2階級制覇へ… 粟生 隆寛(帝拳) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/01/19

2階級制覇へ… 粟生 隆寛(帝拳) ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/01/19
 
 
 

さて、粟生 隆寛(帝拳)の二日目。
アマエリート粟生の世界初挑戦からですね。
 
 

迎えたWBC世界フェザー級タイトルマッチ。
挑む王者はオスカル・ラリオス(メキシコ)
日本人との対戦も豊富で、福島 学(JBスポーツ)仲里 繁(沖縄ワールドリング)石井 広三(天熊丸木)等を
退けて来たベテラン王者。

レコードの中にはマニー・パッキアオ(比)に喫した敗北も見つかります。
それこそ世界中のボクシングファンが名を知るような存在。
WBC世界スーパーバンタム級王座を9度も防衛した2階級制覇王者です。
 

そんな超強豪を相手に、4Rにダウンを奪う大健闘。
しかしやはり榎戦で露呈した手数が出ない…という弱点が…。
このラウンドを境にアウトボクシングに切り替えた経験豊富なラリオスに惜しくも判定負け。

ダウンを奪ったことをきっかけに、粟生はスタイルの一部でもある少ない手数を巧く利用されてしまい…、
ラリオスは足に来ながらも、サークリングしながら軽打でポイントをこそぎ取って行きました。

それでも、1-2の割れた判定は議論を呼びます。
 
 

あまりの際どい判定に、本来ダイレクトリマッチを認めていないWBCがダイレクトリマッチを承認。
5カ月後に、両雄は再度相まみえることとなります。
 
 

再戦では前半からポイントを奪って行った粟生が、
最終ラウンドに逆転を狙って無理に前に出たラリオスからダウンを奪っての完勝。
はっきりとした判定で粟生がラリオスにリベンジし、フェザー級での世界王座を獲得します。
 
 

この王座の初防衛戦は、指名試合となります。
対戦相手は1位のエリオ・ロハス(ドミニカ共和国)
全17階級のうち、選手数が常にトップ5に入るフェザー級。
選手の層は厚く、この階級で1位にランキングされるとなると超実力者。

粟生はロハスの圧倒的なスピードに翻弄された挙句に判定負け。
あわやKOかというビッグパンチを放り込んでも、クリンチに逃げられ成すすべなし。
1度の防衛もできないまま、ベルトを手放すことになります。
 

当然このままでは終われない粟生。
2階級制覇を目指し、スーパーフェザー級へ転向。
 
 
 

再起戦で挑んだ相手はフェイデル・ビロリア(コロンビア)。
WBO世界スーパーフェザー級王者のローマン・マルティネス(プエルトリコ)に挑戦したばかりの選手。

この試合を攻撃的に進めた粟生。
伝家の宝刀でもあるカウンターはもちろんのこと、効果的なボディを決め続け、
ひたすらダウンを拒否し続けたビロリアに圧倒的な判定勝ち。
 

続いての試合はワイベル・ガルシア(パナマ)
WBA世界スーパーフェザー級王者のユリオルキス・ガンボア(キューバ)に敗れた直後です。
1年前にはホルヘ・リナレス(ベネズエラ)と空位のWBA世界スーパーフェザー級王座を争っている選手。
当時、世界戦線の最前線にいた選手です。

ガルシアは前に出てくる好戦的な選手名だけに、粟生が滅法得意とするタイプ。
4Rにはカウンターでリングに這わせ、8Rには後退したガルシアに連打を浴びせてレフリーストップのTKO。
 

二人の世界挑戦経験者に実力を示す形で勝利し、傷ついたキャリアを猛然と回復します。
 
 
 

そうしてベルト喪失からわずか1年と3ヶ月。
WBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチに挑むこととなります。

相手は王者 ビタリ・タイベルト(独)
アテネ五輪銅メダリストで、アマエリートとしては粟生より格上。
欧州に「最高傑作」の名を轟かせるテクニシャン。

猛烈に速いハンドスピード、そして小柄な体格を利用し、
頭頂部を相手に向けてストレート系のパンチをもらっても額で殺すようなスタイル。

しかし粟生、クリーンヒットに成りづらそうなわずかなスペースを確実に撃ち抜いていきます。
3Rにはタイベルトから人生初のダウンを奪い、後半にはレフリーがタイベルトの頭に対して注意。
このあたりでペースは完全に粟生の物となり、結果は大差判定。

2階級制覇を達成します。
 

初防衛戦では元WBC世界フェザー級暫定王者のウンベルト・グティエレス(メキシコ)と対戦。
タイベルトと同じくダウン経験のなかったグティエレスですが、4Rに粟生のボディでダウン。
そのままカウントアウトで粟生がKO勝ち。
初防衛に成功します。
 
 
 

2度目の防衛戦には9位のデビス・ボスキエロ(イタリア)
ランキングは低めですが、30戦無敗の難敵。

この試合ではディフェンス技術の高いボスキエロに苦戦します。
ガードを固めて懐に飛び込んでは単発を撃ち込んでクリンチ。
粟生の攻撃を封じてしまいます。

それでも距離が空くとカウンターで応戦する粟生。
結局最後までどちらも主導権を握れず、際どい判定が粟生に転がり2-1の判定勝利。
 

3度目の防衛戦は指名試合となり、ランキング1位のターサク・ゴーキャットジム(タイ)と対戦。
距離を詰めて撃ち合いたいターサク。
カウンターパンチャーの粟生にとって、これほど相性のいい相手はいません。

7Rには強烈なアッパーが入り、ダメージから失速したターサク。
以降は粟生のボクシング劇場と化し…最強挑戦者を完全に支配した粟生の3-0の判定勝ち。
 

4度目の防衛戦はガマリエル・ディアス(メキシコ)
この試合では、なかなか手数が出ない粟生。
苦戦する時のお決まりのパターンとなった展開。
カウンターパンチャーである粟生の弱点と言うよりは、もうスタイルの一部にさえ思えてしまう。

実はこの試合では調整に失敗、さらに3R、
バッティングにより視界を失った粟生が流れを取り戻すことは叶わず…

試合は終始ディアス有利で進み…0-3の判定で王座を奪われます。

これほどまでに悪い粟生というのも珍しいほどいい所が無かった試合。
3度防衛したベルトを手放してしまいます。
 
 

この後、8ヶ月ほど時間を置いて
米国に乗り込んでハーディ・パレデス(チリ)を相手に再起戦。

好戦的な相手は否応なく粟生のカウンターの餌食になります。
圧倒的実力差で2RKOで復活します。
 

この後も順調に勝利を重ね、パレデス戦の星を含めて3連勝。
ここでライト級での3階級制覇を見据え、超難敵を迎えます。
 

相手はフアン・カルロス・サルガド(メキシコ)
ホルヘ・リナレス(ベネズエラ)から1RKOで王座を奪い、
内山 高志(ワタナベ)に12RTKOでベルトを奪われた選手。
スーパーフェザー級ではWBAとIBFのベルトを獲得した元世界王者。
3度目の王座返り咲きを目指して、粟生との生き残りマッチに挑みました。

この試合、ラフな大振りで迫るサルガドに対し、的確な対処を見せた粟生。
この展開なら全く寄せ付けずに判定勝ちできるパターン。
しかし、倒す意識が強く出すぎた粟生がミスブローを連発。
そこに付け込まれ余計なポイントを奪われますが、後半にサルガドがガス欠に陥ると
以降を優位に進めた粟生が3-0の判定で生き残る。
 

生き残りマッチ…それはシビアな戦い。
先に進むに相応しい実力を有する二人が、致命的な後退を背にぶつかり合う…。
しかしその分、得られるものも大きくなる。
この試合を制した粟生にチャンスが舞い込みます。

2階級制覇を目指して、WBO世界ライト級王者のテレンス・クロフォード(米)が王座を返上。
空位になった王座を埋めるべく、王座決定戦への出場が決まります。
 

この王座決定戦が紆余曲折の末、粟生の不運の連続の引き金となります。
そんなところはまた次回。
 
 
 

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