スーパーミドル級世界王座連続防衛回数ランキング(記録関連) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2017/05/31

スーパーミドル級世界王座連続防衛回数ランキング(記録関連) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2017/05/31

 

さて、階級別連続防衛数ランキング。
本日はスーパーミドル級。

複数階級制覇の重さも増し、さらに実力は古豪も多く、ニューフェイスも多い。
ミドルの激戦の陰に隠れやすいがいつの時代もバラエティに富んだ面白さがあるのがこの階級。 

※WBA以前、NBA時代は除く。 

スーパーミドル級世界王座連続防衛回数トップ10

160~168ポンド (72.575~76.204kg)
初代王者はWBAがパク・チョンパル(韓)、WBCがシュガー・レイ・レナード(米)
レナードの5階級制覇の為に創設されたと言われた階級。
WBCの初代王者決定戦はライトヘビー級王者のドニー・ラロンド(カナダ)を
スーパーミドルウェートまで落とさせスーパーミドルとライトヘビーの2階級の王座が賭けられるという
超特殊マッチとなった。

それから既に30年弱。
17階級通じてトップ10に入る長期連続防衛王者が複数産まれている。

 

第1位 21度防衛 第10代IBF世界スーパーミドル級王者

スベン・オットケ(独) 

「ファントム」とあだ名された技巧派。
在位期間は1998年10月24日 – 2004年。 

アマチュア戦績は256勝47敗5分。
バルセロナとアトランタの2度、オリンピック出場。

アマエリートとしてプロ転向しチャールズ・ブルワー(米)に勝って王座獲得。
バイロン・ミッチェル(米)からWBAのベルトを奪って王座統一。

プロでは34戦34勝(6KO)。
この階級では驚きのKOの少なさ…。
圧倒的と言うよりは、際どい試合を着実にモノにして王座を守り続けました。
距離と間合いの支配者…超絶の技巧派王者だったりします。

全勝のまま引退したのはロッキー・マルシアノ(米)以来2人目。
2008年にお互い1戦限りの復帰戦として全階級通じての連続防衛回数1位の
ダリス・ミハエルゾウスキー(ポーランド)との試合が期待されつつ実現せず。

 

第2位 21度防衛 第4代WBO世界スーパーミドル級王者

ジョー・カルザゲ(英)

人呼んで「ウェールズの誇り」
在位期間 1997年10月11日 – 2008年9月。

アマチュア戦績、120戦110勝10敗。
アマのリングでは3階級で英国チャンピオンに輝き、プロ転向後も圧倒的手数で
一気に頭角を現し、トップホープとして注目を浴びる。
クリス・ユーバンク(英)とのベテランvsホープの英国対決は激戦となり…判定の末に王座を獲得。

強者を倒しながら評価が上がらなかったカルザゲ…。
しかし、最終的に3団体統一に成功し、直前にはIBFのベルトも獲得していた(獲得直後に返上)ため、
事実上の4団体制覇王者として再評価される。

3団体統一戦となったミッケル・ケスラー(デンマーク)との決戦が激戦だったことや
ケスラーがカルザゲとは対照的に評価の高い選手だったこともあり、
この試合をきっかけにカルザゲの評価は一気に急上昇した。

ノンタイトルでバーナード・ホプキンス(米)や、ロイ・ジョーンズJr(米)さえも破り、
オットケに続いてパーフェクトレコードで引退。
46戦46勝(32KO)。 

同じく連続防衛回数3位のスベン・オットケとは階級と在位時期が重なっており
対戦も何度か浮上しましたが、実現することなく、お互いパーフェクトレコードで引退となりました。

第3位 14度防衛 第2代WBO世界スーパーミドル級王者

クリス・ユーバンク(英)

息子のクリス・ユーバンクJr(英)はWBA暫定王座を獲得。
“悪の破壊者”ナイジェル・ベンとの死闘を制してWBO世界ミドル級王座獲得。
3度目の防衛戦ではマイケル・ワトソン(英)から際どい判定で王座を防衛。
両者は空位のWBO世界スーパーミドル級王座を賭けてリマッチに挑む。

この試合、絶体絶命のダウンを喫したユーバンク。
大逆転のTKO勝利でワトソンをリングに沈めたが、
脳に障害を負ってしまったワトソンはそのままリングに上がれない体に。

その後、ユーバンクは不幸な事故を乗り越え防衛を重ね、
8度目の防衛戦、WBC世界スーパーミドル級王座を獲得していたナイジェル・ベンとの統一戦。
リマッチとなった試合では初戦と同じく激戦となり、引分での両者防衛。

15度目の防衛戦でスティーブ・コリンズ(アイルランド)に際どい判定を失い陥落。 

クリス・ユーバンクJr vs ニック・ブラックウェル(英)。
息子のユーバンクJrにコーナーでセコンドとして出した指示。

「レフェリーが試合を止めないのであれば、レフェリーに任せておいてはいけない。
 これからは相手の顔ではなく、ボディーを狙っていけ。」

この試合でブラックウェルは昏倒。
しかし、意識を取り戻し会話ができるまで回復。
自身のつらい経験がブラックウェルの命を救いました。

さて、4位以下はこんな感じ。

第4位 9度防衛 第3代WBC世界スーパーミドル級王者 ナイジェル・ベン(英)
第4位 9度防衛 第14代IBF世界スーパーミドル級王者 ルシアン・ブーテ(ルーマニア)
第6位 8度防衛 第2代IBF世界スーパーミドル級王者 パク・チョンパル(韓)
第7位 7度防衛 第8代WBA世界スーパーミドル級王者 フランク・ライルズ(米)
第7位 7度防衛 第3代WBO世界スーパーミドル級王者 スティーブ・コリンズ(アイルランド)
第9位 6度防衛 第7代WBO世界スーパーミドル級王者 ロベルト・ステイグリッツ(独)
第10位 5度防衛 第スーパー代WBA世界スーパーミドル級王者 アンドレ・ウォード(米)
第10位 5度防衛 第16代WBC世界スーパーミドル級王者 マルクス・バイエル(独)(3期目)
第10位 5度防衛 第8代IBF世界スーパーミドル級王者 ロイ・ジョーンズJr(米)
第10位 5度防衛 第10代WBO世界スーパーミドル級王者 アルツール・アブラハム(独)(2期目)

 

4位には9度防衛の2人。

“悪の破壊者”ナイジェル・ベン。
連続防衛14度で3位にランクインしたクリス・ユーバンクと二度の激闘を演じた男。

WBO世界ミドル級王座を獲得すると、後にトーマス・ハーンズ(米)を2度破って
3階級を制するアイラン・バークレー(米)を1Rで沈めて初防衛。
2度目の防衛戦では名勝負となるクリス・ユーバンクとの大激戦に逆転TKOで敗北。

階級をスーパーミドルに上げるとWBC王座を獲得し、長期政権を築いた。
4度目の防衛戦ではWBO世界スーパーミドル級のベルトを持ったユーバンクとの再戦。
結果はドローでお互いに王座防衛となる超大激戦。

8度目の防衛戦では元WBO/WBC世界ミドル級王者のジェラルド・マクレラン(米)
2度ダウンを奪われ敗北寸前から大逆転のKO勝利。
名王者のマクラレンが半身不随、失明となりリングを追われる不幸な事故ともなった試合。

10度目の防衛戦、かつて破っているスラニー・マリンガ(南ア)との再戦にまさかの敗北し王座を陥落。
その後、WBOのベルトを巻いていたスティーブ・コリンズに2度挑戦するも叶わず引退している。 

ルシアン・ブーテ。

1999年の世界ボクシング選手権に出場。
ウェルター級で銅メダルを獲得している。
トップアマとしてデビューすると、元2階級制覇王者のディンガン・トベラ(南ア)を破って台頭。
アレハンドロ・ベリオ(コロンビア)からIBFのベルトを奪って、9度防衛の長期政権を築く。
防衛ロードの中にはミドル級で3度王座返り咲きを果たしたウィリアム・ジョッピー(米)
2階級制覇を阻んだ試合もある。

10度目の防衛戦ではスーパーシックス準優勝のカール・フローチ(英)と対戦。
過去に2度WBCのベルトを巻いているフローチに
3度目のメジャータイトル獲得を許す敗北で王座を陥落している。

その後、3度の世界挑戦を叶えることができず、昨年ドーピングテストで陽性が出たことで処分を受けるも
出場停止期間は既に終わっており、今年2月に復帰戦を戦っているが…
WBCの指名挑戦権が賭けられたその試合で、エレイデル・アルバレス(コロンビア)に敗北。

今後の動向が気になるところである。

6位には8度防衛でパク・チョンパル。

OPBF東洋太平洋ミドル級王座決定戦でカシアス 内藤(船橋)を破って地域王座を獲得。
欧米中心のこの階級ではチャンスに恵まれず、アジアの片隅でOPBF東洋太平洋を15度も防衛。
16度目の防衛戦でラ・ギョンミン(韓)に敗北してOPBFを手放すも、再戦に勝利して王座奪回。

チャンスが訪れたのは新興IBFのスーパーミドル級王座。
団体も階級も歴史が浅い時代ではあったが、激戦続きで米国で超人気を誇った
マレイ・サザーランド(英)からベルトを奪い、第2代IBF世界スーパーミドル級王者となる。
この王座は8度防衛後に返上。

その後はWBA世界スーパーミドル級王座決定戦に出場し見事に王座獲得。
1度の防衛を記録して陥落している。 

7位には7度防衛で2名。

まずはフランク・ライルズ。
米国の国内大会を複数制したトップアマとしてプロ転向。

スティーブ・リトル(米)からWBA王座を奪うと
元2階級制覇王者のマイケル・ナン(米)らを破って7度連続防衛。
8度目の防衛戦で、バイロン・ミッチェル(米)を相手に王座を陥落している。

引退後はK-1の武蔵のトレーナーを務めており、
民放TV局の画面にもたびたび映し出されることがあった。 

続いてスティーブ・コリンズ。

世界初挑戦はミドル級。
“ボディスナッチャー”と呼ばれ長期政権を築いた
WBA王者のマイク・マッカラム(ジャマイカ)に敗北。
さらにはレジー・ジョンソン(米)とのWBA世界ミドル級王座決定戦にも敗北。
3度目の正直でクリス・ピアット(英)を相手に大逆転を演じる5RTKOでWBO世界ミドル級王座を獲得。

WBO世界ミドル級王座をすぐに放棄し、スーパーミドルへ階級を上げると
WBO王者だったクリス・ユーバンクに挑戦。
ダウンの応酬の末、ユーバンクの長期政権の牙城を崩して判定勝利。

再戦でも際どく勝利、さらにユーバンクのライバルでもあり
WBC王座を9度防衛したナイジェル・ベンも2度退ける。

スーパーミドル級の一時代前を占有していたユーバンクとベン両者に勝利し、
次時代を受け継ぐ形で7度の防衛を記録。
2年4ヵ月間、王座に在位すると、”セルティックの戦士”と呼ばれた男は王者のまま引退。

9位にはロベルト・ステイグリッツの6度。

ロシア生まれのドイツ人。
アマチュアで90戦80勝の戦績を残してプロ転向。
デビューから7年の歳月を経てIBF王座に挑戦するも、
アレハンドロ・ベリオ(コロンビア)に敗れて挑戦失敗。
そこから1年半後にカロリー・バルザイ(ハンガリー)からWBO王座を奪って6度防衛。

WBC世界ミドル級10度連続防衛のアルツール・アブラハムの
3度目となる2階級制覇挑戦を受けて敗北。
アブラハムに2階級目のベルトを献上している。

アブラハムとは1戦挟んで7ヶ月後に再戦。
4Rで沈めて王座返り咲きを果たす。

2度目の政権では日本の清田 祐三(フラッシュ赤羽)を10RTKOで破って初防衛を飾るも
3度目の防衛戦ではラバーマッチとなったアブラハムとの試合に敗れて、またも陥落。

さらにその1年4ヶ月後、4試合目となるステイグリッツのアブラハムへの挑戦が組まれるも…
敗れて3度目の返り咲きは成らず。

その後は階級を上げて再起3連勝を飾り、現在はEBU欧州ライトヘビー級王者として2階級制覇を睨んでいる。

10位には5度防衛で4人が名を連ねる。
新陳代謝が激しく、5度でトップ10入りしてしまう。 

アンドレ・ウォード。

S.O.G…San Of God(神の子)と呼ばれる、現三団体統一ライトヘビー級王者。
スーパーミドル級では5度の連続防衛を記録している。

アテネ五輪で米国に2大会ぶりの金メダルをもたらしプロ転向。
デビューから大きな期待を背負っていたが、期待が大きすぎての「期待はずれ」の声も。
世界王座獲得経験はないものの、それに匹敵する実力は誰もが認めるところだったウォード。

スーパーミドル級のスター選手たちが集ったビッグトーナメントである、スーパーシックスに参戦。
1stステージでは元WBA/WBC統一王者でこのときは
WBAのベルトを巻いていたミッケル・ケスラーと対戦。
負傷判定でベルトを手に入れる。

2ndステージではアラン・グリーン(米)を相手に勝利し、準決勝進出を決めるとともに初防衛。
途中2度目の防衛戦を挟んで突入した準決勝では、
ミドル級10度防衛の実績を持つアルツール・アブラハムを大差判定で破って
アブラハムの2階級制覇を阻止しての3度目の防衛を飾るとともに、決勝進出。

決勝ではWBCのベルトを巻くカール・フローチを破ってWBC王座を吸収し、WBA4度目の防衛。
スーパーシックスというスーパーミドル級史上最大規模のトーナメントで優勝を飾る。
1度防衛を加えると、契約問題などでブランクを作る。

その後スーパーミドルのベルトを返上。
ライトヘビー級に進出し、3団体統一王者のセルゲイ・コバレフ(ロシア)を破って
一気に3本のベルトを手に入れて現在に至る。

コバレフ戦では2度のダウンを奪われながら僅差判定勝ち。
グレー決着とも言える試合…リマッチが6月16日にセッティングされている。

マルクス・バイエル。

アトランタ五輪に出場したオリンピアンとしてプロデビュー。
リッチー・ウッドホール(英)からWBC王座を奪うも1度防衛後、
グレン・キャトリー(英)を相手に陥落。

3年の月日を経てエリック・ルーカス(カナダ)から王座を奪うと今度は2度防衛。
3度目の防衛戦でクリスチャン・サナビア(イタリア)にスプリットの判定で陥落。

この試合はダイレクトリマッチが組まれ、4ヶ月後、KO決着できっちりと白黒つけて王座奪回。
初防衛戦では西澤 ヨシノリ(ヨネクラ)を下すと、
2度目の防衛戦では暫定のベルトを巻くダニー・グリーン(豪)との王座統一戦。
過去に反則勝ちで決着している相手とのリマッチで、ダウンを奪われながらも判定で勝利。

防衛テープは5度まで伸びたが、WBA王者だったミッケル・ケスラーとの王座統一戦に敗北。
連続防衛数では5度とそれほどの長期政権には見えないものの、通算では8度防衛。
2度目の王座獲得以降、3年半にわたってWBC世界スーパーミドル級タイトルマッチを戦い続けたことになる。

ロイ・ジョーンズJr(米)

現在48歳の現役選手。
かつてパウンドフォーパウンドと呼ばれた男。

圧倒的なスピードを武器に、ミドル級からヘビー級の間でクルーザー級を除く4階級を制覇。
3階級目となったライトヘビー級で長期政権を築き、まさかのヘビー級制覇までしてしまったジョーンズ。
スーパーミドルでも5度の防衛を記録している。

ソウル五輪では銀メダル獲得。
決勝戦は、これがきっかけでアマチュアボクシングが大改革されるほどの不可解判定で敗北。
泣き崩れるジョーンズの姿は「盗まれた金メダル事件」としてボクシング史に残る。

プロ転向後、順調に勝利を重ね続け、
こちらも名王者となるバーナード・ホプキンスとIBF世界ミドル級王座決定戦を争って世界のベルトを巻く。
この試合では、試合前から拳を骨折していたと言う…。

しかし、ミドル級のウェートは厳しく、スーパーミドルのウェイトで3戦のノンタイトルを消化後、
1度だけ防衛戦を行い、王座を返上。

スーパーミドル級に参戦してくる。
のちの3階級制覇王者で、このとき2階級目のベルトを巻いていたジェームズ・トニー(米)
まったく寄せ付けずに2階級制覇。

このベルトを5度守って、ライトヘビー級…さらにはヘビー級まで侵略していく…。

アルツール・アブラハム。

ミドル級を10度防衛後、スーパーシックスに参戦しスーパーミドル級のリングに上がるが、
2度の2階級制覇挑戦に失敗。

その後、9位にランクされるロベルト・ステイグリッツから3度目の正直で王座を獲得。
この王座はステイグリッツとの再戦で敗北して陥落するものの、リマッチで返り咲き。
ここからスーパーミドル級5度の防衛を重ねている。

6度目の防衛戦では現WBO世界スーパーミドル級王者のヒルベルト・ラミレス(メキシコ)を相手に王座陥落。

その4ヶ月後である昨年7月に再起。
しかし肘の故障でまたもブランクを作った。

今年4月に入って、ロビン・クラスニキ(独)に勝利。
現在WBO世界スーパーミドル級1位にランキングされている。

37歳になったベテランの最後の華に期待したい。

 

5度の防衛でトップ10に入るのは他階級に比べても少ない数。
トップ3は別格として、4位以降は新陳代謝が激しさを物語る。
その反面、その時代ごとに長期政権王者も存在し、2面性を持った階級とも思える。

さて、トップ10には南米からの王者が入っていない。

南米選手がスーパーミドル級で王座を防衛したのは
ビクトル・コルドバ(パナマ)のたった1度きり。 

デビューから4戦1敗3分とつまずくも以降を17勝1敗として
世界挑戦のチャンスをつかんだコルドバ。
ロス五輪メダリストからプロ転向し、全勝でペク・インチョル(韓)から
ベルトを奪っていたクリストフ・ティオゾ(仏)へのアタック。
これを9RKOで制して第5代WBA世界スーパーミドル級王者となる。

後にWBCのベルトを巻くビンチェンツオ・ナルディエッロ(伊)をリングに沈めて初防衛。
ミドル級から階級を上げてきたマイケル・ナンと2度目の防衛戦を行い、
スプリットの僅差判定で王座を陥落した。

その後はナンとのリマッチで王座奪回を目指したが、今度は大差判定で敗北。
以降、世界戦のリングに辿り着くことなくキャリアを終えている。 

オセアニアではアンソニー・ムンディン(豪)の第15代WBA世界スーパーミドル級王座4度防衛。

プロラグビー選手からボクシングに転向し、世界初挑戦は名王者スベン・オットケに阻まれる。
そこから1年半、サバイバルに生き残り、強豪アントワン・エコーズ(米)との王座決定戦を制して
WBA世界スーパーミドル級王座を獲得。

西澤 ヨシノリの挑戦を退けるも、マニー・シアカ(プエルトリコ)にまさかの敗北。
王座を陥落する。

1年後にかつて自身が巻いていたベルトを巻くミッケル・ケスラーと地元シドニーで対戦するも敗北。
そこから2年の月日を経て、ダニー・グリーンとの挑戦者決定戦に勝利。
WBA世界スーパーミドル級王座決定戦を、
かつて勝利しているサム・ソリマン(豪)と争い、3年ぶりの王座獲得。

この王座を4度防衛後に返上し、2階級制覇を目指してミドル級へ階級を下げる。
しかし、ミドルでの王座獲得は成らず、さらに1階級下のスーパーウェルター級で
WBA世界暫定王座を獲得して2階級制覇を叶えている。 

アフリカからは南アフリカから2名、スラニー・マリンガが2度と
ディンガン・トベラ(南ア)が王座を獲得している。
いずれも防衛叶わず陥落しているが、いずれも大アップセットであり、
二人の名前はスーパーミドル級の歴史からは外せない。 

マリンガは4度目の世界挑戦となった試合、ナイジェル・ベンにまさかの勝利で
南アフリカに初めてのスーパーミドル級のベルトをもたらす。

さらに死神と呼ばれたロビン・リード(英)から王座を奪って返り咲きを果たしたとき、マリンガの年齢は42歳。
こちらもアップセットの一つに含めていいと思われる。 

トベラの王座獲得は異常な獲得劇でもあり、スーパーミドル級史になくてはならない名前。
元々ライト級でWBAとWBOの王座を獲得したことがあったトベラ。
元世界ライト級王者として7年ぶりに上がる世界戦のリングがスーパーミドル級…
あまりにも無謀な挑戦に「南アフリカ史上最大のミスマッチ」と揶揄される。

しかし、試合はグレン・キャトリー(英)を相手に最終12Rの大逆転劇での王座獲得。
5階級飛ばしの2階級制覇に成功し、第11代WBC世界スーパーミドル級王者として名を刻む。

現役世界王者ではジェームス・デゲール(英)の3度が最高。
北京五輪金メダリストのデゲール。

キャリアの途中、強豪相手に躓きはあったものの順調に世界挑戦を射止める。
この初挑戦で、IBF王座を9度防衛していたルシアン・ブーテに判定で勝利。
さらに再戦となった初防衛戦も制し、3度目の防衛戦は王座統一戦。
WBCのベルトを巻いていたバドゥ・ジャック(スウェーデン)と対戦し、引分ての両者防衛。

ジャックはベルトを返上し、ライトヘビーへと進出した為、二人の再戦はすぐすぐにはなさそうな展開。
デゲールはあと2度防衛を重ねれば…と考えると、今年中のトップ10入りもあり得なくはない。 

長らくミドル級以上のランキングが存在しなかった国内ボクシング。
世界王者ももちろん産まれていない。

かつて世界に挑んだ選手たちも海外挑戦を余儀なくされる。
欧米中心となってくるこの階級では、ジャパンマネーは通用しない。
いくら経済大国と言っても不人気日本ボクシングからすれば飛び交う金額が違い過ぎる。

海外に飛び込んで活躍するボクサーが現れ、斬られ役としてリングに上がりながら
アップセットでチャンスをもぎ取る…まさに一昔前の東南アジアのボクサーが
日本人相手に行う構図をそのまま欧米の強豪相手に行う構図が必要となる。

アメリカには…巨大な日本人コミュニティがない。
そこが大きなハンデになっている。
簡単に”本場で試合を…”と口にしたところで…。

強豪にいい勝負ができるだけの実力を持った選手が
自分のボクシング人生を、斬られ役として捧げられるだろうか…。
捧げたとして、チャンスはほぼないに等しく、奇跡のような勝利を重ねなければならない。 

野球に野茂が現れるまで、日本人がメジャーリーグに行くルートは皆無だった。
今はパイオニアが道を切り開くのを待つしかないのかもしれない。

 

※記録は2017/5/31時点

【カテゴリ別】
世界王座連続防衛回数ランキング一覧に戻る

記録関連に戻る

カテゴリ別記事一覧に戻る

【日付別】
【記事一覧】2017年5月に戻る

【記事一覧】2017年に戻る

【記事一覧】に戻る

 

各選手の戦績はこちら。
ボクシング選手名鑑

コメント

タイトルとURLをコピーしました