火の国熊本(コラム) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2017/02/09
熊本のボクシングが凄い。
火の国と言われるその土地の血がそうさせるのか。
昨年のリオ五輪、日本人の出場が0の可能性も取りざたされた窮地。
最終予選で森坂 嵐とともに、五輪出場を決めたのが成松 大介。
トーナメントとなる予選。
アジアを勝ち抜くのはとてもシビア。
ウズベキスタンやカザフスタンなど、アマの強豪国の選手が名を連ねる。
中国、インドも強豪の一角を占めるアマチュアの世界。
それらの国ではプロへのルートが確立された地域とは違い、才能がアマチュアに集結する。
プロの世界王者より、五輪金メダルのほうがもてはやされる地域も…
その国のボクシング文化によって価値観は様々である。
そんなアジアで五輪出場を決め、五輪でも日本人唯一の勝利を飾った”英雄”。
それが、成松 大介である。
プロの世界では、福原 辰弥(本田フィットネス)が奮闘している。
地方のハンデを乗り越え、山本 浩也(全日本パブリック)との王座決定戦を制して王座獲得。
それまでに喫した敗北は4。
引き分けの数は5。
遠回りをしながらデビューから7年半で日本の頂点に立った。
初防衛戦ではWBO世界ランキングで1位にランクされ、
世界挑戦間近と思われていたスーパーホープの榮 拓海(折尾)を退けた。
2度目の防衛戦では、世界挑戦経験者の小野 心(ワタナベ)を相手に負傷引分で防衛。
3度目の防衛戦では、アマの名門、東農大で主将を務めていたエリート、
華井 玄樹(岐阜ヨコゼキ)を7RTKOで沈めた。
そうして今月末、世界挑戦のチャンスを手に入れている。
WBO世界暫定王座決定戦。
相手はモイセス・カジェロス(メキシコ)。
戦績に6度の敗北はあるものの直近5連勝、ランカー対決や元世界王者との対決を制し、
骨太な生き残りマッチの連続を切り抜けて浮上…
よく似た二人の対決なのかもしれない。
正規王者 高山 勝成(仲里)の負傷によって組まれた暫定王座戦である。
勝てば当然、高山との対戦が待っている。
高山と言えば、誰もが認めるミニマム級では化物級の王者である。
1Rからずっと変わらないペース、ベテランらしい主導権の奪い方。
相手を押し切る手数も、スタミナも飛びぬけていながら、駆け引きもうまい。
海外の辛口メディアの真の王者は誰か?といった話題で、ミニマム級では必ず名前が挙がる。
WBO王座を巡る争いに、当然ワクワクしてしまう。
福原が所属する本田フィットネスジムも面白い。
“サウスポー製造工場”なんて言われる本田会長。
教える選手全員をサウスポーに転向させた上で結果を出し、
アマチュアの世界で旋風を巻き起こした人物である。
何より、地方ボクサー…しかも都市圏にもあたらないド田舎ジムの地方ボクサーが
世界のベルトに挑む…もし獲得すれば、快挙である。
いい選手はチャンスを求めて東京に出る…。
地方ではなかなか興行を打つのも苦労し、世界戦を組む金がない。
ないない尽くしが普通である。
これまで、地方のジムに在籍しながら世界王座を獲得した選手はいたが、
いずれも地方都市といわれる地域のジムである。
ボクシングでは東京以外を地方と呼ぶほど、東京とその他では格差がある。
その中でも格差のあるド地方の熊本…。
そんな地域のジムから世界王者が出たとすれば…それはもうとんでもないこと。
魅力いっぱいすぎて…もう…。
かつての世界王者ではロイヤル 小林(国際)が熊本出身。
かつてのオリンピアンでもある。
古い選手に目を向けると天熊 丸木(常滑)や達磨 拳児(緑)…
現在の天熊丸木ジム、緑ジムの会長である。
さらに、常滑ジム黄金期や松田ジムでトレーナーを務めた大阪 秀樹(松田)も熊本出身。
全日本新人王を獲得し、30勝を挙げながらタイトル戦が叶わなかった塚本 敏信(東海)もまた熊本出身。
熊本ブランドは名古屋のボクシングに深く深く関わっていたりする。
現役選手に戻って、スーパーホープとして売り出し中の森 武蔵(薬師寺)も
熊本から名古屋に出てきて戦う一人である。
最後にもう一人、フェザー級から世界を狙う現OPBF東洋太平洋フェザー級王者の
竹中 良(三迫)も忘れてはいけない。
WBCのランキングを8位まで上げてきている。
地域別で見てみる、故郷の選手を見てみる…
なかなか面白い見かただと思う。
そんな見方をしたときの現在、熊本という地域はボクシングにとってかなり魅力的な地域になっている。
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