挑む!49連勝 ラリー・ホームズ(米)⑮ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/06/15
さて、ラリー・ホームズ(米)のピックアップも15日目…
奇数日更新なので、丸1カ月やってるってことですね。
まだまだ終わりが見えないなんて…
さて、48戦48勝無敗としたホームズ。
デビュー以降の全勝記録…ロッキー・マルシアノ(米)の49戦まであと1試合に迫ります。
次の相手はマイケル・スピンクス(米)。
モントリオール五輪ではミドル級で金メダルを獲得。
ライトヘビー級では3団体統一世界王者として無敵の活躍を見せ、ヘビー級へ進出。
かつてホームズが破った、レオン・スピンクス(米)の弟でもあります。
この時代、世界ライトヘビー級王者を経て世界ヘビー級王者になった選手は誰ひとりおらず。
しかもスピンクスは3か月前にライトヘビー級の試合をやったばかり…。
ホームズが圧倒的に優位とささやかれます。
1R、お互い足を止めて様子見の時間帯。
ホームズのジャブがスピンクスを刺していく。
スピンクスも不意をついて左フックをヒットさせるものの手数自体が少なく静かな立ち上がり。
2R、大量のジャブでスピンクスを突き刺すホームズ。
しかしスピンクスもラウンド終盤には強烈なコンビネーション3連打をヒットさせる。
3R、圧力を強めて前に出るホームズ。
明らかに右の強打を狙っています。
しかし撃ち出すタイミングを与えないスピンクス。
いきなりの左フック、クリンチ際での左アッパーなど、前の手を軸に攻めていくスピンクス。
苛立つホームズはスピンクスにレスリング行為を行い注意を受けます。
4R、このラウンドも前に出るホームズ。
スピンクスは飛び込んでの右をヒットさせるとそのままコンビネーションで攻め立てる。
一つ一つのパンチに迫力はないものの、素早い回転でホームズを飲み込んでいく。
至近距離でホームズの強打をかわし撃ち終わりにコンビネーション…。
このラウンドを一方的に支配します。
5R、ホームズは前に出る足を止め、スピンクスの飛び込んでくるタイミングを狙います。
単発で強烈なパンチをヒットさせるホームズ。
しかしスピンクスも上体を柔らかく、ホームズのパンチを外しながら時折強打をふるう。
クリンチ際でも完全に抑え込まれない限り、細かい連打をパパパ…と入れるスピンクス。
6R、なぜここまでスピンクスのパンチがヒットするのか解らないほどいいようにもらってしまうホームズ。
スピンクスは上体の柔らかさで、ホームズの強打をスルリスルリと外していく。
そして、一瞬でも気を抜くと飛び込んで強打をヒットしていく。
元が下の階級から上げてきた選手なだけに、そのパンチに迫力はなく、ホームズにダメージは見られないものの
まるでホームズの心を読んでいるかのように、ホームズが気を抜いた一瞬の隙に飛び込んでいく。
7R、軟体動物のようなスピンクスに攻めあぐねるホームズ。
このラウンドもスピンクスのパンチをいいようにもらってしまう。
8R、頭をつけての撃ち合いに挑むホームズ。
強烈なボディアッパーを突き刺すものの、ダブル、トリプルと高速回転するスピンクスのアッパーに飲み込まれる。
ホームズは狙いをボディに絞っていく。
9R、このラウンド、休みに出たスピンクス。
ほとんど手を出さずにホームズの周りを旋回。
くねくねと変則的に動くスピンクスの上体に、ジャブをいくつか突き刺しながら、
右の強打はボディへ持っていくホームズ。
10R、スピンクスはこのラウンドはジャブを突きながら旋回。
ラウンド中、頭の衝突に激昂するスピンクス。
怒りにまかせたような高速の連打でヒットを奪っていく。
11R~12Rは静かな展開。
時折スピンクスが高速のコンビネーションを見せるものの、それ以外は小休止。
ホームズも手がでず、そのままラウンド終了のゴング。
13R開始直後、ホームズの左フックが突き刺さる。
追いうちの右ストレートでロープまで吹っ飛ぶスピンクス。
しかしくねくねとした上体の動きとフットワークで旋回し、流れを断ち切る。
ホームズの虚を突く飛び込みと連打でさらに流れを引き戻しこのラウンドを終了。
14R、一気に距離を詰めて襲いかかるホームズ。
まるで全盛期が戻って来たような勢い。
ガードの上からお構いなしに強烈なアッパー、左右フックを見舞います。
しかしスピンクスが左フックを引っかけてこの勢いも消沈。
ここまでポイントでリードしていることが濃厚なスピンクス。
ついにホームズ陥落の瞬間か…観客は総立ち。
叫び声をあげるドン・キング…。
15Rが開始され、ホームズのパンチを面白いようによけまくるスピンクス。
「ラリー」コールが沸き起こる…。
ホームズが一発の強打を入れても、連打を入れられる…。
成す術がないまま…
ウィザースプーンと戦ったころのスピードがあれば…。
アリを葬ったころのフットワークがあれば…。
気がつけば世界王座を獲得してから8年…月日はヘビー級最強の男さえ蝕んでしまった…。
15R終了のゴングが鳴り、確信の笑顔を浮かべながら両手を上げてアピールするスピンクス。
一方、セコンドに手を上げるよう促されるも、それを拒否するホームズ。
判定が読み上げられ…
大歓声の渦に巻き込まれるスピンクス。
現実を受け止めるかのようなホームズ…。
ボクシング史上初めて、世界ヘビー級王座を獲得した元世界ライトヘビー級王者となったスピンクス。
アーチ・ムーア(米)、ボブ・フォスター(米)など、数々のボクサーが為し得なかった大偉業。
この試合から「ヒストリーメイカー」…”歴史を作る者”と呼ばれるようになります。
クルーザー級から…なんていうのはたまにありますが…
さらにその下のライトヘビー…最近(と言っても随分前ですが)だとロイ・ジョーンズJr(米)になるんですかね。
スピンクスは11Kgの増量を一気に行ってこの試合へ挑みますが、
この試合の増量をサポートしたトレーナーは、ロイ・ジョーンズの増量をサポートした人間と同一人物。
このスピンクスの偉業があってこそ…ジョーンズの偉業の達成がありえたのかもしれません。
また、このスピンクス、ホームズと同じく、トレーナーはエディ・ファッチ。
実は同門対決だったわけです。
ホームズはファッチに「オレのセコンドに付いてくれ」と言ったそうですが、ファッチの答えはNo。
理由は「二人とも私の教え子だから。」
ちなみに、ホームズが王座を獲得したときの相手、ケン・ノートン(米)…
彼もまたエディ・ファッチの選手。
ヘビー級最強の遷都は3代連続でファッチの選手となるわけです。
名トレーナーの所以です。
それはさておき、まさかの大アップセットで王座を陥落したホームズ。
ロッキー・マルシアノ(米)に迫る記録も水の泡。
方やホームズから逃げ回ってヘビー級を汚したとまで言われたスピンクス。
(確かに迫力不足のパンチではあったけど、しっかりリスクを侵して戦ったスピンクスにそれは言いすぎじゃ…)
これがただのアップセットなのか…それともホームズの時代が終わったのか…
二人は再戦へと雪崩れ込みます。
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