漫画のようなスーパーヒーロー① 江藤 光喜(白井・具志堅) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2015/10/18
本日紹介するのは、11月28日、カルロス・クアドラス(メキシコ)に挑戦予定の
江藤 光喜(白井・具志堅)選手。
ちょっと長いので2回に分けますね。
日本人選手で元世界王者。
誰もが知ってておかしくないんですが…。
実は江藤さん、JBC(日本ボクシングコミッション)から世界王者と認められてないんですね。
ちょっと詳しく説明します。
世界チャンピオンでもいろいろありまして、特にWBAには大きくわけて下記の3種類の王者があります。
■正規王者
これ、普通の王者です。皆がイメージする世界王者はこれ。
■スーパー王者
他団体の王座と統一したりすると、この王座に認定されます。
スーパー王者が誕生すると正規王座は空くので、別途正規王座の決定戦が行われることとなります。
スーパー王者の特典は、ランカーとの指名試合がなくなること。
ただし、頻度は減りますが、長く保持すれば正規王者との指名戦はどこかで命令されます。
■暫定王者
正規王者が怪我なんかすると、しばらくタイトルマッチが行われないなんてことになっちゃいます。
そんな時は暫定王者というのを作って、正規王者が復帰するまでの王者にするんですね。
んで、正規王者が試合できる状態になったら、改めて正規王者と暫定王者が戦って、王者を決めると…
実はある時からWBAがですね、暴走してるなんて言われてるんですが、
正規王者が元気いっぱいなのに、突然、暫定王者を各階級に作っちゃった。
理由としては、経済的不利国の選手のための王座…。
世界戦をやろうとしても、お金がないとやれないのは今も昔も変わらず。
だから経済的不利な貧困国の選手たちにはチャンスが回りづらい。
それを解消しようとする意図です。
(実は現在、この役割をIBOが担っており、重宝されるため、
IBOが世界的に第5の王座となってきている…なんていう状況だったりもします。)
ただ、勘繰られているのが別の理由。
コミッションはタイトルマッチが多ければ多いほど、認定料って言ってお金がもらえるんですね。
資金難に陥っているのか、ただ単にお金が欲しいのかは解りませんが、
とにかくいっぱいタイトルマッチをやりたい!!と…。
そういった意図で王座を増やしているんじゃなかろうかと…。
最近叫ばれてるベルトの価値うんぬんてのはJBCがIBFやWBOを認めた意外にも
こういった事情があるんです。
IBFやWBOのうんぬんは世界のベルトの価値(コラム) 選手名鑑ピックアップ! 2015/10/16の回で
触れてますのでこちらで。
とにもかくにもWBAがいっぱいチャンピオンを作った。
そこでJBCが反発したわけです。
「合理的な説明のつかない王座を乱立させている」として、
WBA暫定王座を世界王座と認めない方針をとりました。
正当な理由のないWBA暫定タイトルマッチ(正規王者が怪我してないのに行われるタイトルマッチ)は
よそでやってね。
日本国内ではできませんからね!と。
江藤選手が獲得したのはこのWBA暫定タイトル。
…と。
ちょっと長くなりましたが江藤選手の戦歴を追う前に前提知識として必要だったので。
江藤選手の戦歴に戻りますね。
彼、アマチュアボクシングを始めて4カ月で沖縄県で優勝します。
兄弟3人ともプロボクサーで、亀田3兄弟と対比して江藤3兄弟なんて言われたりもしました。
江藤 光喜選手は長男さんですね。
東日本新人王で負けた以外は、全勝で順調にキャリアを築いてきたんですが、タイトルには全く縁がなかった。
そんな折、元OPBF、元日本王者のジムの先輩、嘉陽 宗嗣にWBCシルバータイトルのオファーが来た。
ただね、嘉陽選手のスケジュールが合わないってんで、ジムはうまいこと交渉。
江藤選手をこのタイトルに挑戦させることにしたんです。
ただし、日本ではなく相手の地元、タイで・・・と。
敵地で試合をするって、凄く難しくて、それこそいろんな妨害や地元判定なんかと戦わないといけない。
それでも海外でのタイトル挑戦に向けて陣営は動き出しました。
ここには、いまや名トレーナーの仲間入りを果たした野木丈司トレーナーの方針もあった。
野木さんって日本で初めてキューバの指導方を学んだトレーナー。
内藤 大助(宮田)を育てたのがこの人です。
キューバって言ったらアマチュアボクシングの最高峰。
亡命してプロの世界に入ると、即世界のトップ戦線に絡むなんてのも多い。
ボクシングにおけるキューバの立ち位置って、野球におけるキューバの立ち位置とよく似てますね。
プロではギジェルモ・リゴンドウ(キューバ)なんかが有名です。
まぁ、その野木さんが言ったわけです。
今後の世界王者には海外での勝利が必須だ!って。
まぁ、そうですよね。世界王者達がラスベガス、ラスベガスって言ってますし。
言うだけなら簡単、そこで自分の面倒見てる選手を海外で試合させようなんて、なかなかできない。
だって、圧倒的に不利な試合をさせることになるんですから…。
その辺が野木さんの凄いとこで、江藤選手を連れてタイに乗り込んじゃうわけです。
結果はパノムルンレック・カイヤムハーダオジム(タイ)に判定負け。
野木さんは日本だったら結果は逆だったとコメントしてます。
それ見たことか、地元判定にやられちゃったじゃない…って感じなんですが、
「今後も積極的に、海外にチャレンジして行きたいと思います」と言いきってます。
要は、地元判定とかにも負けないような戦術や技術を身につけないと…と言ってるんですね。
野木さん、負けん気強い!そして日本のボクシングに足りないものを自分が育てた選手で補おうとしてる。
いわゆる「おっとこまえ!」
江藤選手は江藤選手で、内容では負けてなかったことを大きな自信とするわけです。
日本に戻って世界ランカーのデンチャイレック・クラティンデーンジム(タイ)を2RKOでなぎ倒します。
この試合、ほんとになぎ倒すって表現がぴったりで、わずか6分弱の試合なんですが
まさにどつき合い、どっちが倒れるんだ!みたいな壮絶な試合なんですね。
さてさて、世界ランカーとなった江藤さん。
前哨戦を挟んで、一気に世界挑戦に駒を進めます。
相手はWBA世界フライ級暫定王者コンパヤック・ポープラムック(タイ)。
日本では戦えないWBA暫定王座。
敵地に乗り込んでいくわけです。
江藤選手の戦歴でしびれるのはここからです。
長くなってきたので、今日は一旦切りますが、
WBA世界暫定タイトルマッチ、その後の壮絶な試合内容…
僕はこの選手、日本で世界のベルトをとれば、国内のスーパースターになると思ってます。
そんな一番いいとこはまた明日ということで…申し訳。
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