ガーナの超特急 ナナ・コナドゥ(ガーナ)① ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/08/19
黄金のバンタム…日本人にとってバンタム級というのは特別な階級に感じる。
古くはファイティング 原田(笹崎)…
そして辰吉 丈一郎(大阪帝拳)、薬師寺 保栄(松田)、西岡 利晃(帝拳)、長谷川 穂積(真正)…
ファンを痺れさせた選手たちはこの階級にいたことが多い。
同じくこの階級を伝統と位置付けるのがメキシコ…。
名王者から名挑戦者まで…今でもランカーの多数をメキシカンが占めている。
そんな階級に割って入って一時代を築き上げた男…
辰吉から世界を奪い…西岡を阻み続け…長谷川の新時代に散った。
ある時期、日本のバンタム級は、ウィラポンとともにあった。
その時代を生きたボクシングファンであれば、誰もが認める名王者である。
そんなウィラポンの全盛期まっただ中…最強の男をリングに這わせた男がいる。
人呼んで「ガーナの超特急」
ナナ・コナドゥ(ガーナ)
渡辺 二郎(大阪帝拳)からベルトを奪ったヒルベルト・ローマン(メキシコ)からベルトを奪い、
一旦は表舞台から消えたと思われたものの…突然の再浮上。
そして、のちに辰吉に土をつけることとなるウィラポンを破っての二階級制覇。
日本の歴史に残るスーパースター2人を討ち破った宿敵…それを討ち倒している男。
一度も来日しておらず、日本のボクシングファンにとっては間接的な関わりしかないアフリカ生まれの王者は…
日本でもその名を知られ、試合を見たことがなくても名前は知っている…なんてファンは多くいる。
決して時代の主役ではなかったけれども…彼が残した足跡は、未だに不気味な存在感を放ってしまう。
過去に動画を漁ったことはあるけども、改めてこの選手を見てみたい…
そんな衝動に駆られたのは、戦績を並べ立てる作業の中…なぜかその名前が浮き出てしまうから。
自分が過去に抱いた印象より、もっと強い選手だったのではないか…?
今回、改めて彼のボクサーズロードを追ってみようと思う。
アフリカのボクシング…
だだっ広いアフリカをひとくくりにしてしまうのもどうかと思うが、ある共通点がある。
それは…南アフリカなどの一部をのぞいて貧困の途上国ということ。
アマチュアなりプロなりで自国で実績を積んだ後、
見込まれた選手は儲からない自国を離れてヨーロッパに拠点を移す。
その後、アメリカに渡ることも多い。
アフリカの猛者は、強ければ強いほど旅をする。
英連邦の一つ、ガーナ共和国。
アフリカで初めて、現地民の力で独立を果たした国。
かつてはゴールドコーストと呼ばれ、カカオ豆や金、ダイヤモンド…石油まで産出される。
豊かな資源の国。
しかし…コナドゥが生まれたころのガーナは独立からの過渡期。
経済停滞とクーデターが繰り返されての混乱…貧困の底にあった。
西アフリカのクーデターというと…アジアのそれとはまた少し違う。
民族間の対立まで炙り出し、その度に暗殺や虐殺……それはそれは地獄絵図。
治安が悪いとかいったレベルではない。
自分が住んでいるその家が…突然戦場の真っただ中になるのである。
軍人のジェリー・ローリングスがクーデターを成功させ、軍政の中で国が安定したのはコナドゥが12歳のころ。
幸運にもコナドゥはその歳まで生を長らえた…。
サッカーとボクシングの国…今現在も豊かな才能を排出する国ではあるが、日の目を見る選手の絶対数は他大陸に比べて少ない。
西アフリカでは安定しているとは言え、世界的に見れば貧困国。
敵地で結果を残したものだけが生き残る…。
記録は定かではないが、コナドゥはアマキャリアからスタート。
それなりの実績を残してプロ転向したようである。
デビュー戦の相手はジョージ・フリーマン(ガーナ)。
Boxrecを覗いてみると、デビュー戦同士の戦いとなっているが、どこまで信じていいか疑問が残る。
6戦1勝4敗1分でキャリアを終えているが、
過去になればなるほど、マイナーな試合になればなるほどBoxRecの精度は下がる。
タイ人選手の戦績が世界戦が決まった途端に5戦から20戦にジャンプアップしたりすることもよくあること。
世界挑戦をきっかけに過去の試合がほじくりだされて反映される…。
日本国内の選手でも、存在しない試合が表示されていたり、
同じ名字の別選手が対戦相手になっていたりすることはよくある。
また、そういった単純ミスだけでなく、どこからどこまでを戦績とするか…も分かれることがある。
タイでは草試合の延長がプロだったりするし、メキシコではKO決着が重なると、
メインの試合をTV放送の時間に合わせるため、その場で試合が組まれることがある。
これが日本では考えられない、ダブルヘッダーになることもあるのだが、
急遽組まれた試合なだけに、そういった試合はBoxRecから漏れやすい。
また、近年ではアマチュアボクシングの統括団体だったAIBOが管轄するプロ…WSB。
この試合をプロ戦績に混ぜるかどうかもわずかながら議論があった。
ロマチェンコのデビュー戦で、TV放送では既に8戦の戦績が紹介されたのは有名な話だ。
不正とかそういった類ではない…ボクシングは幅が広過ぎる。
単純に追いつかないのである。
ジョージ・フリーマンの戦績を見てみると、1勝2敗1分の戦績で
コモンスウェル英連邦フライ級王座決定戦に挑むチャンスを手に入れていることになる。
しかも、その1勝はデビュー戦の相手に飾ったもの。
コモンウェルス英連邦王座…歴史ある格式高い王座である。
簡単にチャンスを手に入れられる王座でないことを考えると…いくらか戦績に漏れがあることは想像に容易い。
しかし、BoxRec以外にアフリカのマイナー選手の戦績を知る方法を僕は知らない。
とりあえずのところ、遠く離れた日本ではBoxRecを信用しておく以外にはなさそうだ。
話が大幅にそれたが、コナドゥはこのデビュー戦をなんと10回戦で戦っている。
判定で勝利を勝ち取り、21歳にしてプロキャリアがスタートする。
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