スーパーフェザー級世界王座連続防衛回数ランキング(記録関連) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2017/01/17

スーパーフェザー級世界王座連続防衛回数ランキング(記録関連) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2017/01/17
 
 
 

さてさて、本日はスーパーフェザー級。
昨年まで内山 高志が11度の防衛を達成、12度目の防衛戦で陥落した階級。
彼の記録がいったいどのあたりにランクされるのか…気になるところです。
 

※WBA以前、NBA時代は除く。
 

スーパーフェザー級世界王座連続防衛回数トップ10
 
 

126~130ポンド(57.153~58.967kg)
旧ジュニアライト級。
1921年11月18日にジョニー・ダンディー(米)が王座を獲得して以降、
そろそろその歴史は1世紀に届こうかというところ。
この辺りの階級を皮切りに中量級へと突入し、スーパースターへ駆け上がった選手も多くいる。
さて、そんなスーパーフェザーに居座り続けた王者はいったい誰か…。
 
 

第1位 12度防衛 第15代WBA世界スーパーフェザー級王者

ブライアン・ミッチェル(南ア)

アルフレド・ライネ(パナマ)から10RTKOで王座を奪うと、自国での世界戦が叶わぬ状況となる。
アパルトヘイトにより、南アフリカがスポーツの世界から締め出されてしまう。
以降全ての防衛戦が敵地開催となったミッチェル。

不利なアウェイの戦いで、スーパーフェザー級歴代1位の連続防衛記録を積み上げる。

米デビュー戦となったイルビング・ミッチェル戦では、6Rまで全てポイントを奪われる苦しい展開の中、
7Rに大逆転のTKO勝利をおさめて9度目の防衛。

IBF王者トニー・ロペス(米)との王座統一戦では1-1の引分でお互いの王座を防衛し合う形となった。
自分が勝ったと譲らないミッチェルは、WBA王座を放棄する形で、IBF王座に挑戦。
ロペスとの決着戦を制する。

獲得したIBF王座を返上し、世界王者のまま引退した。

その後、わずかに復帰した時期はあったものの、そちらでも土のつかぬまま、
キャリア初期に喫した1敗のみでリングを後にしている。
同時期に活躍したフリオ・セサール・チャベス(メキシコ)やアズマー・ネルソンの陰に隠れてしまいそうですが、
間違いなく名王者であり、歴史的実力者の一人。
 
 

第2位 11度防衛 第28代WBA世界スーパーフェザー級王者

内山 高志(ワタナベ)
 

日本の誇る内山がこの位置…あと一歩だったんですね。
かなり悔やまれるところですが、頂はいつも高いもの。
並みいる選手たちを打倒していった彼の姿には、皆が熱くさせられたと思います。

ただし…当時ワタナベジムのボイラー室に暮らして(居候して?)いたスポーツライターの
善理 俊哉氏によると、「いつもギリギリだった…」と。
人知れず怪我をかかえて、ロードワークだけで調整するなど…
圧倒的に勝っていたように見えて、そこはやはり世界のトップ戦線。
実はその道のりはやはり険しいものだったようです。

高校時代にアマチュアで国体準優勝。
名門拓殖大学では全国から集まる豊かな才能に埋もれてしまう。
しかし、大学を卒業してもアマチュアを続ける希少なトップ選手として活躍。

アマで全国を制したのは社会人になってから…国際大会でも結果を出したが、
アテネを目指した五輪予選…1回戦敗退。
次いで出た国体も優勝を逃し、引退を決める…。
しかし、それを翻意して決めたプロ転向…26歳でプロデビューを飾る。

8戦目で東洋太平洋を勝ちとると、フアン・カルロス・サルガド(メキシコ)への世界挑戦をつかみ、
12RTKOでモノにする。

このサルガドはのちにIBFで対抗王者に…
さらに3度目の防衛戦で破った三浦 隆司(帝拳)(当時横浜光ジム所属)はWBCの対抗王者に…。
2007年~2016年、スーパーフェザー級最強は内山だったと言っていいかと思います。
それは内山が陥落した試合の前、ヘスリール・コラレス(パナマ)の挑戦が
母国パナマで非難ごうごうだったことからも…
「パナマの優秀なホープがライオンの折に放り込まれる…」

結果は驚きの王座奪取劇で、内山は陥落…名王者の陥落はいつも驚きと共にあります。
 
 

第3位 10度防衛 第8代WBA世界スーパーフェザー級王者

サムエル・セラノ(プエルトリコ)

日本のボクシング史でも強烈にその名を残すセラノが3位。
初挑戦では強打のベン・ビラフロア(比)にドローで涙を飲むも、
リマッチでは技巧で王座を奪い取り…以降二桁の防衛を重ねました。

日本人ではアポロ 嘉男(親和)バトルホーク 風間(池田)などが軍門に下っている。
11度目の防衛戦はデトロイトで上原 康恒(協栄)を迎えて行われた。
この試合は1980年のアップセットオブザイヤーに選ばれる衝撃の敗北。
上原の右フックにセラノが沈む…。

リマッチで王座に返り咲き、友成 光(新日本木村)らを破って
ロジャー・メイウェザー(米)に敗れるまで4度の防衛を刻む。
 
 

第3位 10度防衛 第8代WBC世界スーパーフェザー級王者

アルフレド・エスカレラ(プエルトリコ)

同じく3位にはアルフレド・エスカレラ。

リカルド・アルレドンド(メキシコ)に勝ってその名を上げると、柴田 国明(ヨネクラ)から世界王座を奪取。
日本のファンが驚愕する強さを見せつけました。

日本のバズソー 山辺(船橋)などを破って10度の防衛を達成すると、迎えたのはアレクシス・アルゲリョ。
ニカラグアの英雄にまで成り上がる男に13RKOで王座を譲る。

二人はリマッチで拳を交えることになるのだが…この試合はボクシング史に残る激闘。
同じく13RKOで敗れはしたものの、記録と記憶をスーパーフェザーに刻みつけ、世界戦線からその名を消した。
 
 

第3位 10度防衛 第17代WBC世界スーパーフェザー級王者

アズマー・ネルソン(ガーナ)

さらに3位にガーナのアズマー・ネルソン。
プロフェッサー(教授)と言われたボクシングは軽量級史最強の呼び声も。

世界初挑戦はフェザー級史最強候補にも挙がるサルバドール・サンチェス(メキシコ)に敗れるものの、
サンチェスは直後に事故死。
“プエルトリコのバズーカ砲”ウィルフレド・ゴメス(プエルトリコ)に渡っていたベルトを
11RKOで奪い取り、6度の防衛。
この数字はフェザー級のアフリカ人世界王者最高記録。

フェザー級を返上してWBC世界スーパーフェザー級王座決定戦に出場。
マリオ・マルティネスとの死闘を制して2階級制覇を達成。
王座を保持したまま挑んだ3階級制覇ではパーネル・ウィテカー(米)に敗れるものの…

名だたる挑戦者たちを撃破し続けて10度の防衛。
ホルヘ・パエス(メキシコ)と激闘を繰り広げたカルビン・グローブ(米)を破り、
4階級制覇を狙ったジェフ・フェネック(豪)とは1勝1分。

フェネックに勝った試合は1992年のアップセットオブザイヤーに選出。
それほど当時のフェネックは強豪としての地位を確立していた選手でした。

11度目の防衛戦ではジェシー・ジェームズ・レイハ(米)の前に陥落するも、
再戦で返り咲き、ラバーマッチでも勝利。

ちなみに2008年、引退後10年の間をあけて、突然の復帰。
ジェフ・フェネック(豪)と16年ぶりの再戦を行い、2-0の判定負け。
当時のファンを喜ばせている。
 
 

第3位 10度防衛 第9代WBO世界スーパーフェザー級王者

アセリノ・フレイタス(ブラジル)
 

さて、多かった3位もラスト一人。
“ブラジリアン・ボンバー”アセリノ・フレイタス。

多国籍パブなんかに行って、ブラジル出身の女の子を見つけると「アセリノ・フレイタスって知ってる?」で
確実に盛り上がったのは今は昔…最近の若い子はどうなんだろう…。
国民的大スターだった男。

感動屋で知られて、リング上で涙を流すこと数多…。
アナトリー・アレクサンドロフ(カザフスタン)を1RKOで破ってWBOの王座を獲得。
敵地も辞さずに戦い続け、8度目の防衛戦ではホエール・カサマヨール(キューバ)との王座統一戦に勝利。
王座統一に成功。

WBOを10度防衛したところで王座を返上し、ライト級へ侵攻。
WBO世界ライト級を17度防衛していたアルツール・グレゴリアン(ウズベキスタン)を攻略し、2階級制覇。
こちらの王座は防衛叶わず陥落するものの、もう一度WBO世界ライト級に返り咲く。
WBA世界ライト級王者だったフアン・ディアス(米)との王座統一戦に敗れ、王座を陥落。

後期は引退と撤回を何度か繰り返しましたが、この試合が最後の世界戦となっています。

さて…3位がやたらと多かったので、次の9度防衛は7位から。

第7位 9度防衛 第16代WBC世界スーパーフェザー級王者 フリオ・セサール・チャベス(メキシコ)
第8位 8度防衛 第17代WBA世界スーパーフェザー級王者 ヘナロ・エルナンデス(米)
第8位 8度防衛 第9代WBC世界スーパーフェザー級王者 アレクシス・アルゲリョ(ニカラグア)
第8位 8度防衛 第22代WBC世界スーパーフェザー級王者 フロイド・メイウェザーJr(米)
 

7位の9度防衛にはフリオ・セサール・チャベス(メキシコ)

いよいよ、世界的大スターが登場。
チャベスが入口としたのがこのスーパーフェザー級。

43戦全勝で挑んだマリオ・マルティネス(メキシコ)とのWBC世界スーパーフェザー級王座決定戦を制する。
ロッキー・ロックリッジ(米)ロジャー・メイウェザー(米)など、元世界王者たちを寄せ付けず、
敵なし状態で防衛ロードを突き進み、9度防衛後に王座を返上。

しかし、スーパーフェザーのころのチャベスはまだまだ序章。
さらに階級を上げて行き、3階級制覇を達成。
スーパーライト級でも12度の防衛を記録し、数々のビッグマッチを演出している。
 
 

8位には8度防衛の3名。

まずはヘナロ・エルナンデス。
ジャブの名手として知られ、世界戦という最高峰の試合にも関わらず
左手一本で相手をコントロールしてしまうことも。

ダニエル・ロンダ(仏)との王座決定戦を制すると9度の防衛を記録。
その中には竹田 益朗(陽光アダチ)や渡辺 雄二(斉田)の挑戦を退けた試合も含まれる。
この王座は当時WBO世界ライト級に君臨していたオスカー・デラホーヤ(米)に挑む為に返上。
2階級制覇は実らず、スーパーフェザーに戻すと、
2期目のWBC王座を獲得していたアズマー・ネルソンを退けて返り咲き。
4度目の防衛戦では、のちの”PFPキング”フロイド・メイウェザーJr(米)に王座を明け渡している。
 
 

さらに2人目の8位にアレクシス・アルゲリョ。
“破壊的な痩せっぽち”とも呼ばれたニカラグアの伝説。
世界的な超スーパースター。

既にフェザー級で王座を獲得し、この階級が2階級目。
アルフレド・エスカレラの11度目の防衛戦で挑戦者としてリングに上がり、13RKOで勝利。
さらに再戦では超のつく激闘となるも、この試合も13RKOでその名をとどろかせる。

さらにライト級を制し、スーパーライトのアーロン・プライヤー(米)に挑み…。
試合には敗北するもプライヤーのセコンドの不正疑惑が噴出し、二人は再戦。
そのリマッチを最後に二人のスーパースターがそろって引退。

この選手もスーパーフェザーの先で名声をさらに大きくしていった選手の一人。
…眼疾を患いながら引退と撤回を繰り返した晩年。
政治活動に奔走し、最後は謎の自殺を遂げ…。

そんなアルゲリョが見せた芸術的なファイト。
左を駆使して全てを思いのままに相手を操り…相手の出方を全て封じると
ロイヤル 小林を持ってして”氷の塊”と言わしめた強打で沈めて行く。

彼の見せた芸術は、陶酔を受けたとされる、現代のPEP候補、ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)の出現によって
またもクローズアップされている。
 

そして最後に、フロイド・メイウェザーJr(米)

元2階級制覇王者のロジャー・メイウェザー(米)を叔父に持ち、
お騒がせ三兄弟だったメイウェザー家の秘蔵っ子として幼少からボクシングに浸かる。

トップアマとしてアトランタ五輪に出場すると
金メダルが有力視されながら不可解な判定で銅メダルに…
プロデビュー前から注目を集める存在に。

ジャブの名手、ヘナロ・エルナンデスから王座を奪い、涙の王座獲得。
この頃はまだ”プリティボーイ”と呼ばれ、後年の嫌われモノの面影は全くなし。

IBF王座を返上して挑戦してきたディエゴ・コラレス(米)
圧倒的スピード差で倒しまくって10RTKOで破るなど、この頃から頭一つ抜けた存在に。

タフさが売りのカルロス・エルナンデス(米)戦では、初のダウンを奪われ拳を故障し…
大苦戦するも逆転の判定勝利。
それ以外は危なげなく8度の防衛を達成…階級を徐々に上げて行き…
いくつものビッグマッチをクリア。

5階級制覇達成後、全勝のまま1度目の引退。

一時はプロレス参戦するなどしつつ、復帰すると、ボクシング史上稀に見る嫌われ役として、
引退前以上にその名を刻みつける超ビッグマッチを連発していく。
 
 
 

トップ10は以上ですが…
この階級を皮切りに、その名を上げて行くスーパースターが多数。
まるでスーパースターの登竜門…と言ったところでしょうか。

歴史は繰り返す…現在ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)がスーパーフェザーの王座を得ていることからも
やはり現代もレジェンドが集う階級であることは間違いなさそうです。

この顔ぶれの中に日本人がいる…日本人にとっての内山の飛びぬけた存在感をこんなところからも感じます。
 

ちなみに、トッド・モーガン(米)が世界王座を12度防衛したとWikiには記載されているものの、
BoxRecを確認すると防衛数は5度…、1世紀近く前のボクサーで、
はっきりしたことが分からないので今回は除外ということで…
 

さてさて、ランク外のところ。

トップ10に入って来なかったのは欧州。
最多はレジリオ・ツール(オランダ)の6度。

出身地のスリナムは南米ですが、ツールが産まれた頃はオランダ領ギアナ。
ツールが8歳の時にオランダから独立するも、ツールはオランダ国籍を有し、
ソウルオリンピックにはオランダ代表として出場。
優勝候補のケルシー・バンクスを破り、ソウル五輪ボクシング競技における最大の番狂わせを演出した。

アマ時代の名声もあり、ニューヨークでプロデビュー。
米国とオランダの二つの拠点で活躍した。
オスカー・デラホーヤが返上した王座を、エウゲン・スピード(米)との王座決定戦を制して獲得。
6度防衛すると、王者のまま引退を表明して返上。

5年後には復帰するものの…もし王座を保持し続けていれば、その記録は伸びて行ったようにも感じます。
復帰後はまだ無名だった後の2階級制覇王者オルランド・サリド(メキシコ)に敗北している。
 

オセアニアではバリー・マイケル(豪)の3度が最高。

国内では安定政権を築くものの、地域王座で勝ち負けを繰り返し、遠回りすること53戦目。
同国のIBF王者、レスター・エリス(豪)への世界初挑戦で王座を奪取。
4度目の防衛戦で、元WBA王者のロッキー・ロックリッジを迎え、8R棄権で陥落している。
 
 
 

現役世界王者での最多はIBF王者のホセ・ペドラザ(プエルトリコ)の3度。
まだまだ連続防衛記録には遠いですが…

記録以上にライバルたちの激戦が面白いのも現在のスーパーフェザー。
WBO暫定王座を持っていたミゲール・ベルチェット(メキシコ)がもうすぐ、
WBC王者のフランシスコ・バルガス(メキシコ)に挑戦。

ロマチェンコの動向も気になりますし、ロマチェンコに敗れた
ニコラス・ウォータース(ジャマイカ)ローマン・マルティネス(プエルトリコ)

ウォータースと引分後、WBAを獲ったジェイソン・ソーサ(米)

ヘスリール・コラレス(パナマ)がどうなっていくのか…。

我らが内山、三浦の両雄にオルランド・サリドなんて人気選手。

さらには国内最強を証明しつつある尾川 堅一(帝拳)と世界を獲れると豪語する伊藤 雅雪(伴流)
 

タレントが豊富すぎてちょっと…まだ漏れてるかもしれません。
…ってかきっと漏れてる。

ここ数年、ずっと面白いスーパーフェザー。
今年もまた面白いことになってくれるでしょう。
 
 

さて、次回は最も層が厚い…なんて言われるライト級。
レジェンドたちがわんさか出てきます。
 

てな訳でまた次回。
 
 
 

※記録は2017/1/17時点
 
 

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