2018/5/5 -後楽園ホール- ファイナル(中日本ボクシング観戦記番外編) ボクシング選手名鑑ピックアップ!

2018/5/5 -後楽園ホール- ファイナル(中日本ボクシング観戦記番外編) ボクシング選手名鑑ピックアップ!
 
 

 

【バンタム級6回戦(JBC公認/非公式戦)】
亀田 興毅(協栄) 2RTKO ポンサクレック・ウォンジョンカム(タイ)
 

ポンサクレックの入場に様々な思いがよぎる。
このタイ人がフライ級の世界王者として君臨した全盛期、日本国内のフライ級も群雄割拠だった。
しかし、誰が挑んでもことごとくポンサクに圧倒され、
世界クラスの試合が国内タイトルなどで消費されることもあった。
この男さえいなければ、あの当時、何人の日本人世界王者が産まれていたことだろうか。
内藤 大助(宮田)が3度目の挑戦にしてようやくポンサクレックを破った時は、奇跡が起こったと感じた。

カオサイ・ギャラクシー(タイ)ウィラポン・ナコンルアンプロモーションといった
タイの名王者と比類する伝説の一人。
日本国内でこの男をリングの上で見られるのは、まず最後だろう。
しっかり目に焼き付ける…。
リラックスし、笑顔の入場。
 

続いて興毅の入場。
興毅を先頭とした亀田トレインは久々。亀田 姫月(亀田)
そして亀田 京之介(協栄)が増えて少し長くなった亀田トレインに月日の経過を感じる。
世界初挑戦から12年ほど…まだ未成年だった興毅がネット民含む
大人のオモチャにされて…ほんとに色々あった。

いちボクサーが、ボロクソ言われることに対して、僕自分も相当に苦しかった。
選手の努力は明らかなのにそこさえ認めずただただ罵倒して…。
JBC職員がねつ造した恫喝・暴行の冤罪を被り、
不条理にライセンスまで剥奪され、最後はアメリカのリングでキャリアを終えた。

そんなことを思い出したら、もうボロボロ泣けてきた。
ここまで頑張ってきた、やっと戻ってきた日本のリング。
ネット上は相も変わらず荒れているが、この場所…
この日の聖地後楽園ホールは興毅を一体となって応援していた。

リングに上がる背中に身震いする観客もいる。
これまで、こんなボクサーズロードを歩いた男がいただろうか。
ネット上ではない現実…そこには亀田興毅を熱く見守るファン達がいて、
そしてリングに上がる彼の背中を見守る。

1Rのゴングが鳴る。
コンディションのいい興毅に対して、明らかに衰えを感じさせる足取りのポンサクレック。
40歳を迎えるポンサクレックに、月日の経過を感じる。

試合は2Rに興毅がしっかり崩した上で左ストレートを炸裂させてのTKO勝利。
崩れ落ちるポンサクレックにノスタルジーと哀愁を感じる。
世界の頂点を争ったり狙ったりする試合ではもちろんない。
それだけがボクシングじゃない。

ボクサー達が戦う理由は、どんなものであってもいいんじゃないだろうか。
なんだったら、理由なんかいらないんじゃないか。
 

亀田のKOの瞬間、ホールを埋めたファンの9割以上が両手を天に突き上げた。
この12年の鬱憤が爆発した瞬間に見えた。

皆悔しかったんだと思う。
努力してる選手が非難されて、罵倒されて。
興毅の走った距離までは否定されないで欲しかった。

ポンサクが衰えてた?
エキシビションだった?
ただのエンタメ?

そういう問題じゃない。
 

皆に応援される興毅、誉められる興毅、頑張ったなって言ってもらえる興毅が見たかったんだ。
この日の観客は大勢で興毅に対する…いちボクサーに対する愛情を注いでいた。

コーナーに登った興毅…周りを見回してぐっと溜めの時間を作る。
客席が一体となって興毅のアレを待つ。
彼が世界王者だったころ、こんな空気があっただろうか。
12年間待ちわびた…そんな空気の中で興毅が叫ぶ。

『シャアアアアアアアアア!オラァァァァァァァァァァ!』
 
 

感情を爆発させる観衆。
大声で興毅に向けて歓喜を叫びながら、やっと…この12年の苦しみから解放された気分になる。

ネット中継もされた試合…果たしてこの空気が伝わっただろうか。
きっと現地でなきゃ感じられなかったものではないだろうか。
 
 

その後、ネット中継があるからだろう。
生観戦ファンには不慣れな、長い長いインタビュー。
そして、興毅の引退式。

しかし…テンカウントゴングの途中で引退を撤回。
ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)と戦いたい。
もし叶わなければひっそりと引退する…と。

衰えを見せ、世界トップのグループから一段落脱落したロマゴンだが…。
まだまだトップ戦線の選手であることは間違いない。
さて…対戦さえ叶うのだろうか。
 

この部分は関西特有のオチをつけてくれた感じかとも勘繰った。
世間は騒ぐかもしれないが、僕としては爆笑してしまった。
 

もし戦うとすれば、ひっくり返って驚いて、大騒ぎしようと思う。
ボクサーに戦いたい相手がいるなんて当然の話。
こっちとしては「やれやれー!」の気持ち。

こういうのがもっと下のボクサーにも許容される雰囲気が出てくれれば…。
誰が誰との対戦を目指しているのか、そんなドラマが浮かび上がり、
4回戦、6回戦、ノーランカーの戦いも激烈面白くなっていくだろうと思う。

いちいち目くじらを立てて、罵倒することもない。
 
 

相手がロートルなら弱い奴を選んだと騒ぎ立て
相手が強い奴なら、相手に対して失礼と騒ぎ立て
どーせ何をやっても騒ぎ立てる奴らはいる。
 

でも、興毅をいちボクサーとして認め、応援する連中はそれとはまったく違う立ち位置から興毅を見ている。
少なくとも、そんな人間が2000人近くいることは、この日の後楽園ホールで証明された。
 
 

あまりにも長いインタビューと、式典を最後まで見続けた結果、新幹線を逃す。
朝までの覚悟を決め、水道橋の天下一品で腹を満たしていると…京之介に遭遇。

普通の好青年だった。
彼の周りの人々も、来てくれてありがとうありがとうと…ただのファンに頭を下げる。
知名度が高い為、一人一人に対応は難しいだろうが…ひと段落して余裕があれば
普通の少年の顔で対応してくれる。
 

ラストオーダーで締め出された後はブラブラしつつ、道に迷いつつ…。
最終的には後楽園ホール横のファミレスに舞い戻り、朝まで。
一睡もせずにボクシング談義を続けた中日本のボクシングファン二人。

新幹線で力尽きた。
 
 

あの興行に行っていた観客をミーハーだのボクシング観戦初心者だのと決めつける連中もいるが…
観客席から漏れてくる声を聞いている限り、全部踏まえて、その上で応援してるファンも大勢いたと思う。

ホールに到着した時から最後まで満員。
最後の式典などはさすがに客ははけたが、試合の間は最初から最後まで客席が埋まっていた。

目当ての試合だけ見て帰るような客層ではなかった。
本当に暖かかった。
 
 

この12年の間、本当に苦しかった。
努力しているボクサーが罵倒され、批難され…。
でも、現実にはあれほどの人に愛されるボクサーだったということが解って、
胸のつかえがとれたように感じた。

苦しみから解放してくれた、ポンサクレックと興毅に本当に感謝する。

そしてあの興行を行ってくれた関係者の人々。
5/5の興行権を協栄側に販売してくれた帝拳ジム。
本当にありがとう

ネット上で悪口のように使われる言葉だったが、僕は自信をもって胸を張って言おうと思う。
 

僕は亀田信者だ。
 

一人のボクサーを愛して何が悪い。

あの2000人の観衆にそう思わせてもらえた。
 
 

長い長い苦しみから解放された日。
この日からより、ボクシングが面白くなりそうだ。
 
 

 

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