負け越し?世界王者 アキレス・グスマン(ベネズエラ)① ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/02/27
Wikipediaからの転載。
「通算成績が負け越している唯一の世界王者経験者である。引退時の成績は、13勝14敗3分けだった。」
彼の戦績をBoxRecで確認してみる。
戦績は14勝14敗3分のイーブン。
アキレス・グスマン(ベネズエラ)
ベネズエラ-アンソテアギ州出身の第31代WBA世界フライ級王者。
戦績を起こしてページにしていく…。
このブログを始めて困ったのが、BoxrecやWikipediaといった信頼されているサイトの不正確さ。
残った記録を探しても、見つからないことも多い。
限度があるし、本業ではないこの作業で、限りのある時間を浪費しつくすわけにもいかず…。
情報の抜け落ちた穴に関しては、このブログを目にした方の優しさに頼るしかないのが
恥ずかしながらの現状。
漏れや誤記載を見つけたら、そのページのコメント欄などで是非教えていただきたい。
アキレス・グスマンの情報に関してはBoxRecを元にしている。
スペイン語版Wikiでは14勝14敗3分となっており、多数決と言ったところ。
根拠がないのはご容赦いただきたい。
低い身長を素早い踏み込みで補い、タフネスを全面に押し出した撃ち合いで世界を制した…。
そんな彼のレコードは、まず引分から始まります。
相手はホセ・G・カスティージョ(ベネズエラ)。
生涯戦績は22戦21敗1分。
あくまでBoxRec上ではあるものの、この試合以外全てが敗北…そんな相手と引き分けるわけですね。
2戦目では1戦しか記録の残っていない選手に判定で初勝利。
この時代の戦績はどこの国の物も不正確なので、
はっきりとはしないものの、特筆するような結果を残せなかったということにはなりそう。
タイトルマッチに挑むクラスになると、それなりに正確さは向上します。
ここから全て判定での4連敗を喫することとなりますが、対戦相手の実績はぐっと上がります。
特筆する実績のないルイス・マラーブ(ベネズエラ)を除けば、のちの国内王者2名に
世界2階級制覇を達成するヘスス・ロハス(ベネズエラ)。
全ての対戦相手がキャリア初期とはいえ、なかなか強烈なマッチメイクです。
のちに国内王座に2度挑戦することになるフアン・ブランコ(ベネズエラ)に引分でようやく連敗がストップ。
次戦で勝利を拾いますが、こちらはBoxRec上1勝も記録されていない選手。
その後、フアン・ブランコとの再戦で1戦目と同じく引分。
世界王座に3度挑戦するドミンゴ・ソーサ(ドミニカ共和国)と対戦して敗北。
つらつらと並べましたが10戦して2勝5敗3分。KOは0。
まとめると、2勝はいずれも無名選手から。
5敗は無名選手1名、のちの国内王者2名、のちの世界王者1名、世界挑戦経験者1名
3分は無名選手1名、国内王座挑戦経験者に2度。
いくら強敵ばかりに喫した5敗…とは言え全く世界に届く気配のないレコードに見えます。
身長が低かったグスマン、撃ち合いを挑むしか選択肢が無く、
抜群のタフネスで判定までは行くものの、リーチ差でコントロールされてしまったり
体格差から押し負けてしまったり…。
どうしても勝ち星までは届かなかった。
ここでグスマン、9ヶ月ほど試合期間を空けることとなります。
この時代、キャリア初期の選手は現在より圧倒的に早く試合数を積み上げていました。
これだけ期間が空くのは何かあったと考える方が自然です。
このブランク後からグスマンの戦績は好転します。
強敵との対戦経験をもとに、インファイトを徹底的に磨き上げていたグスマン。
強靭な足腰と、手数をいくら出しても衰えないスタミナ。
近距離でのボディワークとガード技術…。
9ヶ月の間に生粋のインファイターとしてそのスタイルを濃縮したわけです。
復帰戦の相手はオルランド・マエストレ(コロンビア)。
元WBAラテンアメリカフライ級王者です。
この元世界ランカーを6RTKOで破り去ると、
次戦では国内王者のエジソン・トーレス(ベネズエラ)に挑み6RTKOで国内タイトルを獲得。
獲得した王座をすぐに返上し、デビュー戦で引き分けたホセ・G・カスティージョへの1勝を挟むと、
舞い込んだWBAラテンアメリカフライ級王座決定戦を10RTKOで勝利。
負けが混んでいた頃からは信じられないような爆進ぶりで、
復帰4戦で地域王者、世界ランカーとなってしまいます。
世界ランクを手に入れた直後…この選手、どこまで幸運なのか…
1戦もしないうちに今度は世界挑戦のオファーが届きます。
相手は第30代WBA世界フライ級王者キム・ヨンガン(韓)。
ここまでのグスマンの戦績…14戦6勝(4KO)5敗3分。
ヨンガンからすれば、防衛数を稼ぐための戦いやすい相手と思ったか…。
しかしこの試合、グスマンにとっては相手がヨンガンだったことも幸運。
低い体勢で飛び込んでくるコリアンファイターは、
グスマンにとって弱点でもある低身長がハンデに成らない相手。
ファイター同士の撃ち合いを制し、敵地韓国での明確な判定勝利。
15戦目での世界王座獲得。
試合数だけ見れば、まるでホープのレコードなんですが…。
しかしその内容は、わずか5戦で獲得した世界…とんでもないシンデレラストーリーです。
迎えた初防衛戦、相手はダビド・グリマン(ベネズエラ)。
帝拳プロモーションと契約している外国人選手…今のローマン・ゴンサレス(ベネズエラ)のようなものですね。
日本でも何度か試合をしているのと、井岡弘樹(グリーンツダ)に勝ったりしてるので、
知ってるファンも多いかと。
グスマンよりも10cmほど身長の高いグリマン。
長いリーチを生かしてアウトボックスしようと試みます。
距離を詰めようとするグスマンは顔を狙っても遠過ぎる。
ボディを中心に攻めていきます。
手数の少ないグリマンは懐を獲られることも多く、序盤からボディを効かされます。
4Rに入るとグリマンの足が止まり始めたか、撃ち合いの局面が増えます。
本来こうなると手足の長いグリマンが不利になりそうですが、グリマン…とにかく巧い。
巧く腕を折りたたんで、強烈なカウンターを撃ち込み、グスマンをグラつかせます。
グスマンはロングレンジではリーチ差で不利、詰めてボディを狙おうにもインファイトで上回られる…
この時点で打つ手を無くしてしまいます。
かたやグリマンはグスマンが入ってくるタイミングでのカウンターのタイミングもつかんだか…。
後ろに下がりながらも続々と強打を叩き込んでいきます。
それでも前に出るしかないグスマン…ただ愚直に前に出ます。
実を結び始めたのが9R~10R、足が鈍くなり手数も減り始めたグリマンに対し
土俵のインファイトでグスマンが上回ります。
しかしながらグスマンも疲労を見せ始め、踏み込みのスピードが鈍ると、またもやペースはグリマンに…。
一気に攻めて出たグリマンは、グスマンのバランスが崩れたところに右フック。
グスマンはキャンバスに手を着いてしまい、カウントが入ります。
ダメージのあるダウンではない為、試合はすぐに再開されますが、
ポイントでは挽回不能に陥ってしまったグスマン。
最終ラウンドは倒しに出たグリマンとグスマンの撃ち合いが展開されますが
体格差で押し負けるグスマン…形勢不利のまま最後のゴングを聞きます。
驚くべきシンデレラストーリーでベルトを獲得したグスマンでしたが…。
1度も防衛することなくベルトを手放します。
しかしながら彼はこの後しばらく、世界ランカーの最前線に踏みとどまります。
そんなところはまた次回。
明後日からにしましょう。
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