カルバハル外伝① ウンベルト・ゴンサレス(メキシコ) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2015/10/27
さて、今回のピックアップは…
ウンベルト・ゴンサレス(メキシコ)!
しつこいよ!…って人ごめんなさい。
一昨日までやってたマイケル・カルバハルのピックアップ。
伝説の3番勝負でカルバハルと戦った選手ですね。
もしかしたらお腹いっぱいかもしれませんが、ゴンサレス目線で見た3番勝負もあると思うので…
カルバハル外伝みたいな感じで読んでください。
前回の主役マイケル・カルバハル(米)がオリンピックメダリストとして華やかにデビューしたのは1989年。
当時世界的な人気を誇ったロベルト・デュラン(パナマ)の前座。
のちの世界王者と対戦するという、まさにボクシングファンの期待を一身に受けたデビュー戦。
その5年前、ボクシング大国メキシコで誰に注目されるでもなく、デビューを飾ったのがゴンサレスでした。
アマチュアで実績があるわけでもなく、人気のない軽量級で、対戦相手は1戦1敗の地元選手。
他の選手と何が違うかと言えば…それはトレーナー。
いまや伝説の名伯楽として殿堂入りも果たしたイグナシオ・ベリスタイン(メキシコ)。
育てた選手はリカルド・ロペス(メキシコ)、オスカー・デラホーヤ(米)…
辰吉 丈一郎(大阪帝拳)と対戦したダニエル・サラゴサ(メキシコ)やビクトル・ラバナレス(メキシコ)なんかも
ベリスタインが育てた選手。
ゴンサレスはベリスタインの作品の中でも傑作の部類に入るボクサーへと成長します。
特に注目を集める選手でもなかったゴンサレス…
19戦全勝と国内ランキングを駆け上がり、メキシコライトフライ級タイトルに挑みます。
レコード初期の対戦相手は、地域タイトル獲得者1名、国内タイトル獲得者1名、
マイナー世界タイトル獲得者1名。
かたやメキシコ王者のホルヘ・カノ(メキシコ)は2年前に世界戦に挑んだばかり。
その後、再起をかけるも6戦のうち2敗を喫し後がない状況。
ただし、この2敗の相手はイシドロ・ペレス(メキシコ)とキム・ヨンガン(韓)。
いずれものちに世界を獲るトップ選手なんですね。
つまり、世界戦線バリバリ第一線の実力者。
この当時、WBC世界フライ級にはチャン・ジョング(韓)という絶対王者が君臨。
最終的には15度防衛してベルトを返上したというまさに最強。
のちにミニマム級でWBA/WBCのベルトを統一した”150年に1人の逸材”大橋 秀行(ヨネクラ)や
元WBA世界ライトフライ級王者の渡嘉敷 勝男(協栄)なんかもジョングに敗れています。
絶対王者が長年に渡って世界タイトルを占領していたため、
上が詰まってしまって世界トップクラスの選手が国内タイトルを争う…なんて状況だったんですね。
そんなレベルの高い国内タイトル、ゴンサレスはカノを判定で難なく下してしまいます。
2度の防衛戦も、のちに世界挑戦を経験するツワモノ達を相手にKOで飾り、世界ランキングは急上昇。
世界挑戦のチャンスが訪れるのは必然でした。
ゴンサレスがチャンスをつかんだ時、世界王者として君臨していたのはイ・ヨルウ(韓)。
ジョングは既にベルトを返上しており、22歳の若い王者に23歳のゴンサレスが挑むこととなります。
ヨルウは最終的には23歳という若さで引退することになりますが、それまでに2階級を制した王者。
ジョングじゃないからと言って、当然これっぽっちも弱くない。
この階級のオールタイムグレート、トップ10に挙げられることもあるほど…
そのヨルウをあっけなく、3-0の判定で葬り、全勝で世界王座を獲得します。
そこで初防衛戦の相手となったのが、昨年まで絶対王者として君臨していたジョング。
王座を返上して引退していましたが、伝説はリングに舞い戻り、ゴンサレスのベルトを奪い返しに来ます。
敵地韓国で行われた“レジェンド” ジョングとの決戦、
なんとゴンサレスは(118-111、118-110、119-109)の大差判定でレジェンドをねじ伏せます。
実はジョングが達成した15度の防衛のうちメキシカンから上げた星は7つ。
絶対王者としてメキシカンを倒し続けてきたジョングを若いメキシカンが完ぺきに破り去った。
メキシコ国民大熱狂!ゴンサレスはスター街道を走り始めます。
2度目の防衛戦では全勝で世界戦に駆け上がって来たフランシスコ・テヘドール(コロンビア)を下し、
最終的には5度の防衛を数えます。
そして6度目の防衛戦。
迎えたのはローランド・パスクア(比)。
格下と見られていたパスクァとの試合、6RKOで敗れ去ります。
インファイト、ミドルレンジ、ロングレンジとハイクオリティでこなすゴンサレスですが、
大逆転のKO負けを喫したり、格下によもやの敗北を味わったり…こういった脆さもあった。
その脆さが伝説の試合を巻き起こすわけなんですが…
かくして、初の敗北を味わったゴンサレス、わずか3カ月後には再起し、
半年後には失ったベルトを取り戻すべく、パスクァからベルトを奪っていた、
メルチョール・コブ・カストロ(メキシコ)に挑みます。
この試合を判定でものにし、防衛ロードを仕切り直し。
防衛戦では全勝のドミンゴ・ソーサ(ドミニカ共和国)や
ミニマム級からの2階級制覇を狙うナパ・キャットワンチャイ(タイ)、
ソウル五輪金メダリストのキム・グァンソン(韓)
メルチョール・コブ・カストロとの再戦…
いずれも制して4度の防衛に成功。
ちなみにキム・グァンソンとの試合ではポイントリードされながら、12Rで大逆転KO勝ち。
メキシコ国民の熱狂は加熱の一途を辿ります。
前回の王座獲得から、累計9度の防衛…。
ここでIBFのベルトを6度防衛していた、カルバハルとの統一戦が持ち上がります。
この第一戦はマイケル・カルバハルのピックアップ 第2回で詳しく書きましたので詳細は割愛します。
インファイトでカルバハルから2度のダウンを奪い圧倒していたゴンサレス、
7Rに強烈なショートフックをもらい、大逆転KO負けを許します。
これを境に、[軽量級のスーパースター]だったカルバハルは[ボクシング界のスーパースター]に。
かたやゴンサレスは、その引き立て役…。
1発のショートフックがまさに、2人の立場を天と地ほどに引き離しました。
ただ、それまでその試合を圧倒的に支配していたのはゴンサレス。
二人がどこかで転ばない限り、再戦するのは時間の問題でした。
とりあえず今日はここまで…
この後の展開をがっつり書きたいので…
明日、カルバハルの方ではふわっと流した、伝説の第2戦、第3戦を中心にお送りします。
そんなわけで…
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