連敗続きの世界戦 レオ・ガメス(ベネズエラ)② ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/04/15
本日は4階級制覇王者 レオ・ガメス(ベネズエラ)の2日目。
WBA世界ミニマム級王座を1度防衛し18戦全勝としたガメス。
この試合後、やはり減量は過酷だったか、ガメスは王座を返上。
1年半のブランクを開け、かつて破ったホープ、
ビクトリアノ・エルナンデス(ベネズエラ)を再度破ります。
1度目の対戦時は無敗のホープだったエルナンデスですが
この時期には負けが混むようになっていました。
もう1戦ノンタイトルを挟み、ガメスは2つ目の王座に挑戦。
またも敵地に乗り込み、対峙した相手は…
WBA世界ライトフライ級王座を17度にわたって防衛する伝説の男。
ユ・ミョンウ(韓)。
14度の防衛を果たしていたミョンウにとって、この試合はクライマックス。
同級のWBC世界王者に君臨し、15度の防衛記録を打ち立てた韓国の国民的大スター
チャン・ジョング(韓)の記録に並ぶ大一番。
この試合、距離を詰めるミョンウを終始ガメスがアウトボックスしようとする展開。
序盤のお互い様子見の時間帯。
一回り身長もリーチもあるはずのミョンウにジャブの刺し合いで上回るガメス。
たまに攻め込まれても、スウェーやバックステップで追撃を許さない。
静かな序盤、ヒットは少なく差はわずかですが、ガメスが獲っているように見えます。
しかし相手は既に伝説ともなっているミョンウ。
4Rに入ると、ジャブに対して強打の右をカウンターで入れていく。
特に5Rは散々ビッグヒットを撃ち込まれてしまう。
パンチ力がなく、夕立のような連打で時代を作ったミョンウ。
このパンチ力の無さがなければ、かなり効かされていそうな怖いタイミング。
8Rに入るとガメスがボディを増やして撃ち合いを仕掛け…展開を盛り返します。
ミョンウの追い足が鈍るにつれ試合は拮抗していく。
結果、発表された判定は1-2。
ミョンウが接戦を勝ち取ります。
地元判定の悪名高い韓国。
そして狡猾なイメージもある当時のベネズエラ勢。
しかし、この試合にはいずれも当てはまらず、クリーンなガメスに妥当な判定。
最終ラウンドでは、スリップして倒れかけたミョンウ。
拳をあてればダウンを獲れそうなタイミングで、ガメスは拳を止めるんですね。
頭を低く飛び込んでくるミョンウに、頭が当たってダメージをもらうのはいつもガメス。
しかしやり返すこともなく…
ガメスの試合を追っていくと、ガメス自身はかなりクリーンな選手。
勢いでゴング後の過撃を与えてしまった時なんかは、両手を合わせて謝っていたり…。
ベルトラインが高い…なんてよく言われ、
「ガメスのデカパン」なんてネタにされたりもしますが…。
腹筋の割れ目を見てみると、実は言うほどベルトラインは高くない。
短い胴体に長い腕。
ガードを固めるとボディがすっぽりと隠れてしまうことからも、
そう見えて仕方ないかなとは思いますが…。
彼の私服姿なんかを見たりすると、横に広い肩幅から
足が長い印象は持てませんが、胴体が短いのははっきりと…
なんとも愛らしい体系だったりします。
それはさて置き、ガメスはこの試合で初の敗北。
しかしながら、あまりにも際どい判定に、この二人のリマッチは避けられず…。
半年の期間を置いた後、二人は韓国でダイレクトリマッチ。
前戦の反省からか、この試合では前に出るガメス。
1Rで早々にカットすると、血が目に入ったか、密着戦を求めて一気に前に出ます。
受けて立つミョンウ。
夕立(ソナギ)と呼ばれるミョンウの代名詞の細かい連打。
その渦の中に、強烈なアッパーを武器に飛び込んでいく。
ガメスが撃ち勝つタイミングもあるものの、ガメスの強打をタフさで乗り切り、
細かい連打のヒット数で上回るミョンウ。
試合が進むにつれ、ミョンウの回転の速さに徐々に後手を踏むようになっていくガメス。
ミョンウは相手に攻めさせて撃ち疲れたところで、コンビネーションで連打を突き刺す。
強烈なアッパーは前に出て胸で受け止める。
相手が攻勢にでるとススッと後ろに下がって、一旦流れを切る。
連打を位置を変えながら若干重心を後ろに残して撃ち込む為に、
迫力はないものの、3つ4つと叩き込まれれば当然相手は効いてしまう。
インファイトの駆け引きの最高峰のようなミョンウ。
実はミョンウは世界を獲得するまでKOの無かった選手。
日本のジムへの移籍が持ち上がったときも、
「パンチのない選手」という評判がネックとなり実現しなかったほど。
それが、世界王座獲得後に様々な強敵に揉まれて、KOを増やしていった選手だったりします。
手数が飛び交う前半を終え、後半になるとミョンウが少し休みにかかるのですが、
この休み方がまたとんでもない。
相手の腕をホールディングすることもなく、自分の腕を柔らかくつかい、相手の腕を下から持ち上げ、
相手が押し合いに疲れたタイミングでパパパ…と連打を入れてまたクリンチへ。
このクリンチ、相手を抑え込むクリンチとはまた別モノで、クリーンクリンチ等と呼ぶ人もいた、
反則を取られることが少ないクオリティの高い技術。
この試合で明確な判定勝利を収めたミョンウ。
ライトフライ級の防衛記録を破る16度目の防衛。
この後17度目の防衛戦を飾ったミョンウは、井岡弘樹(グリーンツダ)の前に王座陥落。
実はこの2戦でミョンウがガメスに壊された…なんて言う話もあったりします。
(僕自身はこの話には懐疑的)
さて、2度の世界挑戦に失敗したガメス。
この後1年ほどブランクを開けて挑んだのは1階級上。
3戦連続での韓国決戦となるWBA世界フライ級王者 キム・ヨンガン(韓)との対戦。
この試合も判定で落としてしまい3連敗。
一旦キャリアを作り直します。
コロンビアの国内王座に何度も跳ね返されていたラファエル・フリオ(コロンビア)
WBA世界ライトフライ級王座に挑戦経験のあるベネディクト・ムリーリョ(パナマ)
のちにIBF世界ミニマム級王座に挑戦する元国内王者、カルロス・アルベルト・ロドリゲス(ベネズエラ)
国内王座挑戦経験のあるオスワルド・オソリオ(コロンビア)
実績ある南米の難敵たちに4連勝。
WBA世界ライトフライ級王座決定戦へのオファーを招き入れ、
後楽園ホールで八尋 史朗(帝拳)と王座を争って激突します。
…と、また長くなってきたので今日はここで一旦切り。
次回はライトフライ級で強さを誇ったガメス全盛期。
というわけで、また明後日。
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