初代IBF世界ヘビー級王者 ラリー・ホームズ(米)⑬ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/06/11

初代IBF世界ヘビー級王者 ラリー・ホームズ(米)⑬ ボクシング選手名鑑ピックアップ! 2016/06/11
 
 
 

前回はラリー・ホームズ(米)ティム・ウィザースプーン(米)との大激戦を乗り越え、15度目の防衛を飾ったところまで。
 

その後、この頃は新興だったIBFから初代IBF世界ヘビー級王者に認定されます。
しかしまだマイナー団体だったIBF。
次戦も、WBC王座の防衛戦を続けます。
 
 

次の防衛戦で対峙したのは21戦20勝1分のスコット・フランク(米)
取分けて強豪との対戦はないものの、ニュージャージー州王者を3度防衛した25歳の若武者。
 

試合は1Rからホームズが圧倒。
フランクの踏み込みに合わせてカウンターを叩き込み、
フランクの手が出なくなるとジャブとストレートで突き刺していく。
 

2Rに入り、ジャブから組み立て直そうとするフランクですが、
刺し返されると、ホームズのジャブの威力は段違いで頭がずれるほどのもらい方をしてしまう。
完全に展開を支配されてしまう。
しかし、このラウンド終盤、なんとか意地のオーバーハンドをヒットさせる。
 

3R、ガードの上からコンビネーションを叩きつけてフランクをコーナーに追い込んだホームズ。
綺麗なワンツーをヒット。フックを返される場面はあるものの単発で防ぎ、このラウンドも一方的。
 

4R序盤にはフランクの入り際に強烈な右フックをヒットさせたホームズ。
効いてしまったフランクがよろよろとロープ際に後退。
このあたりからフランクは失速し、両者の差はさらに顕著に。
ラウンド中盤にはボディを重ねられ、ラウンド後半には滅多撃ちに…
 

5Rが開始直後、強烈なフックを効かせたホームズ。
フランクは採算チャレンジしながらヒットしない右のオーバーハンドを繰り出すも、
カウンターで強烈なアッパーを叩きつけられる…。
これが2発続いたところで、戦意喪失気味にしゃがみ込み…スタンディングダウン。
再開されるも防戦一方となり…レフリーが試合をストップ。

ホームズは全く危なげなく16度目の防衛を記録します。
 
 

次戦に持ち上がったのはランキング1位のグレッグ・ペイジ(米)。
WBCの指名試合となります。

しかしファイトマネーの額に納得できなかったホームズは…
より注目度の高いファイトを求めて、ジョー・フーレジャー(米)の息子マービス・フレイジャー(米)との対戦を選びます。

この指名試合の経緯でWBCと大モメしたホームズは、フレイジャー戦が決まるとWBCのベルトを即日放棄。
フレイジャー戦はノンタイトル戦となります。
 
 

このフレイジャー、親の七光りかと思いきや、スピードもあり柔らかい。
ジャブの刺し合いではホームズに軍配があがるものの、スリリングな展開も予見されそうなところ…
試合は1R中盤に突然終了。

ホームズが放った右ストレートで吹っ飛ぶようにダウンしたフレイジャー。
なんとか立ち上がるも、完全に効いてしまい、その後はコーナーで一方的に殴られTKO。
 
 

この試合の翌月、WBCは正式にホームズから王座を剥奪。
そこで、ホームズは認定されていた初代のIBF世界ヘビー級王座を防衛する方向へ転換。
 
 

しかし、ここのゴタゴタもあり、1年間のブランクを作ったホームズ…。
復帰後から徐々に、衰えがホームズを侵食し始めます。
 
 

1年間のブランクを経てジェームズ・スミス(米)とこの王座の初防衛戦に挑みます。

この頃はまだホープの一人にすぎないスミス。
しかし、のちにティム・ウィザースプーン(米)からWBA世界ヘビー級王座を強奪し、
WBC世界ヘビー級王者だったマイク・タイソン(米)と王座統一戦を行うことになる選手。
 
 

1R、ジャブから組み立てようとするスミスですが、
ラウンド中盤にはジャブに強烈な右ストレートを合わされ始め、
安易にジャブが出せなくなってしまいます。
 

2R、ジャブの刺し合いを圧倒的に上回るホームズ。
スミスは大きな体を折りたたんで、ホームズの懐に潜りこもうとするも
アッパーで迎え撃たれてしまう…。
この時点で打つ手がなくなりそうですが、打開しようとコツコツとボディを叩くスミス。
 

3R、上下に撃ち分け初めたホームズに翻弄されるスミス。
ラウンド中盤に強引に詰め、強烈なホームズの連打を受けながら入れた右フックが、
ジャブ以外では唯一の顔面へのヒット。
しかしビクともしないホームズ。
 

4R、距離を少し近づけたスミス。
強烈な右ストレートを浴びせることに成功しますが、
もらうビッグパンチの数も増えてしまいます。
 

5R、相変わらずジャブでスミスを突き刺していくホームズ。
スミスの右ストレートに合わせたホームズの右ストレートがカウンターで刺さる。
しかしスミスも撃たれ強く、怯まない…。

そのわずか5秒後、今度は立場を逆にし、スミスの右ストレートがカウンターでホームズに刺さる。
怯まなかったスミスとは対照的に、思い切り効いてしまったホームズ。
クリンチに逃げ、そのまま腕をホールディングして回復の時間を稼ぐ。

それ以上の被弾を回避しながらなんとか残り30秒までこぎつけたホームズ。
しかしダメージから反応に影響を残したホームズを、またもスミスの右ストレートが襲う。
そこから左右フック、この試合初めてコンビネーションでもらってしまうホームズ。
効かされながらも、なんとか終了のゴングを迎える。

もらったビッグパンチの数ではスミスのほうが上のはずですが…
この驚異の撃たれ強さから逆転の光を見出したスミス。
この頃はまだ新興団体だったIBFですが、初めて行われたヘビー級タイトルマッチはなかなかのものです。
 

6R、ダメージを回復させたホームズが、ジャブから丁寧に回していく。
こうなると顔面へのヒットが難しくなったスミス。
コツコツボディを叩いて希望を繋ぎます。
 

7R、スミスはこのあたりから戦術を変更。
ポイントでは勝ち目がないと見たか、もらいながら撃ち返す…。
ハンドスピードはホームズに分があるので、先に着弾するのはホームズのパンチ。

肉を切らせて骨を断つ…ではなく、骨を切らせて肉を断つ…のような、タフさに任せた玉砕的戦法。
…が、撃ち合いになりバッティングの頻度が上がったことで、ホームズは左瞼をカット。

激怒するホームズはスミスと強引な撃ち合いを展開。
しかしこれは熱くなりすぎたか…振り回すホームズとスミスの撃ち合いは互角。
スミスがタフな分、ホームズは余計なダメージを抱えてしまう。
 

8R、距離に影響が出たホームズ、撃ち合いでもジャブの刺し合いでも互角になってしまう。
また、左目に血が入ったか、スミスの右への反応が遅れ始めます。

スミスは千載一遇のチャンスに攻めて出る…しかしここで焦りすぎたか、左右フックの3連打をもろに被弾。
この試合、初めて効いた素振りを見せます。

その後は一進一退の撃ち合いへ…
ホームズが右フックでスミスの足を揺らせば、スミスは右の撃ち下ろしでホームズにたたらを踏ませる。
 

9R、思わぬ激戦となってきたところで小休止。
WBCの12R制と違い15R制のIBF、後半に備え休みにかかったか、
ホームズはクリンチを繰り返し、3分を消費します。
 

10R、ラウンド開始直後からフットワークとジャブでスミスを突き刺し始めたホームズ。
強烈な右ストレートもヒットさせる。
ホームズは、一旦クールダウンしたか、展開をコントロール。
 

11R、展開は一方的になっていく。
ホームスの強打ばかりがヒットしていき、スミスが詰めるとホームズはクリンチ。
スミスに打つ手がなくなっていった終盤、スミスも大きく左目上をカット。
こちらはヒッティングによるカットで、ドクターチェックが入りますが、試合は続行されます。
 

12R、お互いにカットを抱えて試合は接近戦へ…。
やはりスミスを上回るホームズですが、スミスのタフさ加減も常識外。
逆転KOの希望もまだまだありそうな展開ですが…

ここでスミスの傷に対してまたもドクターチェック…
激戦はドクターによりストップされ、ヒッティングの傷によるTKOでホームズが勝利。
ここまで7P~9Pと圧倒的に開いていた採点からは想像もできない中身の濃い激戦。
 

IBFで行われた初の世界ヘビー級タイトルマッチを制したホームズ。
しかし…この為に空いた1年のブランクは、絶対王者ホームズに陰りを与えます。

そんなところはまた次回…。
 
 

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