4階級制覇! レオ・ガメス(ベネズエラ)⑤ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/04/21

4階級制覇! レオ・ガメス(ベネズエラ)⑤ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/04/21

 

もう5日目になってしまいました…
本日もレオ・ガメス(ベネズエラ)。 

前回ようやく3階級を制したガメス。 

ここまで初の王座獲得から11年。念願の3階級制覇。
何度も遠回りし、サクサクと獲得できた王座など一つもなかったガメス。
そんなガメスに驚きのチャンスが。

強豪ホスエ・カマチョ(プエルトリコ)を相手にした、
WBA世界スーパーフライ級暫定王座決定戦へのオファー。

WBA世界フライ級王座在位ながら挑むことが許されたこの王座を獲得するため
プエルトリコに乗り込み圧倒的に6RTKO勝利。

4階級制覇を達成します。
複数階級同時王者となったガメスは、規定に沿っていずれか一方を返上する必要があった為、
獲ったばかりのスーパーフライ級のベルトを返上。

フライ級王座の防衛戦にタイへ移動。
しかしこの試合前、ガメスを悲劇が襲います。
ガメスと帯同していた弟が現地で射殺される事件。

失意のまま、ソーンピチャイ・クラティンデーンジム(タイ)と戦います。

手数やヒットでは上回るものの、ソーンピチャイの振り回す強打は物凄い。
ラウンドが進むにつれプレッシャーを強めるソーンピチャイ。
ガメスは警戒して手数が減ってしまい…。
3Rにはウィービングするソーンピチャイに不用意にジャブを伸ばしたところで…
強烈な左右のフックを叩き込まれダウン。

4Rに入るとガメスは接近戦を挑みます。
ある程度距離を取っていたガメスですが、それで勝ち目がないと見るや
距離を詰めて真っ向から撃ち合いを挑むわけです。

そしてその撃ち合いで撃ち勝ち…一気に攻めて出るガメス…防戦一方になるソーンピチャイ。
しかしソーンピチャイはガメスに起死回生の左ストレートをカウンターで撃ち込み…
わずか一撃で状況を引き戻すダウン。 

再開後はラッシュで仕留めにかかりますが、残り時間は少なくゴング。 

5Rにはレフリーへローブローのアピールをしたガメス…。
しかしそのすきにボディへの左ストレートを撃ち込んだソーンピチャイ。

これはかなり効いたか、ガメスのハンドスピードが一気に失われ…
ロープ際で動けなくなったガメスに、ソーンピチャイは幾度も幾度もボディに左ストレートを突き刺します。

6R以降も前に出続けるガメスに対し、上にも下にも強打を撃ち込みしこたま効かせたソーンピチャイ。

そして迎えた8R。
撃ち合いの中でガメスの右ストレートがカウンターで入り…逆転KOの大チャンスに。
たたらを踏んで交代するソーンピチャイ。

一気に攻勢にでるガメス。
ソーンピチャイを滅多撃ちにし、あわや逆転KOかという展開の最中…。

ソーンピチャイの強烈な左ストレート一撃。
背中からばったりと倒れ込むガメス。

立ち上がりはしたものの、テンカウントに間に合わず…。
サウスポーの左ストレート…ガメスが生涯苦手としたパンチで逆転KOを逃し、8RKO負けを喫します。 

実は僕はこの試合が大好き。
4階級を制した老兵ガメスをソーンピチャイが破格の強打で撃ち破った試合。
ダウンを奪われてなお、勝機を見出すためにより激しい撃ち合いを挑んだガメス。
あと一歩までソーンピチャイを追い込みながら、無情にもガメスの希望を撃ち砕いたソーンピチャイの一撃。

撃たれ強いはずのガメスを何度も何度もマットに這わせたソーンピチャイの強打も魅力満載ですが
何度も何度も立ち上がって撃ち合いを繰り広げる様は、まさに戦士を思わせる…。
凄まじい試合。

なにはともあれ40戦目にして初めてのKO負けを喫したガメス。
王座を失ったガメスはスーパーフライ級の正規王座を目指します。

4階級制覇したとはいえ、一つは暫定のベルト。
すべて正規のベルトで揃えようと…久々に来日したガメス。

WBA世界スーパーフライ級王者戸高 秀樹(緑)へ挑みます。

このとき、ガメスは37歳。
ふた回りほど小さく見えるガメスですが…。
真っ向から撃ち合おうとする戸高をあざ笑うかのように、
近い距離でも正面には立たず、自らの強打をたたき込んでいく。

かたや戸高はこの試合前、眼性麻痺を発症しており、物が2重にも3重にも見える状態。
師事するトレーナー マック・クリハラの拠点である、
ロサンゼルスで張ったキャンプでは鼻骨を骨折し緊急帰国。
充分に調整もままならない状態で挑んだ試合。

強烈なアッパーを含め、強打をモロに食らい続けた戸高。
特に3Rの脇の下から差し込むように振るわれたアッパーは強烈。
既に序盤にはダメージが蓄積されてしまったか…。

中盤に入って、若干ガメスが失速し、相撃ちの場面が増えるものの、
戸高が撃ち負ける展開は変わらず…。

7R、強烈な右ストレートをもらって意識を飛ばされた戸高。
後ろにゆっくり倒れかけますが、ロープにバウンドし、ダウンを回避。
「来い!」と叫びながら、仕切り直して撃ち合いに挑むものの…
強打をいくつかもらったところで、最後は向かい合った状態から糸が切れるように崩れ落ちます。

強打を延々ともらい続けた戸高のダメージを深いと見た陣営。
緑ジムの松尾会長がリングに飛び込み試合を止めます。
試合後には戸高の顎の粉砕骨折が判明。

小さなガメスが戸高の顎を粉々にしての7RKO勝利。
ガメス強しを日本のファンに見せつける結果に。

これで正真正銘の4階級を制覇し、今年で引退すると宣言したガメス。
王者のまま引退…を目指し、初防衛戦ではまたも来日。
相手は苦手のサウスポー、セレス小林(国際)。 

日本人3連勝としていたガメス。
負けても引き分けでも引退と公言するセレス小林を5Rまでに倒すと豪語します…が…。

身長差15cm。リーチの長いガメスでもこの階級では数cmながらリーチまでも上回られてしまい…。
前傾に構える懐の深いサウスポーの小林。

体格の利を生かしたセレスの長い射程のボディストレートに対し、距離を縮めることができないガメス。
距離が詰まるとセレスのショート連打が飛んでくる。

しつこく徹底してボディを攻める小林。
3Rには既にボディが効いてしまったようにも見えるガメス。
このダメージがさらにガメスを後手に回らせます。

中盤には目尻をカット、鼻血を吹きだし…。
この鼻血も展開を不利にしてしまう。
口呼吸となり、呼吸を容易に整えられず、スタミナを奪ってしまいます。

圧倒的に不利に立ちながら、たまにセレスを捉える右アッパーは、
試合をひっくり返す可能性を秘めた威力を残します。

試合が進むにつれて歴戦の戦士ガメス、徐々に、徐々に小林を捉える機会も増えていき…
展開を盛り返すかと思われたものの、6Rにはボディだけでなく、
上下に撃ち分け始めた小林に捕まってしまう。

劣勢の展開の中、9Rに勝負をかけて前に出るガメス。
強烈なアッパーを入れて小林を下がらせます。
ラウンド終盤は激しい撃ち合い。

10R、ガメスは逆転KOに向けて、強打を振るいながら猛烈に前へ出ていきます。
しかし蓄積されたダメージは大きく、最後は撃ち合いのさなかで左ストレートをもらい前のめりに崩れます。

このセレスの左ストレート。
ガメスが苦手とする左ストレートをこの試合に向けて磨いたもの。
「ロケット」と命名したこの左で、ガメスを撃ち砕きます。

立ち上がるものの、ガメスは足元が定まらず…試合はストップ。 

初めて日本王座に挑戦した時、日本王座史上最も弱い挑戦者と叩かれた小林。
そんな男が強豪ガメスを完璧に撃ち破っての21世紀初の日本人世界チャンピオン。
小林陣営全員が号泣する王座獲得劇。

このシーンは僕が見てきたボクシングの中で、最も好きなシーン。

かたや10RTKOで敗北したガメス。
日本で獲得したベルトを日本に置いて帰ってくる結果に…。 

これで引退と思われたガメス…ですが。
1年ほどブランクを作るも、この時点で史上4人目の5階級制覇を目指して再起。
再起戦を勝利で飾るとすぐさま世界挑戦。 

初の欧州、デンマークへ渡りジョニー・ブレダル(デンマーク)の持つWBA世界バンタム級王座に挑戦します。
…が、やはり体格差は如何ともしがたく。
しかし39歳にも迫ろうかというガメス…衰えは感じさせず、後半を盛り返し…。

それでも一歩及ばず、この試合を判定で落とします。
ここまでか…と思われたガメスですが、1年待機するとガメスにまたもチャンスが…。

ブレダルの防衛戦が決まらず、王座返上の可能性があった為、WBAが暫定王座を設置。
この王座決定戦のオファーが届きます。

相手は3年前、顎を割ったうえで勝利した戸高 秀樹(緑)
WBA4位と5位での決定戦が行われます。

5階級制覇を目指して… 

今日もやたらと長くなって…というわけで、この続きはまた明後日。
いやぁ…ガメス濃いわぁ。

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