ウェルター級世界王座連続防衛回数ランキング(記録関連) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2017/01/23
さて、階級別連続防衛数ランキング。
本日はウェルター級。
日本から出たこの階級の王者…実はいまだに一人もいない。
歴史もあり、層も厚く…そしていつの時代もスターが君臨する。
超激戦区階級として名高いウェルターを見てみます。
※WBA以前、NBA時代は除く。
ウェルター級世界王座連続防衛回数トップ10
140~147ポンド (63.503~66.678kg)
ヘンリー・アームストロング(米)の19度連続防衛が最多記録とされていますが、
王座分裂前(WBA以前)となるため今回は除外。
第1位 15度防衛 第5代IBF世界ウェルター級王者
フェリックス・トリニダード(プエルトリコ)
強豪たちとのスリリングな戦いを乗り越えながら20戦目で世界挑戦。
モーリス・ブロッカー(米)を3RTKOで沈めて、南米のホープがスターの仲間入りを果たす。
童顔からついた「ティート」の愛称には似つかわしくない激戦を繰り返す。
3度目の防衛戦では同国の大スターで、4階級制覇を狙ったヘクター・カマチョ(プエルトリコ)を退け、
4度目の防衛戦で、56戦全勝でよやくチャンスを手に入れたルイス・ラモン・カンパス(メキシコ)と
ダウンの応酬の末の逆転TKOでさらに人気を高める。
伝説のディフェンスマスターで4階級制覇王者のウィテカーさえも破り、
15度目の防衛戦では1000年に一度の対決と言われた、デラホーヤとの対決に勝利してWBC王座も吸収。
ここでウェルターの王座を返上し、複数階級制覇に乗り出していく…。
最終的にはミドルまでの3階級制覇を叶えるものの…
ミドルで戦った試合では3勝3敗…。
当時トリニダードが最強だと信じていた自分にとって、下の階級から上げてきたトリニダードが、
ナチュラルミドルの強豪になぶり殺しにされるような試合はとてもショック…
ボクシングの階級の壁を初めて意識した…そんな時期でした。
確か…初めて買ったボクシングマガジン。
開いたページにはデラホーヤとトリニダードの試合結果がドドーン…と出ていて…。
その写真があまりにもカッコよくて…当時ネット回線も来ていなかった田舎町の片隅で、
試合を見てもいないのにトリニダードが最強だと信じて疑わなかった青春時代。
そのイメージはいまだにあって…”最強”といわれると、僕にとってはモハメド・アリ(米)でもマイク・タイソン(米)でも…
マービン・ハグラー(米)でも、シュガー・レイ・レナード(米)でもない。
僕にとっての最強は、未だにトリニダードだったりします。
第2位 11度防衛 第9代WBA世界ウェルター級王者
ピピノ・クエバス(メキシコ)
ウェルター級史上屈指の強打者”アゴ割り”クエバスが2位の11度防衛。
アンヘル・エスパダ(プエルトリコ)から王座を奪うと、4年弱の間にコンスタントに防衛を積み重ねる。
その中には日本国内最強を示して王座に挑んだ辻本 章次(ヨネクラ)を打ちのめした試合も…。
明らかに途中までリードしていた辻本を、たった一撃で討ち砕いてしまう。
テクニシャンに苦戦する傾向はあったものの、リズムのいいプレスで相手を下がらせて防衛を積み重ねる。
そして、新時代の到来…トーマス・ハーンズ(米)に圧倒的な敗北で王座陥落。
さらにはロベルト・デュラン(パナマ)の回転力に沈められ…。
破格のスターたちに敗れた名王者クエバス。
時代は黄金のミドル…中両級全盛期に突入していきます。
第3位 10度防衛 第7代WBC世界ウェルター級王者
ホセ・ナポレス(キューバ)(2期目)
キューバ革命を機にメキシコへ亡命。
113勝1敗…アマチュアで最強の名を欲しいままにしていた強豪がまさかのプロへやって来ます。
現代でいうところのワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)…かつての時代にもそんな選手がいたのです。
2戦目で世界挑戦できたロマチェンコとは違い、ナポレスにはチャンスが巡って来ない。
指名試合がなかった当時、延々と待たされ続け、”無冠の帝王”と呼ばれながら、
強過ぎるが故に世界戦が実現せずにいました。
64戦目にして、ようやく世界戦が実現。
カーチス・コークス(米)との対戦を制してWBA/WBCの統一王者に…
この王座は4度目の防衛戦でビリー・バッカス(米)に奪われてしまう。
しかし、これは実力というよりは不運な試合…バッティングによる負傷TKO負け。
当時はバッティングによるカットでも、戦闘不能になればカットを負ったほうがTKO負け。
現在ならば負傷引き分けとなっていた試合で王座陥落の憂き目にあいます。
しかし、再戦で王座を再度獲得すると、強豪を次々になぎ倒して王座を9度防衛。
途中、ミドル級にも挑戦しますが、こちらも伝説の王者、カルロス・モンソン(亜)に屈してウェルター級王座の防衛に徹しています。
当時は他の世界王座と同じレベルで権威のあったニューヨーク州認定世界ウェルター級王座も吸収。
WBA王座のみ9度防衛で返上。こちらは連続防衛記録の4位にもランクされています。
WBC王座でもう一つ防衛を積み重ねて、10連続防衛とした後…
ジョン・H・ストレーシー(英)にまさかの敗北で陥落。
以降は世界戦の舞台に上がることのないままキャリアを終えました。
さて、4位以下はこんな感じ。
第4位 9度防衛 第7代WBA世界ウェルター級王者 ホセ・ナポレス(キューバ)(2期目)
第5位 8度防衛 第23代WBC世界ウェルター級王者 パーネル・ウィテカー(米)
第5位 8度防衛 第3代IBF世界ウェルター級王者 サイモン・ブラウン(ジャマイカ)
第7位 7度防衛 第12代WBA世界ウェルター級王者 ドナルド・カリー(米)
第7位 7度防衛 第21代WBA世界ウェルター級王者 アイク・クォーティ(ガーナ)
第7位 7度防衛 第9代WBC世界ウェルター級王者 カルロス・パロミノ(メキシコ)
第7位 7度防衛 第24代WBC世界ウェルター級王者 オスカー・デラホーヤ(米)
第7位 7度防衛 第2代WBO世界ウェルター級王者 マニング・ギャロウェイ(米)
第7位 7度防衛 第9代WBO世界ウェルター級王者 アントニオ・マルガリート(メキシコ)
4位の9度防衛には先ほど紹介したホセ・ナポレスのWBA王座9度防衛。
5位には2名が並びます。
まずはパーネル・ウィテカー(米)。
連続防衛数に関してはライト級の4位と7位にもランクインしたウィテカー。
スーパーライトは獲得後すぐに返上。
3階級目となるウェルターで、またも連続防衛記録のトップ10に入ってきます。
ジェームス・マクガード(米)を破って3階級制覇を達成するとフリオ・セサール・チャベス(メキシコ)との
ビッグマッチを死闘の末の引分防衛で乗り切ると、8度の防衛を積み重ねた。
途中、王座在位のままスーパーウェルター級王座を獲得して4階級制覇を達成。
スーパーウェルターは返上して、ウェルータ級王座の防衛を続けていきます。
9度目の防衛戦では、新時代のスーパースター、デラホーヤの前に陥落。
超ビッグマッチの末にデラホーヤに4階級制覇を許してしまう。
これ以降のウィテカーは、何度もコカインの使用が発覚し、試合がノーコンテストに変更されたり
試合自体が中止になってしまったり…。
トリニダードへの挑戦を叶えるものの、この試合で敗北。
次の時代のスターにバトンを渡して、世界戦の舞台から姿を消しました。
2人目はサイモン・ブラウン。
タイロン・トリス(米)との王座決定戦を制してIBF王座を獲得。
当時はまだマイナー王座だったIBFだったが、7度の防衛を積み重ねて8度目の防衛戦…
これがWBC王座との統一戦となり、WBC王者だったモーリス・ブロッカーを攻略。
二つのベルトを統一し、実力を証明してみせる。
WBC王座の獲得がきっかけでIBF王座は返上。
しかし次戦、ジェームス・マクガート(米)に敗北してWBC王座を陥落。
標準を2階級制覇に絞り、スーパーウェルターへと去っていきます。
ブラウンが2階級制覇を達成した試合、テリー・ノリス(米)を驚きのアップセットで退ける…
リマッチではリベンジされてしまいますが、ブラウンvsノリスは激戦として名を残します。
ノリスにリベンジを許してスーパーウェルターを追われた後は3階級制覇を目指すものの…
叶うことなくキャリアを終えました。
7位には7度防衛で6名。
まずはカリー兄弟の弟、ドナルド・カリー。
アマチュア最強の名を欲しいままにし、400勝以上してわずかに4敗。
プロ転向後も順調に勝ち進み、16戦目でファン・ジュンソク(韓)との王座決定戦を制してWBA王座を獲得。
2度目の防衛戦でマーロン・スターリング(米)を破ると設立されたばかりのIBFに初代王者として認定される。
WBA6度目の防衛戦ではWBC王者のミルトン・マクローリー(米)を圧倒して3団体を統一。
8度目の防衛戦で、1980年代後半をけん引したロイド・ハニガン(英)に王座を明け渡し、6R棄権で陥落。
長期間ではないが、その瞬間、ウェルター級最強を誇示した選手の一人。
「ハグラーを倒すのはカリーしかいない」…なんて言われたほど。
ハニガンに敗れた後は2階級制覇を達成するものの…
以前ほどの無敵状態ではなくなり、ルネ・ジャコー(仏)に衝撃のアップセットで敗北。
以降は3階級制覇に失敗、テリー・ノリスに敗北するなどし、
その輝きを取り戻すことのないまま引退している。
「バズーカ」と異名されたアイク・クォーティ。
ソウル五輪に出場したオリンピアン。
クリサント・エスパーニャ(ベネズエラ)を衝撃のKO劇で下して王座を獲得。
一気に世界の注目を集め、そのまま4年2ヶ月の在位。
ウィテカー、トリニダードと同時期にベルトを巻いており、
クォーティを含めた3強が王座を支配していた。
WBC王者のオスカー・デラホーヤとの対戦を求めたために王座をはく奪。
試合では互角の戦いを見せながら、最終回にダウンを奪われデラホーヤの逆転勝利…という劇的な戦い。
3強時代を終わらせたデラホーヤは、さらに名声を得ていく。
そのオスカー・デラホーヤも7度防衛でランクイン。
4階級目としてウェルターに挑み、パーネル・ウィテカー(米)から王座を奪う。
その後、チャベスやクォーティなどとのビッグマッチを勝ち抜きながら王座を7度防衛。
最後は、トリニダードに敗れて王座を陥落…すぐに再獲得するものの、
その後はウェルターにとどまらず、6階級制覇を果たしてきます。
カルロス・パロミノは中量級黄金時代のひとつ前の世代の王者。
パロミノの前にはホセ・ナポレスがおり、人気王者に挟まれてしまった形で
どうしても名前が挙がることが少なくなっている。
7度の防衛の中にはラスベガスのリングで龍 反町(野口)を破ったた星も含まれる為、
もっぱら龍の敵役として語られることが多い。
最後はウィルフレド・ベニテス(プエルトリコ)に三階級制覇達成を許す形で、小差判定での陥落。
さらに初期のWBOからマニング・ギャロウェイ。
ベアブロ・ボイキン(米)との王座決定戦を制すると、2度目の防衛戦からはすべて敵地。
世界中を巡りながら防衛を続けた。
ゲルト・ボー・ヤコブセン(デンマーク)との2度目の対戦となった7度目の防衛戦は、負傷による無効試合。
8度目の防衛戦で再戦し、判定で王座を陥落。
強固なディフェンスで5年間の長期政権を築いた。
最後に「ティファナの竜巻」アントニオ・マルガリート。
米国生まれのメキシカン。
ダニエル・サントス(プエルトリコ)に挑んだ世界初挑戦は無効試合で涙を飲むも、
次の試合でアントニオ・ディアス(メキシコ)との王座決定戦を制してWBO王座を獲得。
3度の防衛後、王座を保持したまま1階級上のチャンピオンとなっていたサントスと再戦。
しかし、この試合では負傷判定で敗北。
複数階級制覇に失敗したことで、ポール・ウィリアムス(米)に敗れるまで
ウェルター級王座の防衛テープを7度に伸ばすことになる。
王座陥落後もWBAやIBFの王座を獲得するなど、トップ選手として活躍。
シェーン・モズリー(米)に敗北、ミゲール・コット(プエルトリコ)に勝利するなど
ビッグネームの一角として活躍したものの、バンテージの中に異物を仕込んでいたことが発覚。
その名は地に落ちるものの、1年間のサスペンデッドが明けると、
ミゲール・コットとの再戦や、マニー・パッキアオ(比)の6階級制覇を賭けた王座決定戦など
しぶとくトップ戦線にとどまった。
さて、現役王者で最も防衛数が多いのがキース・サーマン(米)の6度。
ショーン・ポーター(米)とのビッグマッチも切り抜け、トップ10入りまであと1度の防衛。
しかし、次戦はWBC王者のダニー・ガルシア(米)との王座統一戦。
この正念場をクリアすれば、サーマンの名はこの階級で飛び抜けたものとなるはず。
超ビッグネームのパッキアオがWBO王座に君臨。
彼はワールドツアーに出る…とのこと。
このツアーが最後まで完結するかは不明ですが…、実際に次戦は豪州。
もしも最後まで敢行されるのであれば、フィナーレはラスベガス。
そこで行われるはずの頂上決戦まではかなりの時間を要すると思われる。
サーマンが待ち切れずに複数階級を狙う可能性もあり…
しかしとどまり続け、そしてパッキアオが生き残り続けるのであれば…
様々な障壁を乗り越えて二人がぶつかる可能性も。
もしそんなことが起こるのであれば…本当の意味で時代のバトンが次の世代に受け渡される。
…そんなふうに感じてしまいます。
日本人世界王者がまだ生まれていない階級…。
しかし、現在、国内戦線が抜群に面白いのもウェルター級。
様々なステージに魅力が詰まりまくっています。
※記録は2017/1/23時点
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