な勝利に…送られたのはまばらな拍手。
 

突然現れた、時代を彩る名選手…このとき観衆は、
目の前で起こったことを理解するのに精いっぱいだった…そんな風に感じます。
 

ローマン&カオサイ時代。
 

このとき、ひとつの時代が終焉しました。

 

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