怒涛の11連勝 小林 タカヤス(川島)② ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/03/25

怒涛の11連勝 小林 タカヤス(川島)② ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/03/25
 
 

 

さて、本日は小林 タカヤス(川島)のピックアップの2日目。
 

固い決意を胸にプロのリングに立ち、4回戦で4勝を挙げてB級昇格を決めたところまで。
この時点、6戦4勝(1KO)1敗1分。

B級で戦う資格を手に入れた小林ですが…
6回戦に上がったところで壁に当たります。

初戦を引き分け、2戦目を清水 真吾(マーベラス)に6RTKOで敗戦。
 
 

実はB級初戦の引き分け後、生協(パルシステム)で働くようになり…。
この転職1戦目がこの敗北した試合。
 

内容としてはボロ負けだったそうですが、
職員達が「次も応援行くから!お前の試合見に行くから!」と熱い言葉を投げかけてくれたそうで。

そんな仲間たちの応援を受けて、決意新たに再起戦をフルマークの判定で6回戦初勝利。
 

続いてのガンバル 宮島(オサム)戦で…実はアクシデントが。

試合2週間前に肉離れを起こし、減量に入るのが遅れた小林。
ただでさえ落ちにくい体重を落とすのに、走ることもできず…。

この肉離れ、練習で無理をして走り過ぎてしまった…と。
なんとも真面目な小林らしいエピソード。
どうやらこの「無理をしてしまうことがある」というのが悪癖だったよう。

コンディションに不安を持って挑んだわけですが、逆に吹っ切れてやりきれた試合。
3Rに左フックからの右ストレートで綺麗なKO勝利。
 
 

次戦では4回戦時代に一度破っているドラゴン・ヨウスケ(F・I)

既に6回戦で2勝を収めて、A級ライセンスの権利を手に入れていた小林。
しかし、納得のいく勝ちを収めて8回戦に上がりたい。
そんな決意を秘めたこの1戦。

強打を振るうドラゴンを相手に、フルマークの判定で勝利しA級昇格。
 

昇格後は負傷判定での2連勝を飾り…
 

金田 考則(古口)との対戦を迎えます。

この試合では持ち前の接近戦で果敢に攻めた小林。
スプリットで2-1と割れた熱戦で勝利を収めて6連勝。

東日本ボクシング協会の2007年9月度月間新鋭賞を受賞。
期待の新鋭としてボクシングマガジンに特集されるなど、徐々に注目を集めます。
 
 
 

次戦は、そんな小林を「喰ってやろう」との思いを抱いた殿村 雅史(角海老宝石)との対戦。
この殿村はのちにOPBF王座に挑むことになる選手。
対戦相手のレベルが徐々に上がってきます。

序盤のカギになったのは小林のノーモーションの右。
何度か殿村の顔面に叩き込まれます。

しかし、モチベーションの高い殿村は2Rから手数を増やして互角の展開へ。

4R、一瞬小林をグラつかせた殿村は、追ったところで小林の左フックをもらって痛烈にダウン。
ここはなんとか立ち上がったものの、5R以降は小林がボディを軸に試合を支配する。

最後まで手数の落ちなかった殿村の戦いも素晴らしいこの試合。

小林が2-0の判定で勝利。
 

そして…小林はこの勝利で日本ランキング11位にランクイン。
 
 

ランカーとして初めて挑んだ次の試合では、和田 吉史(協栄)をワンサイドで攻略。
 

次の試合では、関西から遠征してきた山本 秀人(神拳阪神)。
苦手のサウスポー相手に3R、6Rとバッティングによるカットを負いますが、それでも試合内容は完勝。
3-0の判定勝利を収めます。
 
 

ここで二桁の10連勝をかけて。
相手は柳 直大(新田)。

この柳…10年のブランクを開けてこの試合で復帰したなんとも珍しいボクサー。
10年間溜めに溜めこんだ気持ちをリングで出し切るようなそのボクシングは誰も予想できなかったはず。

柔軟な動きにフェイントを織り交ぜた小林が柳を翻弄し、小林が4Rにダウンを奪う。
しかし5R、決めにかかる小林の攻撃を耐えきった柳は、撃ち疲れを見せた小林に対して反撃。
とにかく前に出て手数を落とさない柳。

最終的には判定決着で小林の勝利。
結果だけ見れば危なげない勝利ですが…。
内容的には柳がランカーに善戦したとも言える試合。
 

この柳は最終的に負け越しの戦績で引退した選手。
スタミナ、手数ともに素晴らしく、この小林戦の柳はスタミナド根性ボクサーとして
かなり熱い闘いを見せています。

選手の戦績を追って行くと、こういった無名の面白い選手が隠れていたりするものです。
 
 

さて、これで10連勝とした小林。
 
 

しかしながら、日本ランクを手に入れて久しく、上位ランカーとの試合は実現しておらず…。
試されていないという外野の評価に、小林ならやってくれるという期待を持ってその時を待ちわびるファン。
 
 

チャンスは突然訪れるものです。
 
 

世界ランカーの升田 貴久(三迫)との対戦。
 

当時世界挑戦も視野に入っていた升田。
(最終的にはWBC世界暫定王座に挑戦)

小林が連戦連勝を重ねているとは言え、知名度の差は歴然としており、
升田の調整試合とも目されたこの試合。
 
 
 

この頃、小林が行っていたイメージトレーニングでの話。
 

イメージが限りなく現実に近い状態まで精度が上がってくると、勝つときは必ず勝つイメージが出来る。
負けるときは勝つイメージが出来なくなる。
勝つときは栗田トレーナーと抱き合っている姿、友人におめでとう!と祝福される姿が見えると…。
 

この各上相手の試合でも…
栗田トレーナーの目を見て「自分のイメージ通りだ。後は勝つだけだ」と勝利を確信。
自信に満ちて挑みます。
 
 

開始直後は距離を取った升田。
詰めようとする小林を綺麗にさばく。
しかし2R、距離を詰めた升田に対し小林の右フックがカウンターで炸裂。

クリンチで逃れる升田のダメージはかなり深そう。
しかし、攻勢に出る小林は仕留めきれず…。

4Rに入り、バッティングで升田がカット。

拮抗したラウンドが続くものの後半に入ると、小林のスタミナが勝る。
ボディを有効に効かせて消耗を誘い、ガツガツと押し込んでいく。

アウトボクシングもできる小林が、スピードのある世界ランカーに対して
この試合では完全なファイターと化し、気持ちで試合をもぎ取った形。

僅差の判定が発表されると、会場はどよめきにも似た声があがります。
 

この星でWBAで9位、WBC15位と一気に世界ランク入り。
そして日本ランクは1位に昇格。

川島会長は、ジム初の世界ランカー誕生に、「問い合わせには親切に対応するものだね」…と、
小林と出会った頃を思い返して感慨深げ。
 

この大金星はファンの間でも注目を集め、“気持ちで戦うボクサー”として認知を得ていきます。
 
 

怒涛の11連勝で世界ランク入り、そして日本ランク1位にも…

しかもこの時期は、日本王者とランキング1位(もしくはそれに準ずる選手)が激突する
指名試合の日本王座版、「チャンピオンカーニバル」のカード発表間近の時期。
 

日本王座に君臨するは世界挑戦経験者。
しかも、世界を獲れていておかしくない善戦をしたばかり。
 

そんな強敵に挑むところはまた次回。
 
 

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